政策研究領域(基盤政策研究領域) II. 国際競争力を維持するためのイノベーションシステム

日本における無形資産の研究

プロジェクトリーダー/サブリーダー

宮川 努 顔写真

宮川 努 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

2009年度~2010年度

本研究は、2008~2009年度にわたって実施されてきた日本の無形資産に関する研究を、マクロ・産業・企業にわたってさらに深化させることを目的としている。マクロ面では、これまで推計された日本の無形資産投資系列を、JIPデータベースを利用して延長推計すると同時に、詳細な産業別の系列の作成を目指す。企業面では過去2年にわたって行われたインタビュー調査のデータと「企業活動基本調査」、「情報処理実態調査」などの個票を利用して、より詳細な分析を行う。具体的には、1)人的資源管理と企業パフォーマンス、2)企業レベルの無形資産の決定要因、3)組織改革の要因とその効果、4)無形資産が設備投資行動、研究開発投資行動に与える影響、5)無形資産などに対する資金調達の影響などである。

2008年度

本研究は、最近のミクロ・データを利用した「ヒトと組織」に対する投資と企業パフォーマンスとの関係を調べた研究に沿って、日本企業について企業内の組織変革や人的資源管理、人材育成が、企業業績にどのような影響を与えているかを、Bloom and Van Reenen(2007)と同様企業インタビューを実施し、その結果に基づいて様々な角度から実証することを目的としている。2007年度は、このインタビューの設計と実施に多くの時間を割き、東京地区に本社がある151社について分析を行った。2008年度は、全国レベルでのインタビュー調査結果(573社)と人事部アンケート(391社)を実施し、かつ政府統計の個票を組み合わせることにより、組織構成や人材育成が企業パフォーマンスに与える影響をより詳細に分析する。またマクロ・産業レベルでも、インタビュー結果から企業内の人的資本形成に関して新たなデータが得られたことや、国際的にも新たな計測結果が出ていることから、Fukao et al(2007)やFukao et al(2008)の再推計を行いたい。

2007年度

1990年代の世界経済を特徴づける現象は「IT革命とグローバル化」である。米国は、IT革命をいち早く経済活動に取り入れることにより、90年代後半から生産性が飛躍的に上昇した。一方、日本ではバブル崩壊後の長期停滞が続き、こうしたグローバル経済の動向よりも、長期停滞からの脱却策に注力せざるを得ない状況が続いていた。こうした中でHayashi and Prescott (2002)が「日本の長期停滞の背景には生産性の下落がある」と指摘したことにより、日本でも生産性の問題があらためて注目を浴びることになった。日本経済は米国や中国を中心とした世界的な景気の上昇局面が終われば、再び景気後退を余儀なくされるという脆弱な体質を抱えている。こうした外需依存を乗り越え、労働人口減少局面において真に自立的な安定成長基盤を作り上げるためには、労働投入量で60%以上のシェアを有しながら欧米に比して生産性が低いサービス業の生産性向上が不可欠である。そのためには、IT技術を有効に使う無形資産の補完が必要であるという認識が高まっており、最近では広告費の蓄積に伴うブランド資産や人的資本、企業組織変革の蓄積による組織資本などの役割が注目されるようになっており、このプロジェクトでは、マクロ、ミクロ面における無形資産の計測から経済全体に与える影響まで、日本における無形資産に関わる経済問題を包括的に研究する。

活動期間: 2007年4月 2日 〜 2011年3月31日

主要成果物

2010年度の成果

ディスカッション・ペーパー

RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー

2009年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

国際コンファレンス

2008年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー