バングラデシュ:後発開発途上国からの卒業とその影響

執筆者 宇佐見 幹 (経済産業省)/福岡 功慶 (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2021年4月  21-P-010
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概要

本稿は、バングラデシュの経済産業構造の分析、後発開発途上国からの卒業という事象の整理、日本企業との関係で考慮すべき論点についての調査分析等を通じて、バングラデシュが後発開発途上国から卒業することの意味とその影響を議論するものである。バングラデシュは2026年には後発開発途上国から卒業することが見込まれているが、後発開発途上国からの卒業は、対外的なイメージ向上などのメリットが存在する一方で、国際社会から恩典として認められていた無税・無枠の特別特恵関税を活用できなくなるといったデメリットも存在する。このようなビジネス環境変化に対して、現地進出日本企業の中でも特別特恵関税を利用している企業は敏感に反応し、情報収集を開始するとともに、生産拠点の移管も視野に検討を始めていることが分かった。バングラデシュは、このような外国企業の国外流出を回避するためにも、自由貿易協定(FTA)の締結等に取り組んでいる様子が垣間見られるが、これに加えて近隣東南アジア諸国と比しても遜色のないビジネス環境の整備や自国産業競争力の強化、貿易の多角化などに取り組む必要があるだろう。日本政府としても、二国間経済関係の深化を目指して更なる努力をする必要がある。

Published: Usami, Takashi, and Noriyoshi Fukuoka, 2021. "Implications of Bangladesh's graduation from least developed countries status on Japanese companies," Journal of Contemporary Research in Social Sciences, Volume 3, No. 2, 28-39.
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