ノンテクニカルサマリー

中国における産業別無形資産投資:成長の源泉に関する拡張されたフレームワークに基づく予備的推定

執筆者 郝 晓辉 (カンファランス・ボード、ニューヨーク)/伍 曉鷹 (北京大学国家発展研究院 / カンファランス・ボード中国センター、北京 / 一橋大学経済研究所)
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

産業・企業生産性向上プログラム(第四期:2016〜2019年度)
「東アジア産業生産性」プロジェクト

今日のソフトウェア、研究開発、ブランド資産などの無形資産への投資は、将来の創造性と革新力を示す良い指標になる。40年間の高度成長を遂げた中国においては、競争が激化する国際市場における人件費の上昇と生産性の伸びの鈍化の課題に対処するために、さらなる技術進歩と技術革新を促進せざるを得ない重要な段階に到達したと考えられる。これが本研究の動機である。なお、中国における深刻な不動産バブルと過剰投資のため、われわれの無形資産推計も過大評価している危険がある。しかし今回の推計によれば、中国は無形資産投資の分野においては先進国と比較してまだまだ遅れていることが分かった。2013年、中国は全体の付加価値のうち、約8.1%を無形資産に投入したという結果が得られた。他方、米国は16.7%、英国は13.9%であった。また、無形資産の主要種類別から見ると、中国はソフトウェアなどの情報化資産と、研究開発を通じた革新的な資産への投資に重点を置いてきたことが分かった。これらの投資は、政府が主導する産業プロジェクトやインフラプロジェクトの恩恵を受けていると考えられる。一方で、競争市場における企業自身の意思決定に依存する、経済的競争力、例えばブランド資産への投資は力不足だということが明らかになった。

図:産業別無形資産投資の国際比較
図:産業別無形資産投資の国際比較