文明としてのグローバル化とコロナ危機

執筆者 藤田 昌久 (京都大学経済研究所)/浜口 伸明 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2020年6月  20-P-015
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概要

新型コロナウイルスのパンデミックは、知識創造社会の中心であり世界で最も豊かな地域である米国とヨーロッパを中心として続いてきた。知識創造社会における中心的な活動において、情報通信技術(ICT)が高度に発展した現在でもICTとフェイス・ツー・フェイスコミュニケーション(対話)は相互に「補完的」である。「3密」の場が圧倒的に集積している米国東海岸の「平行四辺形」と欧州の「青いバナナ」の活力を生んでいるが、同時にそれらの「3密」の場は自己増殖的な感染拡大の源ともなった。コロナ危機はサプライチェーンを通じて世界経済に深刻な打撃を与え、影響の長期化が懸念される。ポストコロナ危機のグローバル経済の再構築には国際的な協調が必要とされているが、コロナ危機はそのような協調体制が弱体化し、また米中の覇権争いが激化した中で起こったものであり、困難が予想される。多様性を生かし創造性を競う新たな国際体制の構築が求められる。