ノンテクニカルサマリー

産業連関表・鉱工業統計を用いた石灰石起源CO2排出などの評価・検証

このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

この要約(ノンテクニカルサマリー)は独立行政法人経済産業研究所の要請により評価・検証結果を踏まえつつ政策的含意を中心に記述したものでDiscussion Paperの一部分ではありません。評価・検証の正確な内容はDiscussion Paper本文をお読み下さい。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、独立行政法人経済産業研究所・国立大学法人大阪大学・慶應義塾大学産業研究所の見解ではありません。

日本の温室効果ガス排出量のうち、現行の算定方法による石灰石・ドロマイト起源CO2の排出量を産業連関表・鉱工業統計などを用いて検証した。

その結果、基準年である1990年については現行算定方法と本研究でほぼ同じ結果になったが、それ以降現行の算定方法側に極めて不安定かつ大きな誤差が見られ、2005~2007年平均では現行の算定方法は大きすぎる側に約100万トン-CO2(京都議定書基準年総排出量の約0.1%)もの誤差があると評価された。

このような不安定で大きな誤差を生じる要因を分析し検証した結果、現行の算定手法は供給側の統計と最終消費側の統計を混在させて推計を行っているため、下のような数百万トン-CO2規模の要因がいくつも互いに干渉し合って誤差を生じていたことが判明した。

  • 鉄鋼業などでの石灰石関連誘導品の内部・委託生産分が重複計上されていた
  • 陶磁器用・排煙脱硫用石灰石など大規模な排出用途が推計から抜けていた

従って、現行の算定方法は極めて不正確であり、速やかに改定されるべきと考えられる。