Special Report

法学と数理的分析

吉岡 正嗣
コンサルティングフェロー / 東京大学法学政治学研究科先端ビジネスロー特別研究員

人工知能や量子コンピュータなど技術の進展をみると、今の産業技術は精緻な論理の積み重ねである人知の結晶「科学」が力の源泉だということを知るとともに、一昔前に大事にしていた「経験とカン」の時代は終わったのかもしれないとも思う。

自然科学と数学は古くから密接に関連してきた。物理学との関係は特に密接であり、万有引力の法則など物理学の基礎を築いたニュートンは微積分を創造した偉大なる数学者であったし、任意の周期関数は三角関数で表すことができるというフーリエ解析の考案者は熱伝導の研究で知られるフーリエであった。標本の収集・分類などを行ってきた生物学にも数学的知識の必要な統計学や進化的ゲーム理論が活用されている。

数学活用の流れはますます加速している。理化学研究所は、数学は理論科学の共通言語であり、海外では現代数学を他分野に活かそうとする取組が盛んに行われているとして、2016年に「数理創造プログラム」(iTHEMs)なるものを創設した。数学は、論理を記述するに最適な手段であり、科学領域にかかわらず普遍的な機能を持っている。その波は文系領域にも押し寄せているのである。

文系領域の中でも自然科学に一番近いといわれてきた経済学ではかなり前から教科書に数式が溢れていた。ワルラス、サミュエルソン、ナッシュなど著名な経済学者は、数学を持ち込んだ先人たちである。ゲーム理論の教科書も今や数式がみっちり記述されている。政治学では、つい数十年前までには深みある言葉が教科書の醍醐味であったが(京極純一先生の本を思い起こす)、今やゲーム理論や統計的分析を用いた数理的分析が当然のように行われている。政策学の世界でも、EBPMの議論が進んでいる。データ取得の難から実証研究の本格化はまだ先だが、理念的な議論自体は行われている(拙稿「スタートアップと私募の世界 ―禁じられた商行為とトマス・アクィナス―」でもディープテック・スタートアップ支援事業とVCの投資利回りの関係を扱っている)。

そして、伝統的に比較法研究が基調であった法学の世界にも、ファイナンス論やゲーム理論を駆使した数理的分析が進出している。昭和後期の法と経済学の初期的な議論の紹介を嚆矢に2010年代には数理法務という本格的なものが紹介され、急速に増勢している。

草野先生が、「法律学は長らく『文系』の学問として扱われてきた。⋯数理的技法を用いて法を語るもの⋯は斯界の異端児として好奇と懐疑の目に晒されてきた」(草野耕一『数理法務のすすめ』)と記したのは、つい10年前のことである。しかし、それは過去の一幕へと変わり、経済学ほど顕著ではないにせよ、数理的分析は今や法規範を左右するほど直接的な影響力を持つようになった。

平成27年の株式買取価格に関する最高裁決定(27年最決(注1))はその一つである。最高裁は、「非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウントを行うことはできないと解するのが相当である。」と述べた。だが、この27年最決には、ファイナンス論からみて重大な誤りがあるとの指摘が相次いだ。江頭憲治郎教授[会社法](注2)は、「非流動性を考慮した減価を行うことを否定する当該判旨は、誤りである」と断じている。詳細は後の参考に記すが、要点を一言でいうと、計算に必要なβ値とよばれる数値につき非上場株式については取得困難であったため上場株式の数値で代用していた、最決はそれを見逃した、というのである。この批判の趣旨を理解するには、ファイナンス理論のCAPM(キャップ・エム)とよばれる資本資産評価モデルを理解する必要がある。

近時の譲渡制限株式の売却価格に関する令和5年の最高裁決定(5年最決(注3))は、27年最決と一見真逆の判断を行った。譲渡制限付株式の「売買価格」の算定にあたって「市場性がないことを理由に減価を行うことが相当と認められるときは、非流動性ディスカウントを行うことができる」と説示したのである。「⋯相当と認められるとき」に「できる」のは至極当然であり、それ自体批判の余地は乏しい。では、5年最決で事が解決したかというとそう簡単ではない。本決定は、「所論引用の判例(27年最決)は、事案を異にし、本件に適切でない」と述べて27年最決を覆さなかった。射程を限定したところで「いつか限界に達して破綻するおそれ」(三宅新教授[会社法])と評する見解もあるなど散々である。

