| 執筆者 | Willem THORBECKE(上席研究員) |
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
マクロ経済と少子高齢化プログラム(第六期:2024〜2028年度)
所属プロジェクトなし
米国は、膨張する債務を賄うために莫大な量の国債を売却しなければならない。国債のリスクが高まるにつれて、米国は保有者を引きつけるために、より高い利回りを提示する必要がある。
理論的には、債券のリスクは株式との共変動に依存するはずである。株式はリスク資産であるため、債券が株式と正の相関を持つ場合、債券のリスクが高くなり、投資家は保有する際により高い収益率を要求する。Campbell 他(2025)は、1970年代から2000年頃まで、債券価格と株式価格が正の相関を示していたと報告している。その後、それらの共分散は負に転じた。Pflueger(2025)は、後期において正の債券―株式共分散を生み出すためには、インフレショック(例えば原油価格の上昇)の組み合わせが必要であることを見出していた。
本論文は、1960年代に始まった債券と株式の共変動を検討するものである。図1は、債券価格と株式価格の間に統計的に有意な関係があったすべての四半期を示している。相関は1967年第4四半期以降、正で有意となった。この時期、インフレが加速し、連邦準備理事会は積極的にインフレと闘っていた。1967年第4四半期から1971年第3四半期までの間、16四半期中10四半期で相関は正で統計的に有意であった。1971年第4四半期から1974年第2四半期までは、統計的に有意なベータは存在しなかった。この期間、インフレ的な供給ショックが増加していたにもかかわらず、金融政策は概してハト派的であった。その後、ベータは49四半期にわたり正で有意であり、負になることは一度もなかった。特に1979年第4四半期から1981年第3四半期にかけて相関は非常に大きかった。この期間、イラン危機によりエネルギー価格が40%上昇し、連邦準備理事会はインフレと闘っていた。
本論文は、債券と株式の相関の上昇が、国債利回りの上昇と密接に関連していることを見出している。債券がリスクの高い資産になるにつれて、投資家は保有する際により高い金利を要求する。これは結果として、政府の債務返済コストを増大させる。膨張する債務に伴う利子コストを削減するために、米国政府は国債のリスクを低下させるよう警戒を怠るべきではない。本論文の結果は、その一つの方法として、米国が財政赤字を削減することを示唆している。
- 参考文献
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- Campbell, J.Y., Pflueger, C., and Viceira, L. 2025. Bond-stock comovements. NBER Working Paper 34323. Cambridge, MA: National Bureau of Economic Research (Accessed 12 December 2025).
- Pflueger, C. 2025. Back to the 1980s or not? The drivers of inflation and real risks in Treasury Bonds. Journal of Financial Economics, 167, Article Number 104027.