宮城の特色

全自治体に対して2002年末の回答をお願いしていたが、アンケートの回答が最も遅れ、1ヶ月ほどずれこんだ。「宮城スタジアムの問題」が注目を浴びているが、その問題が回答遅れと関連しているかどうかは不明。ボランティア活動に関する成果については高い評価をしている。またベガルタ仙台に継承されたサッカーの人気の高まりやイベント運営ノウハウ等の関連性への分析は、「箱モノ行政」に留まらないという気概が感じられる。

宮城のデータ

Q1.貴自治体におかれましても、ワールドカップに関する事後評価は重要であると認識していらっしゃることと存じますが、すでに事後評価はしていらっしゃいますか?


Q2.以下の25項目につきまして、A,B,Cの3段階でご質問いたします。下記表内に書き込んでください。

A.ワールドカップ開催前に、ワールドカップ開催によって、下記項目について「充実/促進」が図られると考えておられましたか?

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい
2. 住民の連帯感の醸成 はい
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 はい
4. 地域文化の見直し はい
5. 地域名のメディア露出 はい
6. 外来者観光客数の増加 はい
7. 商店街の活性化 はい
8. 地域経済への波及 はい
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい
10. 鉄道交通網の整備 はい
11. 街並など景観の向上 はい
12. 住民の美化運動の実践 はい
13. ボランティア活動参加者の増加 はい
14. ボランティア活動組織の増加 はい
15. 地域ホスピタリティの向上 はい
16. 国際意識の向上 はい
17. 国際交流の進展 はい
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 はい
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 はい
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 はい
22. 地域スポーツの活発化 はい
23. スポーツ参加率の上昇 はい
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい
25. サッカー人気の高まり はい

B.Aで「はい」と回答された場合は、そのために施策や事業を実施しましたか?もしされている場合は、その具体的な内容をお書きください。

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい

施策の内容

  • ホームページの開設、機関紙の発行、地元マスコミへの積極的な情報提供、大会前や大会期間中の各種イベント等の開催、大規模イベントへの参加、「W杯あなたのアイデア・ゆめ募集」への応募、ボランティアとしての参加などを努めた。
2. 住民の連帯感の醸成 はい

施策の内容

  • 県と利府町と利府町民(特にスタジアム周辺住民)との意見交換会が実施された。
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 はい

施策の内容

  • 県民、ボランティアの協力、関係機関・団体との連携など地域の総合力を発揮することで宮城開催が成功するよう努めたほか、イタリア代表チームのキャンプ地誘致活動(イタリア代表チームがホテル内外の恵まれた自然環境が選手の保養に好適)の支援に努めた。
4. 地域文化の見直し はい

施策の内容

  • ワールドカップについて、ホームページ、機関紙の発行、機運醸成イベントやパネル展のほか、大会期間中のサッカーパークの設置やパブリックビューイングの実施、ベガルタ仙台の支援などを通して、スポーツ文化の醸成に努めた。
5. 地域名のメディア露出 はい

施策の内容

  • ホームページの開設、開催地情報提供基地(メディアセンター、メディアサポートセンター)の設置、メディアツアー(招待事業)の実施などによりメディア露出に努めた。
6. 外来者観光客数の増加 はい

施策の内容

  • 国際イベントへの参加や仙台七夕まつりへの参加、宿泊施設空き室情報サイトの開設、県及び仙台観光コンベンション協会等のホームページに宿泊リストを作成した。
7. 商店街の活性化 はい
  • 出場国など歓迎装飾の実施、商店街との意見交換、ワンポイント会話集の配布、接遇研修会などを実施した。
8. 地域経済への波及 はい

施策の内容

  • スタジアムワールドカップ仕様等施設整備のほか、大会関連イベント等の実施に努めた。なお2002年FIFAワールドカップ宮城・仙台推進委員会では経済波及効果を366億円と試算した。
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい

施策の内容

  • 輸送交通専門委員会の設置、交通規制の実施、観客輸送対策(パークアンドパスライド)の実施、道路利用者等への事前告知などにより努めた。
10. 鉄道交通網の整備 はい

