ブロードバンド戦略 勝敗の分かれ目

用語解説

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執筆者 著:池田 信夫
出版社 日本経済新聞社 / 定価1600円+税
ISBN 4-532-14945-2
発行年月 2001年12月
購入 Amazon.co.jpビーケーワン

第1章 ブロードバンドとは何か

Page 1.マルチメディアからブロードバンドへ
15 ミドルバンド ブロードバンドは1mbpsや3mbpsではなく、動画などの大容量がやり取りできてこそブロードバンドであることを前提に、現在の回線はまだミドルバンドであることを指す。
17 ベスト・エフォート 通信速度が保証されない方式。ネットワークの混雑や接続先の状態などで通信速度が変化することを指す。
19 ドットコム 元々は、アイデア1つでインターネットという新しい市場に乗り込んだ企業を、米国の企業ドメイン(.com)にちなんで呼んでいた言葉だが、現在は特にネットベンチャーを表わす用語として使われることが多い。
20 VoIP
(Voice over IP)
IPネットワーク上で音声通話を実現する技術。電話網のインフラをデータネットワークと統合することで、回線の稼働率を上げ、通信コストを下げることが可能。
21 MP3
(MPEG Audio Layer-3)
音声データのデジタル圧縮技術の名称。MPEGは動画圧縮技術として知られているが、音声圧縮も扱っており、mp3はMPEG Audio Layer-3の略称にあたる。
22 WWW
(World wide web)
欧州核物理学研究所(European Center for Nuclear Research。CERN)で開発されたドキュメントシステム。ドキュメント中に他のドキュメントへのジャンプコマンドを埋め込むことができる。このジャンプコマンドとしては、URL(Uniform Resource Locator)を使用し、Internetに参加している世界中のWWWサーバのどのドキュメントにもジャンプすることができる。
Page 2.すべての道はIPへ
24 ネットワーク外部性 ある製品の全体的な利用者が増えれば個々の利用者の利便性が向上し、その製品にかかわる補完的供給がまた増大する。この現象をが見られるときに使われる言葉。
25 TCP/IP
(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)
Transmission Control Protocol / Internet Protocolの略。インターネット等で用いられているネットワーク上でデータを交換する際の取り決め(プロトコル)。本来はTCPとIPという二つの別なプロトコルのことであるが、二つをあわせてTCP/IPと呼ばれることが多い。
25 オープン・スタンダード 開発情報を全て公開することで、世界中の開発者と共同に製品を開発し世界標準を築く方法。有名な例としてはLINUXがあげられる。
25 オフィス・アプリケーション マイクロソフトなどが作成したword,excel,powerpointが入ったソフトウェアのことを指す。
28 コングロマリット 業種・業務面で関係をもたない企業間の合併を通じて成長した複合企業体。
28 カプセル化 ある複合的なデータが存在した時に,データ構造の内部の情報を外部から直接参照できないようにし,代わりに,データ操作のためのインターフェースを外部に提供すること。データに対する操作を明確に規定するとともに,データ操作の一元化により,不用意なデータ操作をなくし,プログラムに誤りが入りにくくすることができる。また,内部データを直接扱わないので,管理すべき内部データの仕様が変更になってしまっても,インターフェース部さえ変更がなければ,それ以外のプログラムの改修は必要がないなどの利点がある。
32 ギガビット 1秒間に1ギガビット(=1000メガビット)という高速ネットワークを実現する技術のことを指す。
35 ポータビリティ 携帯電話の番号が容易にキャリアに依存することなく変更できるようになるなど、物理的な携帯性以外のことも指す。
35 リアルタイム・デコーダー 瞬時に圧縮されたデータを復元する機能。
36 IPマルチキャスト IPを使用して一つの情報を同時に複数の相手へネットワークを通じて配信する技術。
36 セットトップボックス ケーブル-テレビのケーブルと受像機を接続する装置。双方向通信を用いて,インターネット接続やビデオ-オン-デマンドの機能をもつものもある。
37 UDP
(User Datagram Protocol)
TCP/IPプロトコルにおける、トランスポート層のプロトコルだが、オーバーヘッドがないので、処理は簡単であり、高速という特徴がある。
37 ATM
(Asynchronous Transfer Mode)
データ、音声など異なる種類の情報を53bytesの固定長のセルに分割して伝送する方式で、ATMスイッチと呼ばれる交換機によってあて先を振り分ける。光ファイバなどの高速伝送を有効に活用するのに用いられる。
37 VAN
(Value Added Network)
コンピュータ向けの大容量の回線を持つ業者が、その回線のリセールを行なうサービス。「付加価値通信網」と訳されることが多い。

