執筆者 | 石川 知子 (筑波大学) |
---|---|
研究プロジェクト | 貿易・直接投資と環境・エネルギーに関する研究 |
ダウンロード/関連リンク |
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
貿易投資プログラム (第三期:2011~2015年度)
「貿易・直接投資と環境・エネルギーに関する研究」プロジェクト
投資協定仲裁は、過去二十数年の間で急激な利用件数の増加をみたが、反面、これに対する懸念および批判の高まりにより、今後の持続的発展の可能性が不透明な状況にある。システムに対する不信の背景に、仲裁廷が、国の規制権限を尊重する一貫した姿勢を示さず、仲裁廷による、「外国投資保護」と「公益保護」という異なる利益間の調整が不透明かつ予測不能であったことが挙げられる。本ペーパーは、この問題を前提に、環境問題を含む紛争において、実現可能かつ実効性ある対処法として、国際環境原則に照らした損害賠償額の調整を提案する。この提案の実務的な実行に当たっては、損害賠償の算定に環境会計の考え方を取り入れるといった方策が可能であるところ、具体的事例につき、複数の研究分野が協力して検討を行うことが将来的な研究課題である。
図:投資協定システムの危機