施策の内容

  • スタジアム最寄り駅のホーム増設や高速道路の早期設備の実現、スタジアム周辺の地方道の新設・改良に努めた。
11. 街並など景観の向上 はい

施策の内容

  • 関係機関の協力により、仙台駅前街路に花装飾、街路樹の剪定、道路などの清掃のほか、放置自転車・バイクの撤去、ピンクチラシ浄化作戦などの景観・美観の向上に努めた。
12. 住民の美化運動の実践 はい

施策の内容

  • 仙台市の中心部及びスタジアム周辺地域では、大学生、地元中学生、ボランティア、商業団体によって自主的な清掃など美化活動の取り組みが行われた。
13. ボランティア活動参加者の増加 はい

施策の内容

  • 市民活動・ボランティア専門委員会を設置するとともに、大会運営を支えるJAWOC、自治体ボランティアの確保に努めた。
    JAWOCボランティア:1,132人参加
    自治体ボランティア:527人参加
14. ボランティア活動組織の増加 はい

施策の内容

  • ワールドカップ友の会「キックラブ」の設立、本番に向けたボランティア研修、そして、地球規模の大会に拘わることができた貴重な体験を通して、活動組織の増加に繋がるよう努めた。
15. 地域ホスピタリティの向上 はい

施策の内容

  • 携帯端末向け公式サイト「ポケットみやぎ」による情報提供、国際親善の普及啓蒙のためのテレビコマーシャルの制作・放映のほか、インフォメーションコーナーの設置、外国語併記の案内標識の充実、県国際交流協会に保健・医療通訳ボランティアの設置のほか、観客の移動ルート等に救護所を10カ所設置した。
16. 国際意識の向上 はい

施策の内容

  • 出場国理解講座の開催、サッカーパークなどでの交流等を通して意識の向上に努めた。
17. 国際交流の進展 はい

施策の内容

  • ワールドカップを通して各種国際交流の推進を支援するとともに、キャンプ地誘致のためのトップセールス、日韓の交流事業のほか、サッカーパークの設置や出場国大使歓迎交流会(利府町)の実施に努めた。
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい

施策の内容

  • 関係市町村教育委員会などの協力を得て、1校3国運動、出場国料理の給食、中学校修学旅行での大使館(30カ国)訪問、出場国大使等の歓迎レセプションへの参加、国際ユースサッカー親善試合・交流試合の開催、韓国高校生とのホームステイ交流、ならびにスタジアム周辺等での美化活動などの取り組みが行われるように努めた。
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 はい

施策の内容

  • 宮城スタジアムは周辺の恵まれた自然との共生が設計コンセプト、仮設工事はリース品を多用、ガイドブックやゴミ袋などの再生紙利用に努めた。
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 はい

施策の内容

  • 当初設計では陸上競技主体であったが、ワールドカップ開催決定後、屋根の増設などワールドカップ仕様を取り入れ充実を図った。
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 はい

施策の内容

  • リハーサル大会等(H12キリンカップ、Jリーグオールスター、H14ベガルタ仙台対浦和レッズ)を実施した。
22. 地域スポーツの活発化 はい

施策の内容

  • 地域スポーツ文化講座の開催、サッカー・スポーツ教室、仙台スタジアムまつり、ベガルタ仙台の地域に根ざしたクラブづくりへの支援などを通して、活発化に努めた。
23. スポーツ参加率の上昇 はい

施策の内容

  • 地域スポーツ文化講座の開催、サッカー・スポーツ教室、スポーツイベント、仙台スタジアムまつりなどを通して活発化に努めた
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい

施策の内容

  • 大会の成功に向けて、JAWOCとの連携、大手広告代理店との情報交換や市町村等関係機関との調整を行い、円滑な輸送・警備対策、万全な医療・防災対策などに努めた。
25. サッカー人気の高まり はい

施策の内容

  • ワールドカップ宮城開催の成功、イタリア代表チームの仙台キャンプ、日韓交流サッカー大会への支援のほか、在県外国人等の交流フットサルフェスタを実施した。

C.ワールドカップ開催を終え、下記項目について、その成果を評価するとどのようにお考えですか。1~5、Xのなかから番号(記号)を一つ選んで○をつけてください。またその成果を評価するための客観的な指標はありますか?もしある場合には、その項目と内容を具体的にお書きください。なお「X.現時点で評価できない」とする場合は、いつ頃評価できるようになるのでしょうか?評価できる時期とその理由をお書きください。

