女性活躍の推進と日本企業の機能不全脱却について

執筆者 山口 一男  (客員研究員)
発行日/NO. 2013年1月  13-P-002
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概要

本稿はわが国の経済活動に関する女性活躍の推進について、まず男女賃金格差の原因と、女性人材活用を積極的に進める企業の生産性が高いにもかかわらず、その様な企業が非常に少ないという事実を明らかにする。次いで女性活躍推進の遅れの主な原因が日本的雇用慣行にあり、その慣行の歴史的成り立ちを特殊的前提での合理性と、それに関連する戦略的合理性の概念で説明する。またその様な合理性基準で出来上がった制度が、一方で時代の変化に対応できずに一種の劣等均衡になっていることを明らかにするとともに、他方で経済活動での女性の活躍推進がその日本企業の機能不全脱却の鍵であることを明らかにする。このような事実認識にもとづき、性別に関わらず誰もがその持てる潜在能力を発揮できる社会の一般理念を述べたあと、その様な理念の実現にむけて、女性の活躍推進を阻む社会制度のあり方を変換していくための、合理的かつ有効な政策的処方について筆者の考えを述べる。



「大変申し訳ございませんが、はじめにウェブ発表したPDPは図の1つが欠落しておりました。このためこの図を追加した原稿に2013年2月18日以降差し替えています。著者」



P38ページの7-9行に誤植がありましたため、2013年6月6日以降差し替えています。

誤)また小滝・児玉(Odaki and Kodama2010)は株主主権型の企業は会社主権型の企業に比べ、雇用者の企業特殊な人的資本への投資が多く、その点で内部労働市場の重視がより顕著であることを示したのである

正)また小滝・児玉(Odaki and Kodama2010)は会社主権型の企業は株主主権型の企業に比べ、雇用者の企業特殊な人的資本への投資が多く、その点で内部労働市場の重視がより顕著であることを示したのである