政策研究領域(基盤政策研究領域) III. 経済のグローバル化、アジアにおける経済関係緊密化と我が国の国際戦略

「国際貿易と企業」研究

プロジェクトリーダー/サブリーダー

若杉 隆平 顔写真

若杉 隆平 (ファカルティフェロー)

リーダー

戸堂 康之 顔写真

戸堂 康之 (ファカルティフェロー)

サブリーダー

プロジェクト概要

2010年度

企業の生産性の高さが輸出や直接投資への参入を促す要因となることについては、近年多くの理論分析が行われており、企業の異質性を国際貿易に関する分析に取り入れることは、研究の世界的潮流となっている。しかし、日本企業に関しては、まだ十分な研究がなされていない。この分野での研究を深化させることは、新しい貿易理論の実証研究において、米・欧の研究グループに対応して日本の研究グループとして国際的に一定の貢献をすることになる。また、日本企業の輸出と直接投資は、経済成長、所得水準の維持にとって大きな意味を有する。このため本研究では、企業の異質性に注目した最新の理論的実証的研究の成果を踏まえ、企業レベルデータを用いて日本企業の貿易・海外投資・現地生産を分析することにより、新たな研究の進展を目指すとともに、産業政策上の含意を引き出すことを目標に研究を進めている。

2010年度においては、企業の異質性が国際貿易にもたらす影響、企業の輸出を決定する要因、直接投資とR&D活動に関する研究を行うとともに、国際貿易と労働市場の関係、特に国際貿易が正規雇用と非正規雇用に与える影響についても研究を行う。

2009年度

企業の生産性の高さが輸出や直接投資への参入を促す要因となることについては、近年多くの理論分析が行われており、企業の異質性を国際貿易に関する分析に取り入れることは、研究の世界的潮流となっている。しかし、日本企業に関しては、まだ十分な研究がなされていない。この分野での研究を深化させることは、新しい貿易理論の実証研究において、米・欧の研究グループに対応して日本の研究グループとして国際的に一定の貢献をすることになる。また、日本企業の輸出と直接投資は、経済成長、所得水準の維持にとって大きな意味を有する。

本研究では、これまでhomogeneousにとらえられてきた企業が実際にはheterogeneousであることに注目した最新の理論的実証的研究の成果を踏まえ、企業レベルデータを用いて日本企業の貿易・海外投資・現地生産を徹底的に分析することにより、新たな研究の進展を目指すとともに、産業政策上の新たな含意を引き出すことを目標に研究を進めている。

2009年度においても、基本的には前年度に引き続き、国際貿易に企業の異質性 がどのように関わっているかを理論、実証の両面から研究するが、金融危機後の世界不況と日本企業の輸出行動に焦点を当てた研究を発展させるため、貿易と労働(正規雇用と非正規雇用)、輸出産業育成政策のレジティマシー、輸出企業のパフォーマンス、輸出活動とR&D活動の相互補完関係、金融危機と輸出の構造変化といった研究課題にも取り組む。

2008年度

企業の生産性の高さが輸出や直接投資への参入を促す要因となることは、Melitz(2003), Helpman et al (2004)等により理論的に明らかにされてきた。また、近年これらの理論分析の現実への妥当性について、Bernard and Jensen(1995, 1999), Bernard et al(2007)等がアメリカ企業を取り上げて分析している。さらに、Mayer and Ottaviano(2007)は欧州企業について包括的な研究を行うことにより、企業の生産性と輸出・FDIに関する特徴を明らかにしてきた。このように、企業の異質性を国際貿易に関する分析に取り入れることは、研究の世界的潮流となっている。

日本企業に関しては、Head and Ries(2001, 2003), Kiyota and Urata(2005), Tomiura(2007)等が実証的に明らかにしてきたが、まだ十分なものとは言えない。その意味では、今回まとめられたディスカッション・ペーパー「国際化する日本企業の実像-企業レベルデータに基づく分析-」(若杉隆平・戸堂康之・佐藤仁志・西岡修一郎・松浦寿幸・伊藤萬里・田中鮎夢)は、この分野の包括的研究として位置づけられるものと考える。しかし、統計データを丹念に追跡しているものの、更に深い実証分析と考察が求められていることも確かである。この分野での研究を深化させることは、新しい貿易理論の構築と実証研究において、米・欧の研究グループに対応して日本の研究グループとして国際的に一定の貢献をすることになる。

また、日本企業の輸出と直接投資は、経済成長、所得水準の維持にとって大きな意味を有する。そこで、本研究では、これまでhomogeneousにとらえられてきた企業が実際にはheterogeneousであることに注目した最新の理論的成果を踏まえ、企業レベルデータを用いて日本企業の貿易・海外投資・現地生産を徹底的に分析する。このことにより、産業政策上の新たな含意を引き出すことが期待できる。

プロジェクト期間: 2008年9月 2日 〜 2011年3月31日

主要成果物

2011年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

2010年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー

2009年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

2008年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

CEPR-RIETI 国際ワークショップ