自動認識技術(非接触タグ:RFID)の可能性と政府の役割
~ 経済競争力確保のための標準化活動のあり方~

執筆者 泉田 裕彦  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2003年7月  03-P-001
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概要

近年、非接触ICタグ(RFID: Radio Frequency Identification)に急速に注目が集まっている。RFIDの小型化と低価格化が進み、流通や物流に活用することによって、経済活動を劇的に効率化する可能性(「ユビキタス社会の到来」)が指摘されている。一方で、利用者と供給者の利害不一致から政府の取り組みには基本理念の対立が持ち込まれている側面も見られる。本稿では、まず、RFIDの実経済への導入の現状と政府の取り組みを概観し、RFIDの普及へ経済的側面を検討して現在の課題を明確化する。次に、経済的課題を解決する鍵をにぎるネットワークとの役割分担のあり方と周波数割当の考え方を踏まえ、現在の標準化活動が製造者中心に行われていることが普及の障害となっている可能性を示す。これらを踏まえて、デジュリの国際標準化とは一線を画す利用者中心にしたオープンスタンダード形成の動きを検証しつつ、国際標準の制定に政府がどのように関与すべきかを論じる。