第2章 最後の1マイル

Page 1.DSLとケーブル・インターネット
41 ハブ LANのケーブルを集中して接続する集線装置。小さなネットワークの場合はハブ1台で簡単なLANを構築することが可能である。
43 DSLAM
(DSL Access Multiplexer)
電話局側に設置される数百から千回線程度を1つの筐体で扱える、集合タイプのADSLモデムをDSLAMと呼ぶ。DSLAMは、ADSL接続の処理、上位回線との間でのATMセルの分離・多重化などを行う。
46 VDSL
(Very High Speed Digital Subscriber Line)
接続距離を限定する代わりに、最大転送速度を50Mbps程度まで高速化したxDSL技術。通常のADSLでは最大4~5kmまでの距離でサービスを行なうことを想定しているが、VDSLではより大容量の回線を短い距離で使い(最大でも1.5km程度)、転送速度を向上させている。
48 MSO
(Multiple System Operator)
複数のケーブルテレビ局に出資し統括運営することで運営効率を高め、そのメリットを加入者に還元する事業者。
49 アンバンドリング ハードウエアとソフトウエアを別々に販売することを指す。
Page 2. 光ファイバー時代は来るか
51 WDM
(Wavelength Division Multiplex)
次世代インターネットのバックボーン回線への応用が期待される、広帯域の光ネットワーク技術。「波長分割多重」と訳される。WDMでは、1本の光ファイバに異なる波長の光を通してチャネルを多重化することで、大容量のデータを双方向で伝送することが可能になる。
57 ルーティング ネットワークで,相手のデバイスにデータを送信するための経路を決定すること。

第3章 通信と放送は融合するか

Page 1.ニューメディアとマルチメディア
65 OSI
(Open Systems Interconnection)
異なるコンピュータやメーカーのものを自由に通信できるように通信機能をいくつかの機能に分割し、”階層化”の概念を導入することによってネットワークが持つべき通信機能を七つの層に分けた規定。
Page 2. ハイビジョンの悲劇
83 VGA
(Video Graphics Array)
IBMが開発し、同社のPS/2に組み込んだグラフィックスサブシステム。640×480ドット 16色の表示が可能なもの。
83 XGA
(eXtended Graphics Array)
90年にIBMが発表したディスプレイ規格。それまで一般的だったVGA(640×480ドット 16色、80カラム)を拡張し、1024×768ドット 256色、132カラム(インターレース)を表示可能にした。
83 プログレッシブ(順次走査)方式 テレビ画像の表示方式の一。画面上の走査線を上から下へ順に全て走査する方法。画面のちらつきが無いのでパソコンのディスプレーなどに用いられている。
Page 3. デジタル放送の泥沼
85 MHEG
(multimedia and hypermedia experts group)
放送局の送信装置から視聴者の受信機へ伝送する場合のように、不特定多数のシステム間でマルチメディア情報を相互交換するための標準規格シリーズ。
87 ATVEF
(Advanced Television Enhancement Forum)
放送の双方向性を推進しHTML(XML)をベースとした標準仕様を策定している。テレビ番組制作会社、放送局、家電メーカー、コンピューターおよびインターネット情報機器関連各社で構成される団体。
97 OEM
(Original Equipment Manufacturer)
相手先ブランドで再販される製品を出荷しているベンダ。OEMベンダがOEM先に製品を供給し、OEMを受けたベンダはそれに独自の機能を付加するなどして自社の製品として販売すること。
99 DVB
(Digital Video Broadcasting)
1997年以来、互換性のある標準の家庭用受信装置を通じた各種放送通信サービスの提供を予定しているサービス・プロバイダ各社により策定された国際標準。コスト効率のよく、容易にインタラクティブ型テレビ・アプリケーションを開発し、放送することのできるのが特徴。

第4章 メディアの変貌

Page 2.情報は自由を求めている
116 ftp
(File Transfer Protocol)
インターネット上でファイルをやりとりするときに使用される、通信上の決まり(通信プロトコル)のひとつ。インターネットの標準的なファイル転送の方法として利用されている。
117 グヌーテラ インターネット上でピア・ツー・ピア(対等型)のファイル交換を行うためのソフトウエア、及びそのプロトコル仕様。Gnutellaの稼働しているクライアント同士で、自由にファイルの検索・交換を行えるだけでなく、相手の接続している(または接続されている)クライアントの情報を得て、さらに別のクライアントと自動的に接続する機能を持つ。
120 オープンソース・ソフトウェア コンピューター-プログラムのソース-コードの利用において,複製・修正・再配布などが自由に認められている製品。
124 ポータル インターネットでウェブ-ページを見る際に,最初に入るウェブ-サイト。代表例としてはYAHOO!などがある。

