ノンテクニカルサマリー

-企業情報開示システムの最適設計-第1編 IFRS導入と最適開示システム設計のあり方

執筆者 古賀 智敏 (ファカルティフェロー)
加賀谷 哲之 (一橋大学)
向 伊知郎 (愛知学院大学)
浦崎 直浩 (近畿大学)
梅原 秀継 (中央大学)
研究プロジェクト 企業情報開示システムの最適設計
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

本ディスカッションペーパーは、国際会計基準(IFRS)の導入に対して、財務と非財務、四半期情報開示、および内部統制、監査の各制度が相互に補完的関係をもつ点に注目して、それらが相互に関連性をもって開示制度全体として「費用-対-効果」が適切に実現できているか否かを検証し、その改善に向けての方向性を明らかにしようとするものである。たとえば、IFRSの原則主義や公正価値会計の拡充化によって企業の裁量の範囲が拡大し、情報リスクが増大するとしても、リスク情報の注記開示の充実・強化を図ることによって、企業に多大なコスト負担をかけずに対応することが可能になる。また、経営者を含む統制環境やリスク・マネジメントの成否といった内部統制の強化によって、アウトプットとしての非財務情報の信頼性をプロセス段階で支えるものとして重要な役割をもつことができる。

下記の図は、これらの4つのサブ・システムが機械のギアのように相互に連動し、補完し合いつつ、全体として弾力性をもった企業開示システムの全体像を示すものである。

図:財務、非財務、内部統制および監査の相互補完関係
図:財務、非財務、内部統制および監査の相互補完関係
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