RIETIの活動

RIETIの研究成果をまとめた『Managing Currency Risk』が、第62回(2019年度)日経・経済図書文化賞を受賞

伊藤 隆敏コロンビア大学教授・政策研究大学院大学特別教授、鯉渕 賢中央大学教授、佐藤 清隆横浜国立大学教授、清水 順子学習院大学教授共著の『Managing Currency Risk』(Edward Elgar)が、日本経済新聞社と日本経済研究センター共催の2019年度・第62回日経・経済図書文化賞を受賞しました。

RIETI研究書籍の同賞の受賞は、第60回の山口 一男客員研究員の『働き方の男女不平等』(日本経済新聞出版社)、鶴 光太郎プログラムディレクター・ファカルティフェロー の『人材覚醒経済』(日本経済新聞出版社)に続き8冊目となります。

同書は、RIETIの研究プロジェクト「為替レートのパススルーに関する研究」(2011〜20132013〜2015)の研究成果をまとめた書籍であり、「これまで『円の国際化』が試みられてきたにもかかわらず、なぜ日本企業には円建て取引が広がらないのか」という謎について、企業のインタビュー調査とアンケート調査の詳細な分析から、日本企業の為替戦略の合理性と時系列変化を実証的に明らかにしたものです。

すなわち、日本企業は、先進国向け輸出では、競争の厳しい現地市場の販売価格を安定させるため、現地通貨を建値通貨として選択していました。他方、アジア向け輸出では、建値通貨は現地法人(生産拠点)からの輸出先に影響されており、最終輸出先が米国であれば米ドルに統一される傾向がありました。また、企業規模が大きくなるほど、海外現地法人との取引を米ドル建てで統一し、 企業グループ全体における為替リスクを本社に集約して効率的に管理する傾向がありました。

同書では、こうした調査結果をもとに円の国際化の意義を改めて論じるとともに、人民元の国際化への教訓も示しています。ぜひご覧ください。

日経・経済図書文化賞受賞 RIETIブックス