概要
ロシアのウクライナ侵攻による供給不安、新型コロナウイルスの蔓延による供給制約など、供給側のショックが経済全体に大きな影響を与え得る事例が近年多発している。供給ショックが各産業、経済全体に与える影響を把握することは、政策的資源の制約の中で有効な措置を講ずる上で重要である。このような問題意識の下、先行研究にも則りつつ、供給ショックの影響を定量化する産業連関分析(前方連関分析)の方法論を提示した。それを用いて、10の産業について、①国内生産基盤が10%縮小する場合、②特定国からの輸入が途絶する場合、の2通りのシナリオが各産業に与える影響、さらにそれらを集計して日本全体のGDP、雇用に与える影響を分析した。このような方法論により、輸入依存度や他産業への裾野の広さなどの産業毎の特性を踏まえつつ、供給ショックの影響を定量的に示すことが可能となる。