Special Report

米国・中国産品関税措置事件パネル報告-米中通商摩擦とWTO危機の行方-

川瀬 剛志
ファカルティフェロー

2018年3月、トランプ大統領は、1974年通商法301条(19 U.S.C. § 2411)に基づく調査の結果、中国の技術・知的財産権関連の不公正な貿易・投資慣行を認定し、これに対抗策を取るべく大統領令を公布した(注1)。301条報告書によれば、中国は強制技術移転、技術や営業秘密のサイバー盗用、外資に差別的なライセンス契約(中国技術輸出入管理条例)等の措置により、米国の通商利益に損害を与えるものとされている(注2)。

その後の二国間協議の不調により、2018年5月末に総額500億ドル相当の中国産品に25%の関税引き上げをトランプ大統領は発表した(注3) 、7月6日の課税開始を皮切りに、以後、今日まで中国と対抗措置の応酬が繰り返されていることは、周知のとおりだ。今年1月の米中合意第1段で部分的に引き下げ合意したものの、以下のとおり、米国の高関税は殆どそのまま維持されている。

トランプ政権下の対中301条措置
発動日 リスト名 税率、相当貿易額等 現況 WTO紛争
2018.7.6 リスト1 25%(340億ドル) 維持 DS543(2020.9.15 パネル報告書配布)
2018.8.23 リスト2 25%(160億ドル) 維持 DS565(パネル設置要請済・未設置)
2018.9.24
2019.5.10
リスト3 10%(2000億ドル)
25%に引上げ
維持 DS543(2020.9.15 パネル報告書配布)
2019.9.1
2020.2.14
リスト4A 15%(1,200億ドル)
7.5%に引き下げ
維持 DS587(協議中)
2019.12.15 リスト4B 15%(1,560億ドル) 発動停止 DS587(協議中)

各種報道資料等から筆者作成

上記のように、中国はこれらの米国の措置について、全てWTO紛争解決に付託しているが、このうち最も早い時期にWTO紛争解決手続に付託された事件番号DS543について、この9月15日にパネル報告書が配布された(注4)。

問題の措置

今回の判断で対象となった措置は、① 2018年7月6日付の25%関税引き上げ(340億ドル相当、リスト1、以下「7月措置」)、② 2018年9月24日付の10%関税引き上げ(2000億ドル相当、リスト3)(注5) 、そして、③ 米中協議の不調による2019年5月10日付の②の25%への引き上げ(以下②、③をまとめて「9月措置」)、である。その他の措置については、上記の表にあるとおり、中国は別途2件(DS565DS587)の協議要請を行い、今後そちらで検討されることになっている。

パネル報告書の概要

本件パネルの判断の概要は以下のとおりとなっている。

1.手続的論点

米国は、本件紛争については、中国も独自に対抗措置を取っており、WTO枠外で二国間交渉することにより中国と合意の上解決に至ったもので(紛争解決了解(DSU)12条7項)、パネルは判断を下す権限を有しない、と主張した。しかしパネルは、なんらかの結果が生じず、問題解決に至らない交渉だけでは、パネル手続停止の条件となる「相互に満足すべき解決」とは言えないと判断し、米国の主張を退けた(7.7–7.22、以下カッコ内の7.xxまたは9.xxは本件パネル報告書パラグラフ番号)。

2.義務違反(一般最恵国待遇及び関税譲許の拘束)

米国の関税引き上げはもっぱら中国産品のみに対して行われ、他のWTO加盟国から輸入される同種の産品は対象とならない。GATT1条1項の最恵国待遇原則は、加盟国間の無差別的な取り扱いを義務付けるが、米国の措置はこれに反する措置であると認定された(7.79–7.87)。

また、米国の措置は一律に対象の中国産品の関税を25%に引き上げるもので、これらは米国の譲許税率、すなわちWTO協定で認められた関税率の上限を上回るものである。GATT2条1項(a)及び(b)は譲許税率を上回る課税を禁じているが、米国の措置はこれに反するものと認定された(7.88–7.99)。

なお、これらの義務違反に関する中国の主張に対しては、米国は反駁すらしなかった(7.75、7.77)。

3.公徳例外該当性

このパネルの認定を受けて、米国は自国の対中制裁措置がGATT20条(a)に規定される公徳例外に該当すると主張した。同号は「公徳の保護のために必要な措置」と定めるが、これに該当するためには、米国の措置は以下の要件に適合しなければならない。

 -措置導入の政策目的が「公徳(public moral)」に該当する。
 -措置が公徳の保護を「企図した(is designed to)」ものである("design test")。
 -措置が公徳の保護に「必要(necessary)」である。

「公徳」該当性:米国によれば、中国の行為は「米国技術、知的財産及び営業秘密の国家公認の盗用及び不正流用(state-sanctioned theft and misappropriation of U.S. technology, intellectual property, and commercial secrets)」であり、米国法令(刑法、契約法、不法行為法、特許法など)に投影され、米国内で一般的な善悪の基準に反するものである(7.100、7.127)。

これに対してパネルは、公徳概念は知財侵害のような経済的関心を必ずしも排除するものではなく、また各国の価値観に基づき公徳の範囲を定める一定の裁量が認められる一方、公徳例外が義務の潜脱になってはならないことに留意する、と述べた。そして、この例外援用とWTO上の義務遵守のバランスは、全てのGATT20条(a)の要件について、一体的なアプローチによって図ることができる、と説示した。これを受けて、この段階での判断として、米国が援用する盗用や不正流用、不正競争を含む善悪の基準は、GATT20条(a)の「公徳」に少なくとも概念レベルでは含まれ得ると認定した(7.135–7.141)。

いわゆる"design test":"design test"は判例上確立した基準であり、パネルは一般論としてdesign testが有用であると認めた。しかしパネルは、本件では一般的なレベルでは高関税の賦課が公徳保護を実現するか否かを判断できないのでdesign testは行わず、次の必要性要件の検討によって、措置のより詳細な意図が明確になり、理解が進むと述べた。また、一体的分析の下では、課税対象物資と公徳目的の適切な関係はむしろ公徳保護に必要と認められる通商制限措置とそうでない措置の区別に関係する、とも説明している(7.150–7.153)。

必要性:必要性判断のひとつの基準として、パネルは措置が公徳保護に貢献しているか否かを詳細に検討した。7月措置については、パネルは課税対象の中国産品リストに中国の知財侵害に関連する政策(例えば「中国製造2025」)に関係ない物資が含まれていること、発動当初の産品絞り込み及び事後の産品除外が公徳保護とは無関係な経済的理由によって行われたことを指摘した。その上で、これらと公徳保護との「目的・手段の真正な関係(a genuine relationship between ends and means)」を米国が説明できなかったと認定した(7.182–7.215)。

9月措置については、米国は、7月措置によっても中国は政策を変更しないことを明らかにしたためこれを発動したこと、また中国による対抗措置に対応して発動されたことを明言している。このためパネルは、当該措置が公徳保護に貢献するものではないと認定した(7.216–7.227)。

結論として、パネルは、本件措置の必要性を米国が立証できなかったとし、GATT20条(a)による正当化を認めなかった。

本件判断の解説

1.公徳例外の解釈・適用

GATTの基本原則違反については、あまりに明白であって、また殆ど法的な議論もなく、見るべきものはない。

他方、公徳例外については、興味深い点がいくつか指摘できる。本件では米国は中国による国家的な知的財産の盗用・不正流用等を公徳の侵害と位置付ける主張を展開している。一見して奇異な主張だが、パネルは本件の政治性及びトランプ政権のWTOに対する感情的反発に十分に注意を払い、これを丹念に検討している。まず知財侵害が米国の公徳の問題である、という主張については、米国の懸念や公徳概念を規定する加盟国の裁量に留意しつつ、一応米国の主張を認めた形になっている。

本件パネルも言及するように、先例によれば、公徳とは、「社会または国家により、あるいはそのために維持される善悪の行動規範(standards of right and wrong conduct maintained by or on behalf of a community or nation)」である(7.115)。これまでのパネル・上級委員会は、公徳概念はその国の価値観次第で国によって異なることを認め、「一般的な社会的、文化的、倫理的及び宗教的価値観により、時と場所で(in time and space, depending on a range of factors, including prevailing social, cultural, ethical and religious values)」変化することを認めている(7.116)。本件でも、市場経済・民主主義国家でキリスト教の影響が強い米国と、共産主義・共産党一党独裁で、歴史的に儒教の影響が強い中国では「公徳」の内容は異なることは容易に理解できる(でなければ、昨今のウイグル問題や香港問題は起きない)。ましてや、WTO加盟国は、政治体制、経済体制、宗教、社会のあり方等において異なる多様な164カ国の集まりであり、WTOスタンダードの価値観に基づく一定の公徳概念に収斂することは、およそ期待できない。

