コーポレートガバナンス最前線~財務省財務総合政策研究所「進展するコーポレート・ガバナンス改革と日本企業の再生」~:投稿意見

宮島 英昭
ファカルティフェロー

「コーポレートガバナンス最前線」について

経済産業省経済産業政策局企業財務室 成瀬輝男

ご意見:
執行役員制度、社外取締役制度の導入とパフォーマンスの関係について、分析の結果優位の関係はなく、その理由として制度の形式的導入が多いことを挙げられ、米国型統治機構が日本企業に該当する普遍的モデルではない、と結論づけられておられますが、これについて、全体としてはそのとおりであり、異を唱えるものではありませんが、若干、確認の意味を込めまして整理と補足が必要ではないかと思います。

釈迦に説法のお話で、申し上げるまでもないことで恐縮ですが、社外取締役制度は、年金基金等がキャピタルゲインの限界に直面しインカムゲインの増大を図るよう運用方針を転換し、経営に関与し始めたことがひとつの契機となり、企業の経営の効率化を最大限追求するためのシステムとして、取締役に強大な権限を与える一方、監視役として社外取締役が設置されているものであり、このシステム自体は経営効率によりパフォーマンスの最大化を図るという観点からすれば、現在考えられている制度の中で最も有効なものといえるのではないかと思います。

問題は、日本は上場企業と言えども、子会社、関連会社又は系列関係にある会社が多く、近年解消が進んでいるものの、依然として持合をはじめとした本来の資本市場から募集した株主ではない株主が太宗を占めている企業が多いことに起因していのではないでしょうか。

こうした企業と、純然たる資本市場から調達を図っている企業とを区分して考える必要があるのではないでしょうか。

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