ワーク・ライフ・バランスと妻の結婚満足度:少子化対策の欠かせない視点:投稿意見

山口 一男
客員研究員

ワーク・ライフ・バランスと労働時間制度

ITコンサルタント 村上裕康

今年の初めに、「今後の労働時間制度に関する研究会」の報告書が発表され、その中でワーク・ライフ・バランスの回復が取り上げられていますが、議論の大半は、規制緩和や割増賃金率など、経済的な視点からのものです。しかし、山口氏が指摘されているように、ワーク・ライフ・バランスの歪みが単に経済的な問題に留まらず、結婚満足度あるいは少子化など社会的な問題にもつながるということに注意する必要があります。

長時間労働による父親の不在、あるいは経済的な価値への偏重は、家庭の価値観の喪失、幸福感の喪失、家庭教育の欠如、少子化、等の社会問題の原因になっているのではないかと懸念されます。

戦後の日本は、労使が一体となって経済復興に向かって頑張ってきました。そして、企業の経済的な繁栄が個人の幸福に還元されるのだと信じてきました。行政も経済の躍進を目指すべく組織化され、機能してきました。しかし、経済的な価値への過度の偏重は、個人の生活から潤いを奪い、文化的な物の考え方を博物館の中に押し込めてしまいます。

労働時間制度の検討にあっても、経営者対労働組合という視点からだけではなく、産業対文化の対立という視点からも議論を進める必要があるように思います。各省庁が主導する審議会等においても、生活者の視点、あるいは社会学者や哲学者からの議論が重要であると考えます。

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