産業政策は「諸刃の剣」:投稿意見

清田 耕造
ファカルティフェロー

資本市場の閉鎖性の影響も検証を

上席研究員 小野 五郎

産業政策は「諸刃の剣」、全く同感。特に敗戦直後をはじめ産業創出段階では有効だったが、発展・調整段階では逆効果だったケースが多い。後者は主に経済より政治的判断が強かった結果だが、市場機構そのものが不在だった段階と市場機構成立後との違いもある。かつて今一つの生産性指標:資本生産性を追跡したところ、初期段階では産業・業種間格差が他の生産性指標を大幅に上回っていたが、時代とともにほとんど消えた。たぶん資本市場自由化により資本コストが横並びになったためである。その点、初期は資本市場が不在で専ら政策金融に依存し資本に競争原理が働かなかった。ということで、資本市場ないし資本生産性との関連も検証を。

今求められている産業政策の議論を

匿名希望

産業政策が、真の産業成長を阻害する側面があることを認識すべきという筆者の主張には全く異論はない。ただ、筆者が取り上げているのは、過去の衰退産業への政策的対応の事例である。新たに、国際競争力を有する産業集積を大震災の被災地域を含む全国各地に形成していかなければ日本経済に明日はない、というほどまでに切羽詰まった状況下において、どのような産業政策が必要なのかという政策策定過程での議論の場で、筆者のいう「諸刃の剣」がどのような論点として提起されるべきのか、今回の筆者の概論的説明からは良く理解できない。今求められている国際競争力を有する新たな産業集積の形成を促進する産業政策にとっての「諸刃の剣」について分かりやすく解説していただければ、さまざまな分野や立場で、新たな産業政策の策定に関わっている人々にとって、非常に大きな助けとなるだろう。

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