プロジェクト概要
2009年度~2010年度
通商関係条約(WTO協定、経済連携協定、投資協定など)は、通商措置を対象とするため、租税に関する言及があっても、租税措置のどのような面を規律するかは明確でなかった。しかし、通商条約が租税分野におよぼす規律の重要性は、国際的に広く認識されるようになった。
両者の関係の重要性は、第三者機関によって通商条約が客観的に解釈されることにより顕在化した。1980年代に酒の等級がGATT紛争解決手続に提訴され、GATT違反が示されたのは、GATTの規律が税制に及ぶことを明確化した好例である。また、通商条約のカバレッジの広がりにともない、両者の関係が問題となる機会も増大している。
さらに、この問題は、二国間租税条約の存在によって複雑化している。通商条約上、租税条約に関する事項が一定程度適用除外とされることは多い(GATS、日本のEPAなど)。しかし、そうでない場合は国内措置をどう変更するかという問題にとどまらず、通商条約と租税条約の条約相互間の調整の問題となる。このことは、両条約の紛争解決手続きの関係においても問題となる。
以上のような問題意識に基づき、国際法、国際経済法、租税法、EU法などの法学分野の研究者と場合によっては経済学の研究者を加えた小規模な研究会を組織する。
プロジェクト期間: 2008年10月14日 〜 2011年3月31日
主要成果物
2011年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
2010年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 11-J-036
「租税条約仲裁の国際法上の意義と課題-新日蘭租税条約の検討-」 (小寺 彰) - 10-J-053
「相互協議に関するいくつかの問題」 (伊藤 剛志) - 10-J-051
「二国間租税条約上の無差別条項」 (増井 良啓) - 10-J-040
「国際課税と通商・投資関係条約の接点」 (渕 圭吾)