したがって、GATT20条(a)の解釈において、パネル・上級委員会は公徳概念の解釈には極めて慎重であり、例外を援用する国の裁量を最大限認める傾向にある。さもなくば、パネル・上級委員会が一定の価値観を押し付けることになり、例えて言えば、敬虔なイスラム教国に豚肉の輸入解禁を迫るような暴挙になりかねない。他方、あまり公徳概念を広く認めてしまうと、GATT20条(a)が抜け穴になってしまい、GATTの貿易自由化・無差別の原則が空洞化する。本件においては、おそらく多くの専門家にとって、知財侵害のような経済的問題を公徳の問題とすることに違和感が否めないだろう。

そこで、本件パネルは次のようなテクニックを使い、この問題を処理した。まず、米国の公徳概念に関する主張を、窃盗、不正流用といった犯罪や不法行為といったより一般的な概念に昇華して捉え直し、知財侵害というより個別的な課題が公徳の問題に該当するかどうかの判断を避けた。更にパネルはこのように犯罪・不法行為の大きな枠組みで捉え直した知財侵害が公徳の問題に該当するかを断定せず、婉曲にその可能性を示すに留めている。これらを併せて、パネルは知的財産権侵害の問題は公徳に「少なくとも概念レベルでは含まれ得る(could, at least at a conceptual level, be covered)」と、二重に保険をかけた極めて間接的な表現を用いることで、実質的には知財侵害自体が公徳の問題か否かの判断を巧みに回避した(7.140)。

もちろん本件パネルは米国の措置の公徳例外での正当化は困難である、と感じていたであろうし、おそらく先に必要性要件で排除できるという予備的な結論は得ていたであろう。しかし、被申立国が提起する問題の公徳該当性、design test、そして必要性要件の順で段階的な検討が先例において確立しており、これから逸脱することは困難であると感じていたであろう。また、いきなり必要性要件から検討を始めて米国の公徳に関する訴えを無視してしまうことにより、米国の政治的感情を著しく害することを恐れたであろう。しかし他方で、米国のかなり無理のある公徳概念の拡張を認めることにも躊躇があったであろう。

そこでパネルは、「一体的な("holistic")」アプローチ、あるいは分析、という概念を持ち出し、このジレンマを解消した。この「一体的な」が意味するところは必ずしも明らかではないが、この検討の一体性に触れた箇所(7.139、7.152)及び判断理由の全体構成から判断するに、上記の3点の個別要件のひとつひとつに適合性を回答せず、GATT20条(a)全体について検討してから、米国の措置の例外該当性について判断する、程度の意味であると理解できる。

仮に一体的アプローチを取らなければ、パネルは知財侵害の公徳概念該当性のところで米国の措置を退けなければならないか、あるいは米国を慮るなら、公徳概念の無理な拡張を認めざるを得なくなる。パネルは一体的アプローチを取るのでこの段階でそれぞれの要件適合性に確定的な判断を出すことは避けながら、最後の必要性要件の判断にまでたどり着き、米国の措置が果たして公徳保護を目的としたか否かの主観的で政治的に厄介な判断を曖昧にしながら、措置事態の必要性がない、という技術的・客観的な判断で米国の主張を退けることに成功した。

やはり同様に政治的に厄介な公徳例外援用の事案として、中国・出版物及びAV製品事件(DS363)が挙げられる。本件では検閲に伴う出版物等の流通規制の協定違反が認定されたが、中国はこれを公徳例外で正当化を試みた。そこで中国が提起した公徳とは、要するに共産党一党独裁による国家体制維持の基礎となる多様な法的・社会的規範であり(注6) 、これがGATT20条(a)の公徳概念に該当すると判断することは、パネリスト(ちなみに全員が民主主義国出身)にとっては抵抗があっただろうし、逆に中国の主張を退ければパネルが中国の国家体制のあり方自体を否定することにもなりかねず、大変な政治問題になったであろう。しかし同事件では、幸いにして申立国の米国が事の機微を理解してこの点に関する中国の主張を争わなかった。よって、パネルはこの点を中国の主張どおりと仮定して必要性要件の判断に進むことができ(注7) 、そこであくまでも措置の制度設計の問題としてGATT20条(a)該当性に関する中国の主張を退けた。