もっとも、判例が「収益還元法」(27年最決)又は「DCF法」(5年最決)の算定式には、実務では通常、流動性制約が織り込まれているものとの理解に立つのであれば、両者相反するわけではないとの理解も成り立ち得る(後記参考参照)。法学徒の立場からみるとファイナンス論の理論と実務の間には理解の乖離があるのではないかとの疑念を抱くのだが、いずれにせよ、ここではファイナンス理論が提示する算定式の分析が判例の解読に不可欠であるということを述べておこう。

数理的分析が法規範にクリティカルな影響を及ぼしたもう一つの例としてオプションの評価理論を紹介しよう。

会社法学には、募集新株予約権の有利発行につき、「有利」をどのように把握するか、という論点がある。かつては払込金額と行使価額の合計額を基準にそれが株価と比べて有利であるかを検討する説もあった。しかし、これは、募集新株予約権が「オプション」としての性質を持つことを見過ごしていることが指摘されている。オプションは、ブラック=ショールズモデルなどのオプション理論により価額評価しなければならない。藤田友敬教授[会社法]などの指摘を受け、今ではオプション評価理論に基づき有利発行を論じる考え方が一般的となり、実務にも広く浸透した(東京地判平成18・6・30判タ1220号110頁等)。

オプション評価理論は、仕組債販売における説明義務が問題となる場面でも必要な議論である。「仕組債」になじみのない方に簡単に説明すると、それは低金利時代に金融機関が高齢者を含む一般投資家に利回りの良いものとして勧誘し、トラブルが続発した金融商品である。著名な銀行が処分を受けるなど社会問題にもなった。近時、金融庁は「仕組債」販売に対して極めて厳しい姿勢を打ち出し、販売額もかなり減少している。少し前に販売された仕組債が紛争になり、昨今、裁判所の判断が相次いでいるのである。

仕組債も新株予約権と同じく「オプション」の性質を有している。仕組債は一応、金融商品取引法上の「債券」であるため、そこから得られるクーポン(利金)は、一見、資産運用の利子と勘違いしやすい。だが、実際には価格変動(ボラティリティ)を引き受けることの対価であり、金融工学の書籍では正規分布や分散などの図が登場し、数式をもって説明がなされるものである。実務でもブラック=ショールズモデルを用いてオプション評価額を算定しており、一般投資家が理解に難渋するのは当然といえよう。それでも、その意味するところを概略でも理解しなければ、普通の債券の性質との違いはピンとこない。これを理解しない一般投資家が、高いリスクを安い対価で引き受けていることに気づかぬまま仕組債を反復的に購入してしまうと、いずれ大きな損害に遭遇するおそれがある。にもかかわらず、裁判例の傾向をみると、この事項(リスク引受けの対価性)は、投資判断に必要な情報とはいえないとする考え方が一般的なのである。この傾向には疑問を感じる(ジュリスト2025年3月号拙稿判例評釈参照)。

法学は、伝統的には、比較法研究が基調で数理的分析が用いられる分野ではなかった。今では、法学研究には、ゲーム理論、契約の経済理論などが普通に利用されている。そして、上記のように「法規範」に直結する議論も生じており、Σ・分散・標準偏差などの数学用語に傍観者ではいられなくなってきた。

この流れはさらに加速するだろう。海外の議論の状況をみていると時間の問題であるようにも思われる。

足跡痕の証拠力に関する英国裁判所の説示(R. v T [2010] EWCA Crim 2439[現場の足跡痕の信頼性])やコーパス言語学(デジタル化した大量の言語資料を用いて言語を研究する学問のこと)を用いた法解釈の動き(例えばState v. Rasabout 356 P.3d 1258[“discharge”は発射一発をいうのか弾倉を空にすることをいうのか])など数理的技術に関する議論は増勢の一方である。日本語に守られた「法学」も数理的手法の荒波にのまれつつある。

経済学、政治学、政策学、法学と次々に陥落し、今や純粋に「文」系といえる分野は少なくなってきた。文学や歴史学などは最後の砦になるのだろうか。純粋「文」系が局所的にしか存在しなくなると、次第に「文理」の分け方自体、意味を失う日がくるかもしれない。

