速報:2025年ふるさと納税 ― 返礼品の選択構造と制度改正の影響、利用継続意向

小西 葉子
上席研究員(特任)

伊藝 直哉
株式会社インテージリサーチ

伊藤 千恵美
株式会社インテージリサーチ

私たちは2022年度以降、毎年ふるさと納税に関する実態調査を実施している。本年度も、2025年1月から12月に制度を利用した全国10,850人を対象に最新調査を行った。

2025年は制度改正を契機に寄附時期が大きく前倒しされるなど、利用行動に変化がみられた。本稿では、返礼品ランキングの構造、寄附のタイミング、制度改正の影響について、今夏の総務省公表に先立ち最新動向をいち早くお届けする。

返礼品の「選択構造」― 粒度で変わるランキング

例年と同様、カテゴリ別に見ると「魚介・海産物」(39.7%)が最多であり、次いで「肉」(36.8%)、「米」(28.7%)、「果物」(23.6%)と続く。上位ジャンルの顔ぶれ自体に大きな変化はなかった。

本年は新たに、品目単位でもランキングを整理した。品目別では1位が主食の「米」(27.6%)、2位が「牛肉」(25.4%)となった。一方で「魚介・海産物」は特定の1品目に人気が集中するのではなく、イクラ・鮮魚(赤身)・ウナギ・貝・干物など複数の品目が上位に分散してランクインしている。

また、カテゴリで上位に入る「果物」や「日用品」も、品目単位で見ると選ばれ方は異なる。日用品ではトイレットペーパーが品目別で3位に入るなど、生活必需品への集中がみられる。果物ではシャインマスカットなど特定の高付加価値商品が目立つ。

何が「1位」となるかは、どの粒度で集計するかによって変わる。カテゴリ全体の規模と、個別品目への集中・分散という二つの視点を併せることで、返礼品選択の構造が立体的に理解できる。

図1 ふるさと納税返礼品ランキングの二層構造
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図1 ふるさと納税返礼品ランキングの二層構造
対象者:2025年1月~12月にふるさと納税で寄附をした人、サンプルサイズ n=10,850(カテゴリ別)、n=10,794(品目別)
出所:「ふるさと納税実態調査」を使用して著者ら作成

制度改正が動かした寄附のタイミング― 9月が12月を上回る

続いて図2で寄附のタイミングを見てみよう。改正のなかった2024年は12月が50.6%と最も高く、典型的な年末集中が確認された。改正のあった2023年も、10月施行の寄附募集費用規制(注1)により前倒しはみられたが、12月が依然ピークであった。

これに対し2025年は、9月の寄附割合(41.1%)が12月(29.1%)を上回った。2025年10月1日施行の「ポイント付与を伴う寄附募集の禁止」(注2)を前に、駆け込み寄附が9月に集中した結果である。2023年と2025年の違いは、改正が利用者の経済的メリットに直接影響したかどうかにある。2025年は寄附の山そのものが移動し、時期の構造が変化した。

図2:ふるさと納税をした時期(2023年1月~2025年12月)
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図2:ふるさと納税をした時期(2023年1月~2025年12月)
対象者:※各年で調査設計は同じだが、調査対象者は異なる
2023年:2023年1~12月にふるさと納税で寄附をした人、サンプルサイズ n=10,860
2024年:2024年1~12月にふるさと納税で寄附をした人、サンプルサイズ n=10,882
2025年:2025年1~12月にふるさと納税で寄附をした人、サンプルサイズ n=10,850
出所:「ふるさと納税実態調査」を使用して著者ら作成

制度改正への不満― お得感の減少と構造的な分かりにくさ

図2で示したように、制度改正は寄附時期を前倒しさせる影響を与えた。図3では、2025年のふるさと納税に対する不満や改善点(複数回答)の上位5項目を示している。

全体10,850人のうち23.4%は「特に不満はない」と回答した。図3の各割合は、不満や改善点を挙げた8,311人を分母としている。

不満項目の最多は「自分の寄附金の上限額がわかりにくい」(40.1%)であった。この傾向は過去調査でも一貫している。

また、「制度の変更によるお得感の減少」(33.3%)や「制度が頻繁に改正される」(24.9%)といった制度の改正に関連する項目も上位に位置する。利用者の不満は改正そのものに限らず、制度の分かりにくさや安定性にも向けられている。

さらに、ポータルサイトについても28.6%が「種類が多すぎる」との回答があった。選択肢の多さは利便性を高める一方で、比較や判断の負担につながっている可能性がある。

図3:ふるさと納税への不満や改善点TOP5(複数回答)
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図3:ふるさと納税への不満や改善点TOP5(複数回答)
対象者:2025年1月~12月にふるさと納税で寄附をした人のうち、ふるさと納税への不満や改善点を回答した人、サンプルサイズ n=8,311
出所:「ふるさと納税実態調査」を使用して著者ら作成

来年への意向― 「継続」が多数

図4で、2026年のふるさと納税の利用意向を見ると、「これまでと同じポータルサイトを使う予定」との回答が83.4%に達した。ふるさと納税をやめると回答した割合は2.4%にとどまっている。

制度改正に対する不満は一定程度みられるものの、来年度の利用意向が大きく変わる兆しは確認されなかった。既存の利用者は、返礼品の内容や実質的なメリットを重視しており、不満があっても制度利用を継続する傾向がうかがえる。ふるさと納税は一定程度、習慣化した行動として定着しているとみられる。

図4:2026年のふるさと納税とポータルサイトの利用意向(複数回答)
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図4:2026年のふるさと納税とポータルサイトの利用意向(複数回答)
対象者:2025年1月~12月にふるさと納税で寄附をした人、サンプルサイズ n=10,850
出所:「ふるさと納税実態調査」を使用して著者ら作成

政策的含意

2025年度の制度改正は寄附のタイミングを例年とは異なる形に動かした。一方で、改正への不満はみられたものの、2026年度の利用意向に大きな変化は確認されなかった。

制度改正の有無にかかわらず、不満の第1位は一貫して「自分の寄附金の上限額が分かりにくい」である。これは一時的な変更とは別に、制度設計に内在する課題を示している。

寄附上限額は年収や家族構成に依存し、正確な控除可能額は年末まで確定しにくい。「いくらまで寄附できるのか」が事前に明確でないことは、利用に伴う不確実性を高める。

したがって、制度改正の方向性を議論する以前に、まず取り組むべきは利用者が感じている不確実性の低減である。控除見込額の早期提示など、制度をより分かりやすくする仕組みは、利用拡大にも資する可能性がある。制度が成熟段階に入った今、求められているのは新たな改正によって行動を大きく変えることではなく、制度の透明性と安定性を高めることであろう。


【調査概要】「ふるさと納税実態調査」
調査方法:Web調査
調査地域:日本全国
対象者条件:20~64歳男女/有職者/個人年収300万円以上(※)
標本サイズ:n=10,850(令和2年「国勢調査」と令和5年「賃金構造基本統計調査」から算出した人口構成比(性年代×エリア×有職者×個人年収300万円以上)に準拠して回収)
2025年1月~12月にふるさと納税制度で寄附を行ったと回答した方
調査実施時期:2026年1月28(水)~2026年1月30日(金)
(※)総務省の「全額(2,000円を除く)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」に従い個人年収300万円以上を対象者条件と設定した。

脚注
  1. ^ 総務省 ふるさと納税の次期指定に向けた見直し(報道資料)
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000113.html
  2. ^ 総務省 ふるさと納税の指定基準の見直し等(報道資料)
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000126.html#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B46%E6%9C%8828%E6%97%A5%E3%81%AB

2026年3月11日掲載