RIETIの活動

京都大学医学研究科と新型コロナについて国際共同研究を開始
〜 世界初の医学と社会科学の融合型大規模疫学研究 〜

RIETI(The Research Institute of Economy, Trade and Industry、理事長:矢野 誠)は、京都大学医学研究科と共同で、フランス・パスツール研究所が開発した抗体検査キットを使い、地域住民と医療従事者を対象に国際共同研究を開始する。2021年1月6日(水)に共同記者説明会を開催した。

新型コロナウイルスの新規陽性者数は国内外で顕著な増加傾向にある。そうしたなか、経済活動が可能な無症状者(不顕性感染者)は、感染拡大経路を把握する上で重要な鍵を握っているといえる。そこで、RIETIは、京都大学医学研究科と連携し、フランス・パスツール研究所が開発した抗体検査キットを使い、地域住民と医療従事者を対象に不顕性感染者を含む感染の実態把握を目指した国際共同研究を展開する。

新型コロナウイルスは、人から人に感染することから、個々人の考え方や行動様式が感染に大きな影響を及ぼす。このため、新型コロナウイルス感染の実態把握には、医学と社会科学の2つの視点が欠かせない。本研究では、滋賀県長浜市民と京都大学の医療従事者を対象に、抗体検査と社会科学的調査を組み合わせ、医学-社会科学の情報を同時に得ることで初めて可能となる、感染拡大に関連する個人の遺伝的背景などの身体的な特徴、行動様式、思考過程、社会経済的環境やそれらの複雑な相互作用の解釈に挑む。抗体検査を含む網羅的なヒトデータを用いた医学-社会科学の融合型の大規模疫学研究は世界でも初めての試みである。

医学-社会科学データの統合解析を通じ、どのような人がどのような考え方や行動をすることで感染が防げるのかを明らかにし、今後の新型コロナウイルス感染症との付き合い方のみならず、将来新たな感染症の流行が発生した際に、われわれはどう考え、どう行動すれば感染症の拡大や経済社会の損失を抑えることができるのかを探る予定である。