執筆者 | 宮島 英昭 (ファカルティフェロー) /小川 亮 (リサーチアシスタント) |
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発行日/NO. | 2012年7月 12-P-013 |
研究プロジェクト | 企業統治分析のフロンティア・日本企業の競争力の回復に向けて:企業統治・組織・戦略選択とパフォーマンス |
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概要
会社法改正案の中心論点の1つとして、社外取締役の選任義務化が提案されている。本稿では、義務化の当否を冷静に議論するため、2005年から2010年の東証1部上場企業を対象として、取締役会構成の決定要因と社外取締役の導入効果を検証した。本稿の実証結果から、(1)日本企業が近年ある程度まで企業特性に従って取締役会構成を選択し、また、社外取締役の導入効果が企業特性によって異なること、(2)企業特性から見て情報獲得が容易な企業群には、資本市場の圧力の低い企業を中心に、社外取締役の選任が企業価値を引き上げる可能性が高いにも関わらず、経営者の私的利益のために選任が遅れる企業が存在することがわかった。この結果は、外部から社外取締役の選任を促進する何らかの措置が不可欠であることを意味すると同時に、すべての企業に一律に社外取締役の選任を課する義務化がベネフィトばかりでなくコストを伴うことを意味する。従って制度設計としては、すべての企業に対する義務化よりも企業に選択の余地を残すことが望ましい。