第5章 インターネットを越えて

Page 1.インターネットかブロードバンドか
135 MPLS
(Multi Protocol Label Switching)
パケットの高速転送を可能にするレイヤ3スイッチングの技術。現在、IETFで標準化作業が行なわれており、「ラベルスイッチング」とも呼ばれている。
135 VPN
(Virtual Private Network)
私設仮想回線ともいう。Internetにデータを送出する前にデータを暗号化して送り、また受信した側のノードでそのデータを復号化して、目的のホストに届けるようにし、セキュリティを確保。この暗号化をユーザーから透過的に行ない、かつユーザー認証によってある特定のユーザーだけしかアクセスできないようした上で公衆回線網を使っても、専用線接続と同じようなセキュリティを保つことができる。
Page 2. IPから光スイッチへ
139 NAT
(Network Address Translation)
社内のみで通用するプライベートIPアドレスと、Internetアクセスに利用できる本来のグローバルなIPアドレスを相互に変換し、ローカルなIPアドレスしか割り当てられていないノードから、透過的にInternetをアクセスできるようにする技術。
140 JPNIC
(JaPan Network Information Center)
JPNICは、日本における、IPアドレスやJPドメイン名の割り当てや管理などの業務を行なう組織。IIJや東京インターネットを始めとする全国のInternetプロバイダらが正会員となり、その運営に参加している。
149 ストレージ・ネットワーク 今までデジタル情報を記録・保存するハード-ディスクや光磁気ディスク-ドライブなどをネットワークを通して遠隔の記録媒体に書き込みや読み込みを行えるネットワークの事を指す。
150 CDN
(Contents Delivery Network)
ブロードバンドIPネットワークを利用して、主にエンドユーザまでのコンテンツ配信を行うことを目的とするネットワーク。
152 DVR
(Digital Video Recorder)
ビデオテープのかわりにハードディスクに録画し、番組予約などが容易に行えるシステム。

第6章 電波はだれのものか

Page 1.携帯電話の限界
156 WAP
(Wireless Application Protocol)
インターネット上の文書を携帯電話やポケットベル,携帯型パソコンなどに伝送する方式を標準化したもの。
159 WML
(Wireless Markup Language)
スウェーデンのEricsson社,米Motorola社,フィンランドのNokia社,米Unwired Planet社が設立したWAPフォーラムが仕様を作成した,表示画面に限りのある移動端末でインターネットに無線アクセスし,ブラウザで表示するための記述言語。
161 FOMA
(Freedom of Multimedia Access)
NTTドコモが提供している第3世代移動体通信サービス。転送速度は現在384kbpsだが、2Mbpsまで向上する予定。
162 W-CDMA
(Wideband-Code Division Multiple Access)
限られた帯域幅を多くのユーザーで有効に利用するための多元接続方式の1つ。CDMAと技術的に大きな違いはないが、移動体通信として現在用いられているcdmaOneの帯域幅1.25MHzに比べて広い帯域を使うという点が異なっている。
163 PDC
(Personal Digital Cellular)
現800MHz/1.5GHzの周波数帯を使った日本標準のデジタル携帯電話方式のこと。
163 GSM
(Global System for Mobile Communication)
ETSI(欧州電気通信標準化協会)が技術を標準化した、ヨーロッパ全域で利用できるTDMA(時分割多元接続)方式のデジタル・セルラー電話システム。「汎欧州デジタル移動電話方式」という。
164 GPRS
(General Packet Radio Services)
欧州などの移動体通信の標準プロトコル“GSM(Global System for Mobile Communications)”を拡張したパケット通信方式で、標準で56kbps、最高で115kbpsまでのデータ通信が可能になる。
164 TDMA
(Time Division Multiple Access)
時分割多元接続。高速LANで採用されている通信制御方式の一つ。モバイル通信でのアクセス制御方式の一つでもあり、この方式は、時間をごく短い一定時間ごとに分割し(タイム・スロット)、このタイム・スロットを各ノードごとに割り当てることにより、あたかも一つのノードで伝送路を独占しているようにした方式。
165 3GPP
(3rd Generation Partnership Projetct)
第三世代携帯電話の国際的な技術規格。
Page 2. 無線インターネット革命
171 PDA
(Personal Digital(Data) Assistants)
携帯性を重視した個人用の情報端末。一般的には手のひらに収まるサイズの電子機器で、液晶表示、ペン入力、外部データ利用などの機能を備えており、バッテリ(電池)で駆動するもの。日本ではシャープの「液晶ザウルス」、米国ではPAMeの「PALM」、ソニーの「CLIE」などが有名。
174 BAWUG
(Bay Area Wireless Users Group)
無線LANによる近隣住民へ無線ネットワークの構築を行っているグループ。
Page 3.電波社会主義の解体
187 GPS
(Global Positioning System)
24個の人工衛星のうち、もっとも受信しやすい3個の衛星からの電波を受信することによって、位置、移動方向、速度を計算する。カーナビゲーションで使用されているものがよく知られている。
192 FWA
(Fixed Wireless Access)
加入者と電気通信事業者の交換局や有線回線との間を無線で接続して、固定回線として使用するアクセス技術。

第7章 日本の戦略

Page 4. 大競争時代のIT戦略
240 ダーク・ファイバー 敷設はされているが,まだ使用されていない状態の光ファイバー。他の通信事業者への開放が問題となっている。