執筆者 | 長岡 貞男 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2019年10月 19-P-020 |
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概要
近年、情報通信技術(ICT)の累積的な発展の上に、AIでの新しいブレークスルー(深層学習)が加わって、「第4次産業革命」と呼ばれるイノベーションの大きな波が起きている。情報通信技術は多くの産業の研究開発に利用可能な汎用技術となっている。
本稿では、情報通信の研究成果の中核であるソフトウエア関連発明と同分野の研究開発投資のマイクロデータを活用して、このようなイノベーションの特徴を明らかにするとともに、日本産業の課題を分析する。日本産業が行う情報通信分野の研究開発投資は、2000年代後半から大幅に減少してきており、このような分析は非常に重要となっている。分析のフォーカスは、ソフトウエア関連発明の広がりとその創造過程、並びに情報通信技術の研究開発における垂直分業の進展の影響である。この分野の研究開発を含めて、日本産業が世界的に展開できる独自性の高い技術を生み出す研究開発の必要性は高まっている。このため、本稿では、日本産業の基礎研究がサイエンスの活用機会の拡大に反応してきたのか、また産学連携研究や企業への政府機関からの委託研究の影響分析も行う。これらを踏まえ、政策への含意を議論する。