他方、本件ではあいにく中国は米国の知財侵害が公徳問題であるとする主張を争ったため(7.114)、同じ手法が使えなかった。パネルにとっては上記のような一体的アプローチは、苦肉の策だったということだろう。

2.一方主義の禁止

本件では、中国は一方的措置を禁じるDSU 23条違反に関する主張を行なっておらず、筆者には少なからぬ驚きを与えた。この点については、既に米・ウェイン州立大(Wayne State University)のチン教授(Julia Qin)が同趣旨の指摘を行っているが、中国のパネル設置要請書には同条違反認定の請求が明記されており、これを途中で取り下げた可能性があるものの、パネル報告書にはその説明がない(注8)。

DSU23条は正に1970〜1990年代の度重なる米国の通商法301条発動その他一方的措置を念頭に挿入された条文であって、WTO協定違反の判断を仰がずに、独自の認定によって対抗措置を発動する一連の対中措置は、このDSU 23条が念頭に置く正に「お手本」のような一方的措置だ。そうであれば、中国がこの点を追求しなかった理由には疑問が残る。

なお、通商法301条については、かつてEC(当時)が当該法令それ自体についてDSU23条違反をWTOに申し立てた事案がある(米国・1974年通商法301条事件(DS152))。当時のパネルは、米国ウルグアイラウンド実施法立法に関する行政措置報告(Statement of Administrative Action;SAA)及び米国政府の説明から、米国は同条を必ずWTO手続に沿って援用すると認定し、ECの主張を退けた(注9)。一連の米国の措置は、当時のパネルの期待や温情を全て裏切ったものに他ならない。

本件の示唆-米中紛争の今後、そしてWTO危機-

本件パネルの結果、米国の対中関税引き上げのWTO協定違反は明確になった。しかし実際上、米中摩擦の解決には殆ど役立たないだろう。

第一に、もちろん米国に措置を撤回する意思がないことは明白だ(World Trade Online 2020.9.17)。米国はもとより結果を承知の上で対中措置を発動しており、この判断は最初から予想された結果だ。これがWTO協定違反でなくて何が違反か、というほど、米国の措置は正当化しようがない。米国自身が中国の協定違反の主張に一切反駁していないのは、先に述べたとおりだ。

第二に、上級委員会は昨年12月より審理に必要な委員の最低数(3名)を機能停止に陥っており、米国が上訴し、本件が審理されることなく棚上げされれば、これ以上本件の解決は進まない(いわゆる"appeal into the void")。もちろん米国は躊躇なくそうするだろう。

第三に、仮に上級委員会が機能しており、手続が最後まで進んだとしても、やはり事態は変わらない。中国はWTO紛争解決手続の枠内でできること、つまり米国が措置を是正しない場合に取れる同程度の対抗措置を先取りしてしまっているので、規範的な正当性を得ること以外、これ以上米国への対抗策として得るものは何もない。

今回パネルは報告書の末尾で異例の説諭を行った。パネルは本件がWTO 危機及び米中通商摩擦の文脈にあることを十分認識しつつ、付託された問題について法的判断を下すことに限られる自らの権限の縛りの中で、米中による二国間解決を精一杯呼びかけている(9.1–9.5)。再びチン教授の言葉を借りるなら、本件判断は米中摩擦の解決に「痛ましいほど無力(woefully inadequate)」(注10)でしかないが、その痛ましさが見て取れるコメントだ。

また、その無力は本件パネルだけでなく、WTO自体の無力でもある。ピーターソン国際経済研究所のボーン(Chad P. Bown)は、「この紛争に勝者はいない。米国、中国、そして特にWTOの全員が敗者だ」と述べている(ブルームバーグ 2020.9.16)。本件は、WTOは米国の一方主義に対しても、そして中国の不公正慣行に対しても何もできず、結局はルール、フォーラムとしてのWTOの無力であることを印象付けただけになった。

