新潟の特色

Wカップを通じて、J2「アルビレックス新潟」の存在が生み出すシナジー効果について、自覚的である。実際にその効果はアルビレックスの入場者増加といった数値で評価できる現象に反映されている。大会に利用された新設のスタジアムは比較的街近く、ホームチームも存在しているため、Wカップでの盛り上がりを地域資産として活用し、文化としての定着を図り住民の生活充実に結びつけるという、図式的な発展可能性が最も見込まれるポテンシャルを感じる。

新潟のデータ

Q1.貴自治体におかれましても、ワールドカップに関する事後評価は重要であると認識していらっしゃることと存じますが、すでに事後評価はしていらっしゃいますか?

する予定はない


Q2.以下の25項目につきまして、A,B,Cの3段階でご質問いたします。下記表内に書き込んでください。

A.ワールドカップ開催前に、ワールドカップ開催によって、下記項目について「充実/促進」が図られると考えておられましたか?

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい
2. 住民の連帯感の醸成 はい
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 はい
4. 地域文化の見直し いいえ
5. 地域名のメディア露出 はい
6. 外来者観光客数の増加 はい
7. 商店街の活性化 はい
8. 地域経済への波及 はい
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい
10. 鉄道交通網の整備 いいえ
11. 街並など景観の向上 はい
12. 住民の美化運動の実践 いいえ
13. ボランティア活動参加者の増加 はい
14. ボランティア活動組織の増加 はい
15. 地域ホスピタリティの向上 はい
16. 国際意識の向上 はい
17. 国際交流の進展 はい
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 いいえ
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 いいえ
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 いいえ
22. 地域スポーツの活発化 はい
23. スポーツ参加率の上昇 はい
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい
25. サッカー人気の高まり はい

B.Aで「はい」と回答された場合は、そのために施策や事業を実施しましたか?もしされている場合は、その具体的な内容をお書きください。

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい

施策の内容

  • 住民や関係団体等に対する説明会等を通じた適時の大会情報等の提供や気運醸成を図るためスタジアム等でのイベントを実施
2. 住民の連帯感の醸成 はい

施策の内容

  • 住民や関係団体等に対する説明会等を通じた適時の大会情報等の提供や気運醸成を図るためスタジアム等でのイベントを実施
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 いいえ
4. 地域文化の見直し いいえ
5. 地域名のメディア露出 はい

施策の内容

  • メディア向け開催地PRパンフレット、CD等の配布。大会期間中スタジアムメディアセンター内にPRブースを設置。JAI機関紙「ウィンズ」の国内・国際線版両方にて「新潟」をPR。予選抽選会、本線抽選会にて新潟をPR。
6. 外来者観光客数の増加 はい

施策の内容

  • 観光客誘致に向けた基本的考え方として、メディアへの情報提供を中心に事業実施。海外メディア等への観光ガイドブックの配布,JNTO主催の欧州ミッションに参加してのPR活動、海外メディアの受け入れ取材の実施,インターネット観光情報データベース構築、旅館等における外国人受け入れ研修実施 等
7. 商店街の活性化 はい
  • ワールドカップに関連する各種情報提供
8. 地域経済への波及 いいえ
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい

施策の内容

  • シャトルバスの運行。パーク・アンド・バスランドの実施。交通総量抑制広報の実施。
10. 鉄道交通網の整備 いいえ
  • ワールドカップ開催のために鉄道交通網の整備は不要
11. 街並など景観の向上 はい

施策の内容

  • ワールドカップ開催盛り上げのためのバナー・フラッグ等での市内装飾や仮設の案内板等を設置。新潟駅からスタジアムへのアクセス道路である市道弁天線や県道公園線が整備。
12. 住民の美化運動の実践 はい
13. ボランティア活動参加者の増加 はい

施策の内容

  • 県内企業、病院、大学、専門学校に参加意向調査を実施。JAWOCとともに全国的ボランティア募集を実施。
14. ボランティア活動組織の増加 はい
15. 地域ホスピタリティの向上 はい

施策の内容

  • 関係機関・団体、地域住民への説明会等を通じ、「もてなしの心」で来県者を迎えるように依頼。海外観戦客のために電話による3者通話システムの導入
16. 国際意識の向上 はい

施策の内容

項目には間接的なつながりになるが、ワールドカップ支援担当の国際交流員を2名採用し、

  1. 英語表記の翻訳など語学面でのサポート
  2. 地域や団体等からの依頼により講師として派遣し、地域の国際化へのサポートを実施した。
17. 国際交流の進展 はい

