南アフリカ共和国のエネルギー政策の動向-カーボンニュートラル、電力部門、水素を中心に-

執筆者 中西 佑(コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2024年5月  24-P-006
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概要

本稿は、南アフリカ共和国(以下、南アフリカ)政府のエネルギー政策について、主にカーボンニュートラル、電力部門、水素というトピックに焦点をあて、戦略策定や法令整備の観点から、近年の動向を概観するものである。第一に、カーボンニュートラルについては、パリ協定におけるコミットメントを達成するため、公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)に基づく欧米諸国からの支援等も受けつつ、国内の関係法整備を進めている。第二に、電力部門については、電力容量のうち8割以上を占める石炭火力発電所の老朽化・メンテナンス不足等により電力供給状況が悪化し、南アフリカ全体での計画停電が状態化しているといった問題もある中で、南アフリカ政府としては、政府調達形式での再エネ導入の加速や、電力市場の自由化等、電力供給の多様化・効率化の取り組みを進める。第三に、水素分野については、2000年代より進められてきた水素関連技術の研究開発支援施策を基礎としつつ、特にここ数年では、国内に豊富に賦存する太陽光等の再エネ資源を活用したグリーン水素等の生産・輸出・国内活用に向けた政策支援の動きを活発化させている。