数理的分析が切り開く可能性は強く感じられ、興味津々である。コーパス言語学に近いところでいえば、日本でも債権法改正時に「債務の本旨」の「本旨」の意味が、明治民法起草時には「本質」という意味より「内容」という通常の日本語として使われていたことが指摘され、用語を置き換えるべきという議論があった。大量のデータを解析できれば、この議論もより正確に支持できそうである。

だが、その楽観的な感想も今だからのことであり、裁判所の合理的裁量を実質的に羈束行為(きそくこうい(注4))化しかねないファイナンス理論の場合と同様、そのうち興味津々などという優雅な姿勢を保っていることもかなわない時代がくるのかもしれない。

(参考)流動性ディスカウントに関する最決平成27・3・26民集69巻2号365頁(27年最決)への批判とその考え方

本件は、2012年に食品卸のセイコーフレッシュフーズが道東セイコーフレッシュフーズを吸収合併したところ、吸収合併に反対した株主が、保有株式の買取りを請求したが不調であったため、会社法786条2項に基づき価格の決定の申立を行った事案である。一審と原審は、非上場株式は上場株式のように株式市場で容易に現金化することが困難であるので非流動性ディスカウントとして理論価格の25%の減価を行うことができるとし、一株80円と算定した。最高裁はこれを覆し、「非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウントを行うことはできないと解するのが相当である。」と述べ、106円と算定した。この判断への批判を説明するには計算方法に立ち入って説明する必要がある。

収益還元法は、将来の収益を現在価値に割り戻す手法である。割引率には単なる金利ではなく、CAPM(キャップ・エム。資本資産評価モデル)といわれる指標が用いられることが多い(注5)。この事案でもCAPMが用いられていた。

CAPMは、複数の投資機会を持つ投資家が、リスクある資産に投資する際に期待する適正な収益率を計算する式である。一般にリスクの高い資産は平均収益率が高いが、それはリスク・プレミアムが上乗せされているからである。CAPMでは、個別証券のリスク・プレミアムの計算に証券市場自体が有するリスク(マーケット・リスク・プレミアム)に当該証券の持つβ値という数値を掛け合わせて計算する。

リスクを勘案したCAPMを割引率に用いると、リスク資産を適正に評価できる。今1年後に100万円となる資産がリスクのない国債(リスクフリーレートを2%とする)とリスクの高い株式(CAPM10%とする)に投資されている例を考えよう。それぞれの現在価値は98万円、90.9万円と表される。リスクの高い資産の現在価値は低くあらわれ過大評価が回避されているのがわかる。

問題は、β値の取得方法である。β値とは、特定株価の変動が市場株価の変動の何倍になるかというリスクを示す数値であり、上場株式であれば、過去のデータ(ヒストリカル・データ)を回帰分析すれば算出することができる。だが、非上場株式の場合、市場価格がないため過去のデータからβ値を直接算出することができない。

27年最決の事案では、便宜上、β値として東証の33業種の卸売業のデータに基づく数値が用いられていた。(吸収合併された)道東セイコーフレッシュフーズは、卸売業と思われるので、同種グループのβ値の選定は合理的だといえようが、非上場企業固有の流動性制約は加味されていないことになる。上場株式の数値を代替として用いたことで、リスク・プレミアムは低めに算出された可能性があり、そうすると割引率であるCAPMは低く出て、株価は過大評価されることになる(注6)。

この計算手法への指示内容が学説から批判を受けていた部分である。本文に述べた江頭教授の批判には、「その事案にいう『収益還元法』の割引率には、上場会社の投資収益率及びβ値が用いられ、流動性の存在を前提とした価格が算定されている。したがって、そこから非流動性を考慮した減価を行うことを否定する当該判旨は、誤りである」とある。

近時の最決令和5・5・24集民270号113頁(5年最決)は、譲渡制限付株式の「売買価格」の算定にあたって「市場性がないことを理由に減価を行うことが相当と認められるときは、非流動性ディスカウントを行うことができる」と説示した。さらに、「Xらに類似する上場会社の株式に係る数値が用いられる一方で、本件各株式に市場性がないことが考慮されていることはうかがわれない。したがって、DCF法によって算定された本件各評価額から非流動性ディスカウントを行うことができると解するのが相当である。」と述べて、非流動性ディスカウントを認めるが二重減額は許さないという趣旨を述べている。

