円高と日本の国際競争力-「過度な円高」について-:投稿意見

森川 正之
理事・副所長

円(日本)の主体的地位の回復を

経済産業省中小企業庁経営安定対策室 成瀬 輝男

データを詳細に分析したわけではなく、門外漢の素人の、個人的な、感覚的な意見であり、稚拙なことを申し上げることをお許しください。

まず、現在の円高は、過去の円高のように日本の経済力が評価された結果ではなく、主に日本以外の要因で相対的、反射的に押し上げられたもの(欧州の信用不安、米国経済、新興国等の調整局面、中国、韓国等の自国通貨安政策等によって、行き場を失ったマネーの消去法によるリスクの回避先)にすぎず、日本以外の要因により相場が形成され、円(日本)が主体的に対応できるポジションにないことを危惧すべきではないかと思われます。過去の円高では、円(日本)はプレーヤーとしてゲームをリードできる立場にいましたが、今回は単なるボールとして転がされているにすぎないということです。

また、実質実効為替レートの水準は高くないと言っても、日本以外の通貨が相対的に安くなっている(相対的に円だけが高止まり)という事実以外に、現状を語るうえで本質的な意味を見いだせるのか疑問を感じます。

日本の経済力、競争力が低下しているなかでの円高であることから、過去と比較しても影響はより深刻であり、為替のみが円高となっているのは歪としか言いようがありません。

今後の国際情勢(欧州等信用不安の軽減、米国、新興国等の調整の一巡、中国経済の動向、東シナ海の地政学的リスク等)の展開如何によっては、これまでの円高傾向から、一転して円安方向に反転する事態も想定され、その場合の影響(円安によるプラス効果はありますが、空洞化が進行し競争力のなくなった段階で円安に陥るリスク)が懸念されます。

対応策として、ご指摘の対応に付け加えさせて頂くとすれば、長期的な視野で、日本の技術力、国際競争力を高め、円(日本)を主体的な要因として発信できる地位を回復することが、根本的な改善につながるのではないかと思われます。

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