| 執筆者 | 岡崎 哲二(ファカルティフェロー) |
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| 研究プロジェクト | 産業政策の歴史的評価 |
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
特定研究(第六期:2024〜2028年度)
「産業政策の歴史的評価」プロジェクト
第2次世界大戦直後、米国による占領下で、日本政府は生産回復とインフレ抑制を通じた経済復興のための諸政策を実施した。この間、米国の政策変化を反映して、日本政府の政策は3つのフェーズを経過した。①生産の量的増加を最優先とし、生産性上昇を顧慮しないナイーブな経済統制、②生産性上昇をめざした経済統制、③市場経済への移行である。本論文では、こうした政策レジーム変化の経済的含意を、石炭鉱業を対象として研究した。新たに構築した炭鉱レベルのパネル・データの分析を通じて、第一に、ナイーブな経済統制、特に価格統制が石炭企業、特に初期時点で生産性が相対的に高かった石炭企業の生産性上昇へのインセンティブを歪め、これら企業の生産性が停滞したことが明らかになった。第二に、1948年以降、生産性上昇をめざして経済統制の方式が変更されたが、この変化は生産性に有意な効果を持たなかった。第三に、市場経済への移行は生産性上昇にプラスの効果を持った。ただし、下図が示すように、この効果は炭鉱の属性によって異なり、プラスの生産性効果があったのは、経済統制の下で生産性上昇へのインセンティブを歪められていた初期時点に生産性が高かった炭鉱のみであった。