| 執筆者 | 笹原 彰(慶應義塾大学) |
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| 発行日/NO. | 2025年12月 25-P-019 |
| 研究プロジェクト | グローバル化の地域経済への影響 |
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概要
本稿では、移民の流入が受入国経済に与える影響について検証した実証研究のサーベイを行う。まず、移民流入が賃金や雇用、失業率などの労働市場に関する変数に与える影響について考察した研究について議論する。短期的には移民流入による労働供給の拡大が賃金を押し下げ失業率を高めることが考えられるが、実証研究ではこのような効果は常に観察されるわけではないことを確認する。賃金低下が限定的にとどまる背景として、労働者が移民流入に応じて比較優位のある職種へ移動する「職種特化」のメカニズムに注目した研究も取り上げる。他にも移民流入の国内人口移動や人的資本蓄積への影響を検証した研究も議論する。諸外国を対象にした研究だけでなく日本を対象にした研究についても議論する。最後に、移民関連の研究でよく用いられるシフトシェア操作変数を用いた分析手法とその課題について整理する。