樋口美雄ファカルティフェローの『雇用と失業の経済学』がエコノミスト賞を受賞
樋口美雄ファカルティフェローの『雇用と失業の経済学』(日本経済新聞社)が毎日新聞社「第42回エコノミスト賞」を受賞した。同賞は、日本経済および日本経済と世界経済との関連について、優れた分析を加えた著書(論文)に授与されるもので、選考委員長の伊東光晴氏は「地味ながら、パネルデータの活用を非常に高く評価した。労働市場について論ずる人はこの本を読まないわけにはいかないだろう」と述べ、毎日新聞社社長の斎藤明氏は「膨大なデータに裏打ちされた分析、時宜をえた提言」が樋口氏受賞の決め手と語った。
4月26日、東京・如水会館で行われた授賞式において、樋口氏は研究を始めた当初は「失業問題分析などやる必要はない、時代おくれだ」と言われていた。予算の無駄だから調査を止めろとの声もあった中でやっていて良かった、"継続は力なり"という思いで受賞を嬉しく思っていると述べた。また、本書の中で使用している同一個人の行動の追跡調査によって得た家計データや企業の永久コードによって既存データをリンクすることによって得た企業のパネルデータは日本で扱われることがあまりない。統計の宝庫といわれる日本だが、政府統計だけでは壁にぶち当たる。同じ企業や個人をずっと追うことによって初めて見えてくるものがある。それが評価されたことが嬉しいと語った。
受賞の喜びを語る樋口美雄フェロー | 特別賞を受賞したロナルド・ドーア氏と共に | ロナルド・ドーア氏(写真中央)、所長青木昌彦(写真左)と共に |