【質問C/効果の程度に関する評価基準】

  1. 1:効果なし
  2. 2:ほとんどない
  3. 3:あった
  4. 4:かなりあった
  5. 5:効果絶大
  6. X:現段階では評価できない
No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 地元住民をはじめ県民の意識がかなり高まり、ワールドカップに限れば、マスコミ調査によれば、87.8%の県民が、ワールドカップに何らかの形で拘わり持ったとされた。
2. 住民の連帯感の醸成 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 町民の協力体制ができ、大会後、町民からスタジアムの有効活用について積極的なアイデア提供がなされているほか、初の町民体育祭がスタジアムで開催された。
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 地元報道機関の大半が平成14年度ビックニュースのナンバーワンとしてワールドカップ宮城開催を取り上げた。県民の多くから大会の成功を祝する声が上がった(新聞等)。
4. 地域文化の見直し 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • マスコミのアンケート調査によれば、県民の最も興味のあるスポーツとしてサッカーが昨年より10.9%も上昇し32.1%、宮城スタジアムでのベガルタ仙台ホームゲームはJ1セカンドステージ最多入場者数(約4万4千人)など、サッカー文化が着実に根付き始めつつある。
5. 地域名のメディア露出 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • イタリア、メキシコ、ブラジル、中国など多くのテレビ局が、宮城の歴史、文化を取材し、本国で放映した。
6. 外来者観光客数の増加 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 外国観客数3試合で7,000人、その他、イタリアキャンプやメディア関係者多数ほか、空室情報サイトアクセス件数21,095件に上った。
7. 商店街の活性化 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 一部飲食店、お土産売場、ユニフォーム等グッズ販売店はかなり賑わったとの声もあるが、反面、テレビ中継の時間帯は繁華街の人通りが少なかった。また、市内中心部にオープンカフェが設置(仙台商工会議所)された。
8. 地域経済への波及 ×

成果を客観的に示す指標とその内容

  • イタリア代表の仙台市キャンプや、日本代表の宮城スタジアムでの試合などで相当の効果があったものと推測している。

「X.現時点では評価できない」場合

  • 理由:実際の生産誘発額を算出することができない
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • スタジアムで開催されたコンサート(約5万人)やJリーグの試合(約4万4千人)における輸送対策の参考とされ、円滑な運営が行われている。
10. 鉄道交通網の整備 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • スタジアムで開催された大規模イベントの輸送の円滑化、地域住民の通勤等生活の利便性や産業の振興に寄与している。
11. 街並など景観の向上 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 仙台市は、従来より「杜の都」として街並みの景観の向上に積極的に取り組んでおり、カウントダウンンタワーの設置などワールドカップ関連事業の実施も指導を受けた。
12. 住民の美化運動の実践 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 国体、ワールドカップと2年連続で大規模イベントが開催されたことにより、美化運動に対する意識は高まっている。国体、ワールドカップを契機に宮城スタジアム周辺道路美化活動事務局(県関係職員ボランティア170名)が組織され、定期的な活動が定着してきた。
13. ボランティア活動参加者の増加 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 8月の仙台七夕ボランティア応募者が前年の2倍程度(100人)、ベガルタ仙台の平成15年ボランティア登録者数は313人(1月現在、H14最終350人)と急増している。なお、スタジアムの利活用推進のため、新たにボランティア募集しており、応募状況は順調である。
14. ボランティア活動組織の増加 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 大会後、ボランティア同士の交流組織「エキポ・ミヤギ」の発足、キックラブ有志による「キックラブ・アクティブ」が結成されたほか、新たにスタジアムボランティアの組織化とボランティアセンターの設置を進めている。
15. 地域ホスピタリティの向上 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • インフォメーションコーナーでの対応延べ約42,000件、救護所の受付患者40名、救急搬送4名となった。「ウェルカムせんだい・みやぎ」キャンペーン(仙台商工会議所)、アーケード街におけるストリートパフォーマンス、地元大学生による外国人向け地図の作成等自主的な取り組みが行われ、意識は高まった。
16. 国際意識の向上 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 一般県民の自主的な外国語講座への参加。商店街やホテルでの外国語マナー等の講座の開催。ホテルの外国人仕様への一部改装等、外国人受入体制が充実した。
17. 国際交流の進展 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 大会後、出場国スウェーデンの音楽家の利府町での演奏会、利府町民の環境保護調査のためのスウェーデン訪問。白石市とイタリア・アナーニ市との交流。古川市立小学校と韓国の小学校との友好校提携のほか、国際シンポジウム「サッカーとスポーツ文化」が開催された。
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 1校3国運動の学習、イベントへの参加やその他各種活動を通して、身近で開催されたワールドカップに拘わることができたことは、青少年の交際理解を深めるのに有効であったとされている。
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 宮城スタジアムは、豊かな自然と調和のとれた施設と評価されているところであり、国内外から訪れた観光客、あるいはテレビ観戦・視聴者に新鮮なイメージを与え、自然の大切さ、素晴らしさを認識させた。
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 大会後、スタジアムでは大規模イベント(コンサート、Jリーグ試合)が開催されており、これらの運営に対応できる機能を有する施設、設備であることが実証されている。
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 県民から「スタジアムをスポーツに限らず、イベント会場として広く利用すべき」との声があり、(地元紙の世論調査モニターで54.8%)、現在幅広い、スタジアム等の利活用促進を図るための協議会を設立し、検討している。
22. 地域スポーツの活発化 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • スポーツNPO法人数が2から10に増加しており、地域スポーツの活性化が図られてきている。
23. スポーツ参加率の上昇 ×

