組織のフォーマルな側面とインフォーマルな側面:投稿意見

瀧澤 弘和
研究員

「組織のフォーマルな側面とインフォーマルな側面」について

(有)MHV経営研究所 所長 経営コンサルタント 志村英盛

論文を要約すると、「組織においては、経営者と従業員のインフォーマルな信頼関係の維持こそ重要である。組織における経営者の基本的役割は従業員との関係的契約(=暗黙の契約)のメンテナンスにある。関係的契約は当事者間の長期固定の関係を前提とするものであり、自己実効性で担保されるものである。経営者は、場合によっては、長年続いた古い関係的契約を破る意思決定も必要となる。しかし関係的契約を経営者が自ら破っておいて、新しいインフォーマルな信頼関係を築くことには多大の困難が伴う」ということであると理解しました。

私は長年、中堅中小企業の経営コンサルティングに従事してきました。インフォーマルな信頼関係があってこそ、はじめてフォーマルな契約が生きてくるというアプローチに全く同感です。
インフォーマルな信頼関係は、表現を変えれば、相互信頼感(マイナスに働くときは相互不信感)の強弱、組織の社会的存在価値に対する経営者および従業員の貢献意識の有無・強弱、経営者の従業員の潜在能力開発に対する熱意と先行投資額(資金と時間)といえるのではないかと思います。

情報化とグローバル化が進行して、古い関係的契約が音をたてて崩れていくよう感じる現在、どのような組織においても、インフォーマルな信頼関係の重要性を強く意識して、強化していくことが必要だとつくづく思いました。

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