27年最決に否定的な立場からは、5年最決が「所論引用の判例(27年最決)は、事案を異にし、本件に適切でない」と述べて射程を区切り、27年最決を維持したことを不当とみるだろう。「無理に27年最決を維持するのではなく、同最決を大法廷で判例変更した上で⋯導くことも可能であったはずである」(三宅教授)との評はその立場からくる批判である。

これに対して、27年最決はなお支持できるとする見解がある。算定式にサイズ・プレミアムが含まれており、これは一種の流動性制約の「代理変数」であって、非流動性ディスカウントを加味した結果が算出されていたと考えるのである。

この理解を敷衍すると、27年最決の「裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に」の『収益還元法』は、流動性制約が紛れ込んでしまう算出法との前提で使っていた可能性が指摘できよう。5年最決[DCF法]は、「⋯相当と認められるとき」に「できる」という安全弁付きで説示したが、これも「DCF法」は、流動性制約が紛れ込んでしまう算出法、との前提付き概念との理解だったとみることも可能で、そう理解しても矛盾は生じない。結局、27年最決も5年最決も、収益還元法・DCF法は、いずれも流動性制約を含んだ結果を算出するので、追加的に「非流動性ディスカウントを行うことはできない」のが原則だが、仮にうまく流動性制約を排除した結果が算出され、減価が相当なときは「非流動性ディスカウントを行うことができる」という例外を述べた趣旨と理解できる。この立場からは27年最決は変更する必要がないことになる。 では、実務上の算定式に流動性制約が紛れ込んでしまうという理解が相当であるのか、実際のデータ入手過程をみてみよう。

CAPMの具体的な要素や計算方式については、ファイナンス論の研究成果が実務に応用され、山口・小松原(2015)(注7)が提案したマーケット・リスク・プレミアムとサイズ・プレミアムの2要素を用いる方法がよく使われているようである。27年最決の事案でも採用された手法である。

非上場会社のβ値やサイズ・プレミアムの数値は、簡単に計算できるものではない。イボットソンという投資判断に必要な「資本コスト関連データ」を提供する会社があり、そこが東証33業種のβ値、サイズ・プレミアムのデータもその一環で販売している。実務ではそのデータを用いて計算するようである。

原理的には、その購入データを単純に式に代入することはできない。β値については、非上場会社向けの変換作業を要するし(その際、対象会社の資本構成が考慮にいれられる(注8))、サイズ・プレミアムについては、時価総額別に企業を10分位にわけて算定したものが提示されているにすぎないので(脚注に例を記した(注9))、そこから適切な数字をピックアップする必要がある。裁判所が事後に計算過程を厳密に審理するなら、β値の変換作業が適切だったか、適切なサイズ・プレミアムを用いたかを問うことになろう。その際、上述の計算過程中、β値の変換作業過程やサイズ・プレミアムのピックアップ過程に流動性制約が紛れ込む余地があることに注意が必要である。

実務の専門家は、サイズ・プレミアムを使用するに際し、「同じリスクを二重にカウントする可能性」に留意しなければならない、このため、小型株リスクがない「時価総額が大きく流動性の高い株式のβを使用する等の配慮が望まし(い)」と指摘している(PLUTUS CONSULTING(注10))。この指摘は、購入データの中に流動性制約が紛れ込む余地を払拭し切れていない(むしろ残っていると考えている)ことを示唆している。いずれにせよ、収益還元法又はDCF法の算定式の中には、β値であるか、サイズ・プレミアムであるかは特定できなくとも(注11)、流動性制約の影響が残る可能性を認識していることがうかがわれる。