さて、米国はもちろんこの判断に不満だが、実はトランプ政権にとってはそれほど悪い話でもない。本件判断は対中強硬路線と保護主義的な通商政策を正当化し続行する政治的口実として、むしろトランプ政権にとって極めて使い勝手の良いものになるだろう。既に本件判断の直後にライトハイザー通商代表は、過去4年間のトランプ政権の指摘どおりWTOは中国の有害な技術関連の慣行を止めることに全く無力であって、なんらの救済を与えるものではない、と語っているが(Inside U.S. Trade, 2020.9.18)、このように本件の判断は今後の大統領選挙でトランプ政権の実績と正当性を裏付ける格好のエピソードを提供することだろう。

それでもトランプ大統領は「WTOについては何かしなくてはならないだろう」と述べているが(ブルームバーグ 2020.9.16)、一体どうするのか。思いつく対応策としては、まずは拠出金を止める、あるいは予算採択のコンセンサスをブロックすることだろう。同様の策については、既に昨年上級委員会問題に関連して実績がある。また、現在選挙が行われている事務局長の選出を止めるとも言われているが(産経2020.9.20)、いずれにしても米中で折り合えないかぎり新事務局長は決まらないであろうし、逆に米国に好都合な候補なら敢えて本件判断を理由にブロックする理由はない。ただ、米中対立を超えて人選について妥協に汗をかくインセンティブはいっそう乏しいものになるだろう。

あるいは次の矢は、WHO(世界保健機関)の場合と同様、WTO脱退を宣言することかもしれない。実際、刊行されたばかりのBob Woodward, Rage (Simon & Schuster, 2020) では、トランプ大統領はアゼベド前事務局長に電話でWTO脱退の脅しをかけた場面が描かれている、という(ブルームバーグ 2020.9.11)、しかし、現時点での脱退は、大して有権者の歓心を買わない一方で事務局長選への影響力を失うことから、あまり得策ではなく、その可能性は低い(World Trade Online 2020.9.17)。

もっとも、正直なところ、米国は今さら人手をかけ、税金を使って何かする必要もないだろう。このまま米国が現状―一方的措置を継続し、上級委員の補充をブロックし、一部は非現実的な改革要求を続ける―を維持し、進まない改革を無言のうちに静観すれば、いずれWTOは「緩慢な死」を迎えるだろう。仮にあと4年間トランプ政権が続けば、もはやあり得ないシナリオではない。もしそうなれば、後に振り返ると、本件判断もまたその道のりの一里塚なのかもしれない。

脚注
  1. ^ Memorandum of March 22, 2018, 83 Fed. Reg. 13,099 (Mar. 27, 2018).
  2. ^ USTR, Findings of the Investigation into China’s Acts, Policies, and Practices Related to Technology Transfer, Intellectual Property, and Innovation under Section 301 of the Trade Act of 1974 (2018).
  3. ^ Statements and Releases, White House, Statement on Steps to Protect Domestic Technology and Intellectual Property from China’s Discriminatory and Burdensome Trade Practices (May 29, 2018).
  4. ^ Panel Repot, United States — Tariff Measures on Certain Goods from China, WT/DS543/R (Sept. 15, 2020).
  5. ^ いささか紛らわしいが、米国の表中のリスト3は、本件パネルが一貫して報告書中で“List 2”と称しているものを指す。
  6. ^ Panel Report, China — Measures Affecting Trading Rights and Distribution Services for Certain Publications and Audiovisual Entertainment Products, ¶¶ 7.760–7.761, WT/DS363/R (Aug. 12, 2009).
  7. ^ Id., ¶¶ 7.762–7.763.
  8. ^ Julia Qin, “The Elephant in the Room: The Missing Claim in DS543.” International Economic Law and Policy Blog, Sept. 18, 2020 at 01:42 PM.
  9. ^ Panel Report, United States – Sections 301-310 of the Trade Act of 1974, ¶¶ 7.29–7.136, WT/DS152/R (Dec. 22, 1999).
  10. ^ Qin, supra note 8.

2020年9月24日掲載