施策の内容

  • 同上
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい

施策の内容

  • 同上
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 はい
22. 地域スポーツの活発化 はい
23. スポーツ参加率の上昇 はい
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい

施策の内容

  • JAWOC新潟支部への県及び市職員の派遣。県推進委員会への県及び市職員の派遣。コンフェデレーションカップ運営,国際ユース大会運営。
25. サッカー人気の高まり はい

施策の内容

  • ワールドカップフェアの実施。アルビレックス新潟とのタイアップ事業。県民夢づくり事業。国際ユース大会の共催。

C.ワールドカップ開催を終え、下記項目について、その成果を評価するとどのようにお考えですか。1~5、Xのなかから番号(記号)を一つ選んで○をつけてください。またその成果を評価するための客観的な指標はありますか?もしある場合には、その項目と内容を具体的にお書きください。なお「X.現時点で評価できない」とする場合は、いつ頃評価できるようになるのでしょうか?評価できる時期とその理由をお書きください。

【質問C/効果の程度に関する評価基準】

  1. 1:効果なし
  2. 2:ほとんどない
  3. 3:あった
  4. 4:かなりあった
  5. 5:効果絶大
  6. X:現段階では評価できない
No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    町内会や民間企業がアクセスルートやスタジアム周辺などの清掃等を自主的に実施した。アルビレックス新潟の試合の入場者数からも明らか。また、直接には関係ないが,01年11月にアルビレックス新潟が実施した観客動向調査では、回答者の7割ほどがサッカーによる地元意識の向上ありとしている。
2. 住民の連帯感の醸成 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    県民がこれまで経験したことのない感動や興奮を経験したこと、海外のサポーターとの交流,触れ合い,そして大会の成功など,県民が自信と誇りを得たことは間違いない
4. 地域文化の見直し 2
5. 地域名のメディア露出 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    キャンプ地十日町市やシャトルバス成功など、国内外のメディアに取り上げられた。特にシャトルバスについては、ニューズウィーク誌に「ワールドカップ伝説の仲間入り」と絶賛された。海外留学生などから地元紙に新潟のことが載っているとのメールも寄せられた
6. 外来者観光客数の増加 3
7. 商店街の活性化 3
8. 地域経済への波及 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    経済効果について、生産誘発額130,178百万円、誘発雇用者数10,749人を試算(H9年県実施調査)。経済効果の分析については事後的に難しいことから行わない。
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標:シャトルバスでの観客輸送数
    シャトルバスでの輸送量は1試合2万人(往路、復路とも)を計画したが、1試合平均2万余を滞りなく輸送した。ニューズウィーク誌からも「W杯伝説の仲間入り」と絶大な評価を得た。
11. 街並など景観の向上 4
12. 住民の美化運動の実践 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    町内会が中心となり町内会単位で清掃の実施や、プランターを道路脇に置くなど自発的な取り組みがみられた。また、複数の民間企業・団体が新潟駅~スタジアム間のアクセルルートやスタジアム周辺などのゴミ拾い等を自主的に実施した。
13. ボランティア活動参加者の増加 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標:ボランティア参加者数の増加
    前年度のコンフェデレーションカップでの参加者は400余だったが、ワールドカップ時は1600余の参加が得られた。これらのボランティアのうち熱意のある者はアルビレックス新潟の試合で継続的に活動を続けている。
14. ボランティア活動組織の増加 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    ワールドカップでのボランティア業務を通じ,自主的にいくつかのボランティアグループができ、2006年のドイツ大会に向けて活動を開始しているグループもあると聞いている。
15. 地域ホスピタリティの向上 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    国内外の観光客・メディアから新潟の人達の親切さに対する感謝のことばを随所で聞いた。
16. 国際意識の向上 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 指標なし
    1. 英語を中心とした表示が増えたり、出場各国とりわけ新潟での試合国を中心とした情報が非常に多くなったことなどから、海外を意識せざるを得ないような状況となった
    2. 海外観戦客等と直接触れ合い、市民レベルでの交流ができたことは、結果として、国際意識の向上等につながった。
17. 国際交流の進展 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 X

(観客の円滑な輸送のためのシャトルバスの運行や新潟駅周辺への自家用車の乗り入れ規制等は、結果として環境保全への配慮であったといえる)

「X.現時点では評価できない」場合

  • いつ頃:予定なし
  • 理由:ワールドカップを項目の観点からはとらえていなかった。
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 2
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 2

成果を客観的に示す指標とその内容

  • スタジアムについては平成14年度J2リーグ11試合使用,また、スマップ、ビーズのコンサートで使用。来年度以降もJリーグ、国際試合などで活用計画あり。
22. 地域スポーツの活発化 2
23. スポーツ参加率の上昇 X

