日本経済停滞の原因と必要な政策:JIP 2018による分析

執筆者 金 榮愨 (専修大学)/権 赫旭 (ファカルティフェロー)/深尾 京司 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2019年10月  19-P-022
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概要

最近完成した日本産業生産性データベースJIP 2018とEU KLEMSデータベース2017を用いて、1995~2015年について、成長会計の手法により経済成長の源泉を日米独仏英間で比較した。他の主要先進国と比較して2005年以降の日本の経済成長が特に減速した原因は、生産年齢人口の減少に加え、資本サービス投入の停滞であることが分かった。主要先進国の中で資本ストック増加率が自然成長率を下回った国は日本だけだった。また、生産要素投入の構成を日米比較すると、その他資産の投入と比較してICT・R&D資産投入やICTサービスの中間投入が特に少ない訳ではないものの、資本蓄積全般が極めて少ないこと、ICT・R&D資産と補完的な性格を持つと思われる、経済的競争資産への投資(労働者の訓練や組織改編)が他の諸国と比べて著しく少ないことが分かった。最後に、2005年以降の日本減速の3番目の原因であるTFP上昇率下落は、電子計算機・同付属装置、自動車(自動車車体を含む)、電力、卸売など、一握りの産業の生産性低迷によって生じたことも分かった。