法学徒の立場(ファイナンス論の門外漢)からみると流動性制約が紛れ込んだままの数値を使用することがCAPMの本来の趣旨に沿っているといえるのか、今ひとつ釈然としない。本来、CAPMは、分散投資により企業固有のリスクは打ち消されるので、システミックリスク(市場リスク)のみを考慮し、非システミックリスク(個別リスク)は考慮しないという理論である。流動性制約は、通常企業固有のリスクと考えられるところ、それをシステミックリスクとしてカウントしてしまうことの理論的整合性がいまいち明らかでないからである。基礎的なファイナンス理論と実務での応用の間には、その理解に乖離が生じているのではないかとの疑念も生じる。ただ、「『リスク・プレミアムとなるファクターは何か?』という問いに対して経済学者たちの間で厳密なコンセンサスはない。」(山口勝業(注12))という理解もあるようであり、そうした状況において、ファイナンス論で一定の支持を得ている議論を法的な判断に用いること自体は妥当である。本来、株価算定は、「裁判所の裁量」(最決昭和48・3・1民集27巻2号161頁)であって現時点で最も信頼できるファイナンス理論や実務への依拠は合理的な裁量の一環だと思われるからである。

そうすると、27年最決は、実務で一般に用いられる「収益還元法」は流動性制約の影響を消し切れていない考え方であることを前提に、さらなるディスカウントをすると公平でなくなると考えたものと理解することもできよう。5年最決が述べるように、ディスカウントによる「二重減額」は許さないという単純な趣旨だったと解することになる。

非上場株式のCAPMは、今は、データ制約に直面しているので、非流動性ディスカウントをすると、二重減価になってしまうおそれはあるだろう。ただ、理論と実務が変わればこの観察も変わる。また、将来、私募市場が発展し、流動性が高まれば、流動性制約は勘案しない方が妥当だということになるかもしれない。

価格の決定にあたっては、理論的な問題もさることながら、データ制約下にある実務の算定方式を正面から捉えることが必要だと思われる。純粋なファイナンス理論からみると一見違和感を感じる判断であっても、現実的には公平と思える場合がありえるからである。昨今の判断の前提には、非上場会社のβ値というデータ制約がつきまとっていることを踏まえつつ、今後とも実務の進展の中でファイナンス理論の専門家の見解も含めた事例判断を積み重ねていくことが大事である。そして、将来的には、調査官解説などで考え方が提示されることを期待したい。

脚注
  1. ^ 最決平成27・3・26民集69巻2号365頁。
  2. ^ 江頭憲治郎『株式会社法』19頁(第8版、有斐閣、2021年)。
  3. ^ 最決令和5・5・24集民270号113頁。
  4. ^ 裁量の余地のない行為のこと。
  5. ^ 例えば、ジョナサン・パーク/ピーター・ティマーゾ著『コーポレートファイナンス入門編』349頁以下(丸善出版、平成26年、第2版)。CAPMは、ノーベル賞を受賞したウィリアム・シャープらにより考案されたものである。
  6. ^ もともと、CAPMはシステミックリスクのみを扱うというコンセプトなので流動性制約は含まないのが正当であるように思われる。この点は後述する。
  7. ^ 鈴木一功「M&Aの企業価値評価に用いられるサイズ・プレミアムの推計手法とmigrationに関する考察」早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターWBF-19-001,2頁。
  8. ^ 一般的には、非上場会社のβ値は、類似会社データを用いて推計し、β値を負債がないと仮定した場合のβ(アンレバードβと呼ばれる)に変換し、対象会社の資本構成を用いて、これをさらに対象会社向けに変換し、対象会社レパードβを得るという方法が用いられる(宮崎淳平『会社売却とバイアウト実務のすべて』Kindle版No. 5299)。
  9. ^ 宮崎前掲に掲載されているデータから一例を抽出すれば時価総額29億円〜85億円では12.40%、85億円〜123.5億円では9.70%といった数値が示されている。統計データの取得可能性が米国の方が高いことから、米国の値が用いられることもあるようである。
  10. ^ PLUTUS COSULTING「企業価値評価における諸変数の合理的な範囲とは (1)」(2011. 02. 08)https://www.plutuscon.jp/reports/450(accessed on Feb 11, 2025)
  11. ^ 山口・後掲227頁では、小型株投資収益率の算定に東証一部上場株を用いていることが記されており、非上場株式と同程度の流動性制約が加味されていると言い切ることにも実は躊躇が残る。
  12. ^ 山口勝業『日本経済のリスク・プレミアム』68頁(東洋経済新報社、2007年)。

2025年2月19日掲載

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