(観るスポーツへの参加は増えたと思うが,自らがスポーツをする者の参加については統計調査等を待つ必要がある)

X.現時点では評価できない」場合

  • いつ頃:未定
  • 理由:各競技団体登録者数の年度比較等が必要。
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 4

成果を客観的に示す指標とその内容

指標なし

  • 15年度以降,スポーツ振興,スポーツイベント担当部署の設置を検討。マイナス要素として、担当した職員の他部署への異動。
25. サッカー人気の高まり 5

成果を客観的に示す指標とその内容

指標:H14アルビレックス新潟ホームゲーム観客動員数。

  • ホームゲーム入場者数平均21,478人。新潟スタジアム平均入場者数31,480人。
  • ホームゲーム1試合平均入場者数21,478人はJ2でNo1。総入場者数472,507人はJリーグでNo1。

Q3.貴自治体におけるワールドカップの事後評価について、特記すべき事項を自由にご記入下さい。

(1)ワールドカップから県民が何を得たかということは時間が必要かもしれないが、少なくともこの大会で示された県民のパワーは間違いなく新潟県にとって一つの財産であり、この力を今後の地域の発展に生かしていくことが大切である。

(2)また、ワールドカップという未だかつて経験したことのない世紀のイベントの成功で県民は大きな自信と誇りを得た。これを契機にワールドカップを一過性に終わらせることなく、多くの県民がスポーツの楽しみ方(観るスポーツの楽しさ,その場の雰囲気を味わうことの楽しさ等も含め)を知り,地域や日常生活の中にスポーツ文化が根づいたとき,ワールドカップが真の意味で成功だったと評価できると考える。

(3)このため、県でもスタジアムの利活用はもちろん、単にスポーツの振興ではなく県民にスポーツ文化が根づくよう、学校教育,社会教育の範疇から踏み出した組織・施策を検討することとしている。

(4)2002FIFAワールドカップの開催地としての「新潟」の知名度がいつまで人々の記憶に残るか。企業誘致や観光振興にどれだけ寄与できるのか今後の課題である。

新潟の文書回答

1) 2002年Wカップは大きな成果を上げたと思いますが、自治体の長としての全体的な印象をお聞かせください。併せて、事前に意図されたことの達成度について自己採点すると、100点満点で何点に相当するでしょうか。自己採点をお願いいたします。
また次の10の項目の中で、特に重要と思われるものを3つ挙げてください。
(地域のアイデンティティ確立、知名度向上、経済的な成果、交通インフラ整備、町並景観の向上、住民の参加意欲向上、地域ホスピタリティの向上、地域の国際化、環境問題意識、地域スポーツの振興)

ワールドカップについて私は、「(1)新潟県を多くの世界の人に知ってもらうチャンスである」、「(2)ワールドカップという世界的なイベントを新潟県で開催することの意義を自分たちでもっと考え、ワールドカップを成功させたという自信を持って次の課題にチャレンジしていく」、「(3)世界の中で自らを客観的に評価しながら、どういうアイデンティティーのある地域づくりをするかということに結びつけていく」そういうイベントにしたいと思っていました。

全体的な感想としましては、開催国である日韓両国が、そろって決勝トーナメント進出という快挙もあり、日韓両国民を熱狂の渦に巻き込みました。新潟スタジアムで開催された3試合についても、各国の代表チームがそれぞれの能力を最大限に発揮し、最高のプレーが見られ、白熱した好試合と各国サポーターの熱狂的な声援に、多くの県民もこれまで経験したことのない沢山の感動と興奮を体験することができたものと思っています。

全体的な感想としましては、開催国である日韓両国が、そろって決勝トーナメント進出という快挙もあり、日韓両国民を熱狂の渦に巻き込みました。新潟スタジアムで開催された3試合についても、各国の代表チームがそれぞれの能力を最大限に発揮し、最高のプレーが見られ、白熱した好試合と各国サポーターの熱狂的な声援に、多くの県民もこれまで経験したことのない沢山の感動と興奮を体験することができたものと思っています。

また、新潟市内では、試合会場以外でも、国際色豊かな衣装で着飾った大勢のサポーターと県民が一緒に踊ったり、歌を合唱するなど様々な交流もあり、国際交流の面でも大変有意義であったと思っています。

一方、大会開催に当たり心配された観戦客輸送や騒動などについては何らのトラブルもなく、運営が極めてスムーズに行われ、国内外観戦客やメディア関係者にも大変好評であったと聞いております。特に、シャトルバスの運行については、海外誌が「ワールドカップ伝説の仲間入りをした」と絶賛するなど、世界に「新潟」の名声を高める役目も果たしました。

