グローバルな企業ネットワークから見た日本企業の現状

執筆者 戸堂 康之 (ファカルティフェロー)/柏木 柚香 (早稲田大学)
発行日/NO. 2017年3月  17-P-004
研究プロジェクト 企業の国際・国内ネットワークに関する研究
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概要

本稿は、グローバルな企業ネットワークにおける日本企業の特徴を分析する。分析にあたっては、世界のサプライチェーン、資本所有ネットワーク、共同研究(特許共同所有)ネットワークに関する情報を含んだ大規模なデータを用いて、ネットワーク科学の手法を利用し、日本企業を米欧中企業と比較することで、その特徴を明らかにする。本稿の主な結論は、以下の3点である。(1)いずれのグローバル・ネットワークにおいても、日本企業のほとんどはその中心には位置していない。(2)いずれのグローバル・ネットワークにおいても、日本企業同士は密接につながっている一方、日本企業と海外企業、特にグローバル・ネットワークにおける中心的な海外企業とのつながりは少ない。(3)したがって、日本企業の特徴は、グローバルな企業ネットワークにおいて多様性に欠けることであると結論づけられる。よそ者とのつながりを含む多様なネットワークが企業のパフォーマンス向上に結びつくことが見出されていることから、日本企業と海外企業とのつながり構築を支援していく政策(たとえば中小企業の海外進出支援、海外M&A支援、研究者の国際交流支援、経済連携協定拡充など)が日本の経済成長のために必要であると考えられる。