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 本年度に策定したスポーツ振興計画で、県民のスポーツ参加率が上昇するように努めることとしている。

「X.現時点では評価できない」場合

  • 理由:スポーツ振興計画の目標年次
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • スタジアムで行われたベガルタ仙台ホームゲーム(4月14日)をリハーサル大会として、(株)東北ハンドレッドと協力して実施するとともに、ワールドカップ時の観客輸送計画書の配布などを行った。大会後、開催されたベガルタ仙台ホームゲームの輸送・警備の運営に活かされた。
25. サッカー人気の高まり 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • ベガルタ仙台のホームゲーム1試合平均入場者数が21,862人(J1で第4位)、スタジアム収容員率は90%以上とJ1で第1位となっている。

Q3.貴自治体におけるワールドカップの事後評価について、特記すべき事項を自由にご記入下さい。

アジアではじめてのワールドカップは、日本と韓国の友好新時代の幕開けに相応しい初めての共同開催ということもあり、全世界の人々の注目の中で開幕し、連日、観客を魅了する熱戦が繰り広げられ、興奮と熱狂に包まれました。

運営面では、共同開催というまったくマニュアルにない中での本大会でした。また、当初、神経を尖らせたテロやフーリガンなどによる暴動が杞憂に終わり、大きな混乱もなく終了し、成功をおさめることができました。

本県にとって特筆すべきことは、日本代表チームがはじめて決勝トーナメントに進出し、歴史に残る試合を宮城スタジアムで行ったことです。これは県民に大きな夢と感動を与えてくれました。

また、本県が開催地であったことに加え、イタリア代表チームが仙台市でキャンプをしたことから、MIYAGIの情報を世界に発信することができました。

さらに1600名を超えるボランティアの方々の活動や社会参加の高まり、様々な国際交流のほかに、集団災害緊急医療体制や、危機管理連絡体制等の構築を通し、関係機関の結びつきを強固なるものにするなど多くの成果を残しました。 これまで、全く経験のない世界最大のスポーツイベントを成功させたことは、県民にとっても大きな自信と誇りであり、これらの有形無形の財産は末永く後世に継承されるものと考えます。

ただ、残念であったことは、大会初期から空席問題が発生し、また、宮城スタジアムでの日本対トルコ戦において、約700席もの空席が発生したことです。この件に関しては、後にFIFAが第三者機関の評価報告を受け、チケット送付の遅延と空席問題があったことを認識し、遺憾であることを表明、その責任の所在を明確にしました。一時は、日本側の不手際もささやかれたことから、名誉も回復され、溜飲の下がる思いです。今回の教訓が次回以降の大会に活かされることを強く期待します。