今回のワールドカップ開催の実績が、今後の国際大会等の受け入れに大きな自信となり、さらにサッカーを始めとしたスポーツが、21世紀に生きる県民の意識や生活に新しい文化をもたらしてくれることを改めて認識したところです。

自己採点:点数化はしませんが、新潟開催は大成功でした。

特に重要と思われるもの3つ:大会の成功という観点からすると、インフラ整備、住民の参加意欲の向上、地域ホスピタリティが重要と思われます。(順不同)


2) 開催地への立候補時点、開催地決定直後、終了後、各々でWカップへのイメージ、考え方に変化はありましたか。

開催地として正式に立候補したのが92年7月で、知事に就任したのがその年の10月ですので、知事になったときには既に立候補をしていました。

ワールドカップへのイメージとしては、94年の米国大会、98年の仏大会と2002年のワールドカップを観戦しましたが、これまでのスポーツ大会では見たこともないような熱狂的な応援や大会のスケールに感嘆しました。

そして、何とかこの大会を新潟で開催しよう、新潟での開催を世界に向けての新潟の情報発信の絶好の機会としたり、スポーツを通じての地域づくりや県民の意識の変化につながればと思いました。


3) 成果として挙げられるもののうち3つだけに限定し、その成果を自慢してください。

国際スポーツ大会の経験がほとんど無かった新潟県にとって地球的規模のワールドカップ開催は全ての面において大変有意義でした。他の回答内容と重複する部分もありますが、今後のスポーツ振興やスタジアムの利活用という観点から次の3つをあげます。

(1)ワールドカップ開催による県民のスポーツに対する関心の高まりを契機に、スポーツ文化の地域への定着に加え、地域の活性化をも目指した総合的なスポーツ振興の一歩を踏み出しました。

(2)市内各所で市民が海外観戦客と肌で触れ合い交流を深めたこと、案内ボランティアとして外国人と直接話をしたり、言葉が通じなくても意志が通じ合えたことなど、今までになかった大規模の市民レベルでの国際交流が行われたことに大きな意義があり、今後の国際大会などの開催に当たり大きな財産となりました。

(3)シャトルバス運行のノウハウ:これは今後のスタジアムの利活用にも大きく関わるもので、大規模イベントの際のスタジアムへの交通アクセスを考えると、シャトルバス運行のノウハウを得たということは非常に貴重でした。


4) こうした事業に対してその成否あるいは事後評価、効果測定及びその公表などの説明責任の重要性についてどのようにお考えか、ご意見をお願いいたします。

施策・事務事業の説明責任についての基本的な考え方ですが、県行政に対する県民の皆さんの理解を得る上で、評価の結論を公表するだけではなく、事業等の概要、企画立案の考え方、実施状況、目的の達成度等を示す指標などを評価し、その全体像を県民にわかりやすい形で積極的に公表していくということが重要なことだと考えています。

本県では、「県民起点」を基本理念とした「新潟県21世紀の県行政創造運動」を展開中であり、この一環として、施策・事務事業等の評価結果などを県民の皆さんにわかりやすくお示しし、県行政に対する理解を深めていただきながら、成果・効率を重視した県民参加型の開かれた行政となるよう「施策・事務事業マネジメントシステム」を実施しています。


5) 直接的あるいは間接的に出された総費用はどの程度になりましたか。また、その出費は「イベントへの参加費用」としてのコストとお考えでしょうか、あるいは「将来への投資(インベスト)」としてご認識されているのでしょうか?将来への投資として考えられたとすれば、「(有形、無形いずれも)資産として何が残ったか」「今後、どのようなかたちでそれをいかすべき」とお考えでしょうか。

招致以来の県負担額の総額は、スタジアム建設を含め約380億円です。これについては、ワールドカップ開催のための費用、将来への投資の両方と考えています。

資産ということで一例を挙げれば、ハード面では、特に新潟スタジアムが新潟にとって必要不可欠なものとなっています。アルビレックス新潟の試合では、毎試合3万人以上の観戦客がスタジアムをオレンジ一色にして声援を送っている姿はこれまで新潟では見られなかった光景であり、新潟に新しいスポーツ文化を根づかせるためには無くてはならないものとなっており、今や新潟の財産・宝の一つになっています。

ソフト面においては、ワールドカップを成功裏に終えることができた経験やノウハウは新潟の大きな財産となりました。ワールドカップの顔として大会成功に大きな役割を果たしたボランティアについては、平成21年予定の二巡目国体に向けて組織化を図っていきたいと考えています。また、関係機関・団体との連携についても今後の大きな財産となりました。

