プログラム:人的資本

コロナ禍における日中少子高齢化問題に関する経済分析

プロジェクトリーダー/サブリーダー

殷 婷 顔写真

殷 婷 (研究員(特任))

リーダー

プロジェクト概要

少子高齢化が急速に進展していく中で、コロナ禍に直撃された日本では、多くの新たな課題が浮き彫りとなった。特に、限られた資源を、突発的な感染症にも備えつつ、医療産業・介護産業の生産性向上及び健康資本の形成を促すべく適切に配分していくことが、極めて重要な政策課題となる。また、医療・介護サービスに対して、巨大な潜在的な需要を有する隣国である中国は、今般のコロナ禍による予防医療・予防介護に対する認識も高まっている。そのため、今まで日本などにおいてとりわけコロナ禍において蓄積できた医療・介護サービスのノウハウを中国へ輸出する絶好の機会となっている。こうした問題意識をうけ、本研究は、詳細かつ膨大な個人・家計・施設情報が網羅されている、入手可能な既存データを用いて、日本と中国に即したモデルを構築、推計することに加え、日中の医療・介護産業についてそれぞれの実態を把握した上で、健康資本の形成を焦点に当て一連の経済学的な分析を行う。より具体的には、第1に、日中のレセプトデータを用いて、医療サービスの質に関する分析、現行の医療制度の健康資本の形成への影響などの分析を行う。第2に、インターネット・サーベイを通じてコンジョイントデータを構築することによって、日中の介護サービス内容と料金設定などの需要側の実態を相違点に留意しながら明らかにする。第3に、家計経済学的な視点から、少子化の主因の1つと指摘されるジェンダーギャップの実態及びそれがどのように出産行動に影響しているのかを解明する。また、第4に、高齢化に伴う親の遺産動機、高齢者の就業行動、および家庭内と家庭外の介護行動の変容と、これらが経済に与える影響、また、社会関連資本の決定要因及びこれらの健康への影響を明らかにする。最後に、これらの実証研究を通じて、より現実に即した理論モデルを構築し、それをもとに、現行の少子高齢化関連政策の評価も行い、コロナ禍の中での少子高齢化に関連する法律や税制、社会保障(年金、医療、介護)に関する日中比較を交えた政策提言を行う。

プロジェクト期間: 2023年2月 1日 〜 2026年1月31日

(上記プロジェクト期間のうち、研究活動期間は2023年2月1日 〜 2025年7月31日とし、データ利用報告期間は2025年8月1日 〜 2026年1月31日とする)

主要成果物

2023年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー