通商システムとガバナンスに関するサブグループ研究会
第2回研究会
概要
- 日時:
2013年5月20日(月)
- 場所:
経済産業研究所 1119国際セミナー室(経済産業省別館11階)
- 議題:
-
1)付加価値貿易 モノの貿易から価値の貿易へ
発表者:日本貿易振興機構アジア経済研究所 上席主任調査研究員 猪俣哲史氏
配付資料 [PDF:599KB]2)コネクティビティーをめぐる議論の状況
発表者:経済産業省アジア大洋州課 鬼塚貴子氏
配付資料 [PDF:1.6MB]3)産業界の通商提言とGVC
発表者:日本経済団体連合会国際経済本部 副部長 上田正尚氏
配付資料1 [PDF:520KB] / 配付資料2 [PDF:550KB]
質疑・議論
付加価値貿易
- 付加価値ベースで米国の対中赤字が減少することへの中国の反応如何。
(←大きな関心を持ってみている)。 - 付加価値ベースで米国の対中赤字が貿易収支で減少するとのことだが、経常収支についても、知財支払い等があるので通常の統計で見ても同じような結果になるのではないか。
雇用は入っているか
(←雇用の情報は入っている。経常収支についてはサービス統計の限界から分析が困難。知財もきれいに統計がとれない)。 - 付加価値貿易は、富の分配の公正性を議論しているのか
(←今はそこまで行っていない)。 - 反保護主義、サプライチェーンの広域化対応、モノサービスの一体的把握等が付加価値貿易から導かれるのでは。
- 途上国では、付加価値貿易の結論を政策に生かすことに反対している人も多い。
バリの閣僚会議では早いかもしれないが、付加価値分析の結論を政策にも生かしていく必要あり
(←ツールはそろいつつあるが、政策的意義についての議論はまだこれから。7月のアジ研セミナーで議論したい)。 - FTAの原産地規則に使えないのか
(←まだそこまで行っていない)。 - 付加価値で原産地を決めると、iPhoneは中国製にならない。
コネクティビティー
- 既に最適生産が先行しており、原産地ルールは、その実態にあわせてついて行くということか
(←yes)。
広域FTAと個別FTAの原産地規則は別々でも構わないのでは?
(←はじめはそうでも最終的には合わせて行く必要あり)。 - 日本にとって、他国がコネクティビティーを実現することは有益か、それとも他国に入られたくない分野があるのか?
(←貿易円滑化のようなものは、各国協力の余地あり。他方で、省エネのように日本が主導したい分野もある。インフラには、双方の要素があろう)。 - アセアンの「コネクティビティー」と、米国が進めている「サプライチェーンコネクティビティー」については、アセアンは、ハード・ソフト・人中心、他方、米国はサプライチェーンでソフトに着目という違いがあるように思える。米国はハードの手伝いはやりたくないということか?
(←米はハードでなく貿易円滑化等中心であることは事実。他方、アセアンは、APEC等でもコネクティビティーの議論に積極的に関与しており、両者は徐々に近づいていくのではないか)。 - アセアンは、日本からの資金支援に期待しているのではないか
(←日本に対しては、MIDECのような技術移転や人材育成への期待が高い。他方、資金支援への期待もあるのは事実)。 - BBM(behind the border measures)についての議論も必要
(←今後アセアンとも議論していく)。 - アセアンの中でも、国によっては、コネクティビティーが進むことにより、かえって自国の開発が遅れるという恐怖感があるのではないか。日本も二国間ではなく複数国間で経済協力を進めることが必要
(←日アセアンの枠組みで協力を進めており、日アセアンのファンドも活用して協力を進めたい)。
BBMについては、ADBが競争法支援等しているが、まだ正確なマッピングがないのが現状。日本が棚卸しすべき分野
(←日本の役割は重要)。
産業界の通商提言
WTOドーハラウンド中心からメガFTA中心に切り替えた提言。VC、サービスの重要性、メガFTAの遅れの取り戻しの必要性を強調。他方で、WTOの維持強化にも触れている。
スパゲティーボウル対策として、統一軸の必要性を明記した。
- TBTの重要性も追加して欲しい。
- 医療機器や食料のように、国内保護すると、輸出競争力も育たないとの視点が重要。
- 分野別にきちんとした軸をつくり、統一的な日本のポジションを固めることが重要。