これらワールドカップ開催で培った経験、ノウハウを一過性に終わらせることなく、今後の県での大規模イベントに生かしていくことはもちろん、ワールドカップ開催による県民のスポーツに対する関心の高まりを契機に、スポーツ文化の地域への定着に加え、地域の活性化をも目指した総合的なスポーツ振興を図っていきたいと考えています。


6) 単年度決算として、Wカップ関連の収支とそれについてのご感想をお願いいたします。

開催自治体は収益事業を行っていません。


7) 住民の自治参加意識の醸成にWカップ開催は貢献しましたか。

大会は、ボランティアの皆さんの献身的な協力、県民の方々や企業・団体の様々な協力や自主的活動のお陰で成功しました。また、国内外の観戦客に新潟を知ってもらったり楽しんでもらうために設置した「ワールドカップパーク」に多数の市民団体が参加し郷土芸能等を披露するなどもてなしの心を十分発揮してくれました。

ワールドカップが住民の自治参加意識の醸成に貢献したかということでは、今後このような自主的な活動などがいろいろな場面ででてくることを期待しています。


8) 市民レベルでの国際交流という点ではいかがでしたか。

新潟市が昨年7月に実施したアンケート調査によると、ワールドカップがどのような効果を市にもたらしたかという問いに、「国際交流の促進が図られた」という回答が4番目に多く寄せられたということです。

私自身は、新潟でのホスト役ということでスタジアムにいることが多かったのですが、「まるで異国にいるような感じだ」、「こんな新潟を初めて見た」と多くの方から聞きました。多くの県民が身近に海外観戦客と接することができたことは非常に有意義だったと思います。

なお、新潟市では、ワールドカップを契機に韓国の開催都市の一つであるウルサン市と少年サッカー交流を定期的に行うことが合意されたと聞いています。


9) 交通・インフラ、宿泊施設、商業施設、文化財施設などで貴地域において不足しているもの、より充実させたいと思ったものはありますか。

非継続的なワールドカップということで考えると特にありません。


10) 自治体、民間を問わず、人材は十分でしたか。将来さらに人材育成の充実を図るためにはどのような政策が有効でしょうか?ご意見を伺わせてください。

人材は十分だった思います。ワールドカップを通じて感じたことは、一人ひとりが経験し大なり小なり大会運営を始めとした様々なノウハウを得たことに意義があったと思います。


11) 「アルビレックス新潟」の存在がワールドカップ開催にどのようにいかされましたか?また今後さらに発展させるための具体的な方針などがあれば、お聞かせください。

アルビレックス新潟は、ワールドカップ新潟招致に向けて、また、県民のスポーツやサッカー振興の気運醸成の面から、県内多方面の尽力を得て結成されました。ワールドカップとアルビレックス新潟との関係で言えば大きくは次の3つになると思います。

(1)サッカー後進県で招致決定でも盛り上がりに欠けた感じのした新潟で、アルビレックスの活躍とともに、ワールドカップへ向けた気運の盛り上がりとサッカーへの理解が深まりました。

(2)アルビレックス新潟で活動していたボランティアが、その経験を生かし大会時のボランティアの中心となって活躍してくれました。

(3)アルビレックス新潟の試合を活用してボランティアの実施研修ができたことは、サッカーを初めて経験するボランティアの皆さんには絶好の研修の場となりました。

アルビレックス新潟は、地域に根ざすJリーグ理念で活動しています。3万人~4万人が思いを一つにして応援できる対象がアルビレックス新潟であり、新潟スタジアムがそれを実現してくれます。ワールドカップ後の新たな気運は、県民に夢を与え、豊かなスポーツ文化を築く土壌ができつつあると言えます。

今後は、アルビレックス新潟の協力を得て、小中学生を対象とした「ゆめづくりサッカー教室」の開催によりサッカーの底辺拡大を図ることはもちろん、スポーツ全般の底辺の拡大を考えています。


12) 大会終了後、新潟で試合を行った国を中心とした国際的なPRを継続して行っていくお考えはありますか?

新潟で試合を行った国というよりは、北東アジアを中心に、アジア、さらには欧米へと「人、もの、情報」の交流拡大に取り組んでいくこととしています。

また、新潟にいろいろな世界大会を誘致することにより世界に向けての情報発信もしていきたいと考えています。

なお、クロアチアチームのキャンプチとなった十日町市では、クロアチアのある都市と友好関係を結び、今年から「クロアチア杯」のサッカー大会を創設することになっています。