ノンテクニカルサマリー

企業向け保険市場における逆選抜とモラルハザード-2011年タイ洪水からのエビデンス-

執筆者 足立 大輔 (イェール大学)/中田 啓之 (上席研究員)/澤田 康幸 (ファカルティフェロー)/関口 訓央 (コンサルティングフェロー)
研究プロジェクト 大災害に対する経済の耐性と活力の維持に関する実証研究
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

特定研究 (第三期:2011〜2015年度)
「大災害に対する経済の耐性と活力の維持に関する実証研究」プロジェクト

大災害のリスクにさらされている地域の経済発展や雇用の安定のためには、十分に整備された災害保険市場が効果的であると考えられる。本稿では、2011年タイ洪水を受けた企業調査ミクロデータを用い、当該地域・時点において、財産保険に関して地理的な逆選択が、事業休止保険に関してモラルハザードの問題があることを発見した。これを受けた政策的含意として、これらの問題を軽減するための方策が有効であると考えられる。具体的には、保険の強制加入、ハザードマップの作成・公開、リスクを反映した保険料率の設定などが政策課題として挙げられる。

図1:2011年(左)と2013年(右)における、被害地域とそれ以外の地域での財産保険加入率
図1:2011年(左)と2013年(右)における、被害地域とそれ以外の地域での財産保険加入率
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図2:事業休止保険加入の有無による、生産高(左)、ワーカー数(右)、事業休止期間(下)
図2:事業休止保険加入の有無による、生産高(左)、ワーカー数(右)、事業休止期間(下)
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図3:主要な結果の概念図
図3:主要な結果の概念図