工業統計パネルデータの作成
-産業構造データベースの一環として-

執筆者 新保 一成  (ファカルティフェロー) /高橋 睦春/大森 民
発行日/NO. 2005年3月  05-P-001
ダウンロード/関連リンク

概要

20世紀における我が国の産業構造の変化を追跡し,経済・産業政策を評価するためには,観察されたデータの発生機構を記述するモデルの構築が要請される。われわれは産業連関モデルを基礎として,20世紀における我が国の産業構造の変化を記述するモデルを構築することを念頭においている。この目的のためには,20世紀に我が国が作成・公表した諸データを,産業連関表を軸にデータ間及び時系列の整合性を保持して再構成し,観察事実を整理することが必要である。具体的には作成・公表された産業連関表の時系列に接続し,接続された産業連関表と工業統計の詳細な商品分類に対応する産出デフレーターを整備する。さらに工業統計及び石油等消費構造統計を事業所ベースの経年追跡データ(パネルデータ)として再構成し,接続された産業連関表との接合を行うことを目指している。われわれは,このように産業連関表を軸に各データを整合的に整理したものを産業構造データベースと呼ぶ。本稿は,ミクロデータとしても活用意義の大きい工業統計パネルデータ作成作業の実際について詳細に述べるものである。