IT@RIETI

no.36: RIETI政策シンポジウム「ブロードバンド時代の制度設計II」 直前情報

今週のIT@RIETIコラムは先週のプレビューに引き続き、明日に迫ったRIETI政策シンポジウム「ブロードバンド時代の制度設計II」のプレビュー(その2)です。

シンポジウムを前に、スピーカー・パネリストの方々から配付資料(ポジション・ペーパー)が送られてきましたので、今回はその内容を簡単にご紹介しながら、議論の行方を占ってみたいと思います。

※なお、シンポジウム議事録・ストリーミングビデオについては今回は年明け1月下旬頃の公開を予定しています。

配付資料は下記リンクの他、こちらでも入手できます。

第一セッション:通信の規制改革 (13:00-15:30)

  • 司会:池田信夫 (RIETI上席研究員)
  • ローレンス・レッシグ (スタンフォード大学教授)
  • ロバート・ペッパー (米国連邦通信委員会電気通信政策局長)
  • 鈴木茂樹 (総務省総合通信基盤局国際経済課長)
  • 林紘一郎 (慶應義塾大学教授)
  • 中村伊知哉 (RIETIコンサルティングフェロー/スタンフォード日本センター研究所長)

第二セッション:電波の開放 (16:00-18:00)

  • 司会:池田信夫 (RIETI上席研究員)
  • 竹田義行 (総務省総合通信基盤局電波部長)
  • ロバート・ペッパー (米国連邦通信委員会電気通信政策局長)
  • ローレンス・レッシグ (スタンフォード大学教授)
  • 田中良拓 ((有)風雲友 代表取締役社長)
  • ピーター・ピッチ (Director, Communications Policy, Intel Corporation)

1."World Broadband Situation" 根津利三郎(RIETI理事/富士通総研経済研究所常務理事)

オープニングスピーチは根津利三郎RIETI理事/富士通総研経済研究所常務理事にお願いしております。根津理事は、世界的なブロードバンド普及状況についてのスライドを準備しています。
スライドを見ると、根津氏はブロードバンドの普及がこれから爆発的に進かどうかの過渡期にあること(1枚目)、OECD加盟国内の比較ではまだまだ韓国の普及状況が突出しており、日本は9番目程度に甘んじていること(3枚目、ただし米国は日本の下(10番目)であることに注意)や、普及に当たって主役を演じているDSLの普及状況や価格についての問題(4枚目/5枚目)について議論を進めることと思われます。

2."System Design in the Broadband Age" 池田信夫(RIETI上席研究員)

池田上席研究員は、まず2001年に行われた「ブロードバンド時代の制度設計I」シンポジウムの時と現状との比較を行い、何が改善され、何が変わらず課題となっているのかを議論の概要を含めて紹介しています。
また、午前中のテクニカル・ワークショップで発表される資料についても公開されています。("Spectrum Buyouts: A Mechanism to Open Spectrum")これは周波数を国が買い上げて、その上でコモンズとして開放するというアイデアについて、実際にシミュレーションを行った結果を報告するもので、その有効性を示す結果が出たと論じています。

3.ブロードバンド時代の制度設計II 鈴木茂樹(総務省総合通信基盤局国際経済課長)

第一セッションには総務省の鈴木国際経済課長をお迎えしますが、鈴木課長は最近の我が国における情報通信政策のトレンドについて簡潔にまとめた資料をお送りいただきました。大幅な自由化が行われる一方でいわゆる非対称規制が維持された、今年7月の電気通信事業法の改正の概要(2枚目)、ネットワーク産業に対しての政策を考える視座の紹介(3枚目/4枚目)、そのような中で政府の規制はどうあるべきかについての提案(5枚目)を行っています。

4.電波政策ビジョンと電波開放戦略 竹田義行(総務省総合通信基盤局電波部長)

第二セッションでは総務省の竹田電波部長がキーノートスピーチを行います。竹田氏は、総務省の現在の電波政策の現状と将来の取り組みの方向性として、周波数帯の開放のための再配分の必要性(5枚目)や、そのための給付金制度の確立(8枚目)、ベストエフォート型無線利用に当たっての免許制から登録制への変更(11枚目)、無線LANへの割当帯域の増加(14枚目)等の思い切った規制緩和策を紹介しています。

5.電波探検隊報告各論版調査研究ー800MHz帯携帯電話とMCA無線を中心に(要綱版) 田中良拓((有)風雲友 代表取締役)

先般出版された、RIETI調査レポート「日本における周波数利用の実態」においても中心的な役割を担った(有)風雲友の田中氏は、本年度に追加的に実施している、800Mhz帯における携帯電話とMCA無線に関しての電波利用の効率という観点から見ての利用実態調査報告の概要を提出しています。

6.インテルの提言:世界的な周波数帯の再編に向けて ピーター・ピッチ(インテル コーポレーション 通信政策担当ディレクタ)

今回提出されたポジションペーパーの中で、最も広範、なおかつ具体的な提案をしているのはこのインテルのペーパーかもしれません。
ワイヤレス技術に力を入れているインテルは、具体的に(1)5Ghz帯での免許不要周波数帯の追加(2)UWBやCoginitive Radio等、非干渉無線システム(3)免許付与制度の改革という3つのポイントに分けて、それぞれ具体的な割当案の提示や、最新無線技術の動向とそれに必要な政策対応のあり方などを論じています。

2003年12月3日

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2003年12月3日掲載