日本経済を支える消費市場のために:投稿意見

谷 みどり
コンサルティングフェロー

消費税の制度設計も重要

上席研究員 小野 五郎

現下縮小傾向にある市場を見れば、消費活動がより健全な事業者への需要に向かうことが望ましいとするのは卓見である。また、そのために提示された多様な手段をどう組み合わせていくかの検討を促すことも支持する。

ただ、ここで1つ付加すべき極めて重要な検討対象があることを指摘しておく。それは財政再建面から不可避とされる消費税の機能である。今後税率が高くなるにつれ、他方で収入増が期待できない以上、何とかして課税を免れようとする消費者が増大しよう。その結果が、果たして期待される「健全な方向」に向かうのかどうか。少なくとも、ネット市場のウェイトの高まりとともに、多少不健全でも税率の低いものを選択したり、海外からの個人輸入に向かう動きは増大しよう。したがって、消費税率の引上げが人々の選好に与える波及に関する検討と、それを好ましい方向へと導く制度設計が焦眉の急となる。

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