執筆者 | 山下一仁 (上席研究員) |
---|---|
発行日/NO. | 2004年4月 04-P-007 |
ダウンロード/関連リンク |
概要
我が国の自由貿易協定締結を阻むもの、WTOでの日本の通商交渉全体の足かせとして、農業が槍玉にあがっている。政府は食料・農業・農村審議会を開き、農政の見直しを検討しており、7月に中間論点整理を行う予定である。本稿では、日本農業の構造改革が遅れ国際競争力が低下した原因として、高米価政策と土地利用規制(ゾーニング)の不在という政策の失敗がいかにして生産性向上に必要な単収の向上および規模拡大を阻害したかをフランス農業・農政とも比較しながら説明する。さらに、OECDでの提言やEUの農政改革を踏まえながら、農業の構造改革を推進するための政策としてゾーニングおよび直接支払いの必要性について説明するとともに、農政史上初の中山間地域等直接支払制度を設計した筆者が次に導入すべき直接支払いについて具体的な制度の内容を示す。