なお、大会を終えての本県の課題は、スタジアムへのアクセス及び、スタジアムの有効活用です。アクセスに関しては、時間をかけて方向性を見出していきたいと考えておりますが、スタジアムの有効活用については、すでに「グランディ・21利用促進協議会」を設置、検討を始めておりますし、さらには、スタジアム等で活躍するグランディ・21ボランティアも募集を開始しております。

最後に本大会の貴重な体験を、宮城のスポーツ文化の創造や韓国を初めとする国際交流など、今後の県政運営に最大限活かしてまいりたいと考えております。

宮城の文書回答

1)全体的な印象

日本代表チームが決勝トーナメントに進出し、その歴史に残る試合がこの宮城で開催されるなど、県民に大きな夢と感動を与えてくれたと思います。また、開催地という事だけではなく、イタリア代表のキャンプ地が仙台市ということもあり、宮城・仙台の情報を世界に発信する事ができました。県としては、ボランティアの活躍や社会参加が高まったこと、また、県内各地で様々な国際交流などの成果もありました。更には、集団災害緊急医療体制や危機管理連絡体制の整備を通して関係機関のネットワークもできました。これに限らず、ワールドカップサッカーがもたらした様々な結果は、今後、宮城県によっていい意味を持ってくるものと期待しています。

自己採点

「90点」
減点の10点は、チケット販売の遅滞や空席が発生したチケット問題があったため。

重要と思われる項目(3点)

住民の参加意欲向上、地域ホスピタリティの向上、地域の国際化


2)開催地立候補時点、決定直後、終了後の各々でWカップへのイメージ、考え方の変化の有無

立候補時点における、世界の一流選手の競技を堪能できるだけでなく、大会を通じたサッカーの普及強化、世界の人々との相互交流、友好促進や本県経済、文化への大きな波及効果への期待など、世界との交流を目指す本県に様々な好影響をもたらしてくれるという考えについては終了後も一貫している。開催地決定の段階において、韓国との2カ国開催となったが、韓国との定期路線を有する仙台空港のメリットなどから、本県開催の実現に向け誘致活動にも弾みがついたように思う。

当然、決定後の大会への関心度は、県民もそれ以前とは比較にならないほどの高まりを示した。


3)成果の自慢(3点)

第一に我が県で開催できたこと自体が自慢です。日本代表の決勝トーナメントを含め3試合、海外の5チームが本県で対戦し、さらにイタリアを含めると6カ国チーム、それにサポーターが来県しましたが、それぞれの国では試合に限らず開催地・キャンプ地である「宮城・仙台」についてもメディアへ紹介されたことと思います。また、関係者のみならず県民もサッカーパークでの国際交流など貴重な体験ができ、有形無形の財産を残したと思う。

第二に前年の夏季・秋季国体の際もそうでありましたが、今大会を通じて1600人ものボランティアが協力してくれたこと。サッカーなどのスポーツのイベントに限らず、今後、様々な場面で住民の参加が望まれますが、その意味でも手ごたえを感じました。 第三に無事終了できたことです。フーリガンやテロ等に備え、集団災害対策として医療機関、消防、警察、自衛隊等でプロジェクトチームを作り対応しました。45,000人を超える観客の輸送や宿泊についてもできる限り情報提供に努めました。これらが、円滑に運営され大きな事件・事故もなく終了できたことです。


4)事業の成否又は事後評価、効果測定及びその公表等の重要性

開催自治体では多額の予算を投入し、また、開催自治体以外からも宝くじ収入をワールドカップの費用に優先配分する協力を得ております。その意味でもJAWOCが中心となり事業評価なりを公表していくことが重要であり、それが義務、責任であると考えます。


5)直接・間接総費用

2,890百万円

経費の性格

スタジアムについては、平成13年度開催された国体のために整備されており、上記の費用は「イベント参加費用」のみを計上している。ただし、スタジアムについてはワールドカップ仕様とするため経費を上乗せしており、今後、サッカーに限らず各種スポーツ大会やイベント、県民への開放など多面的な活用を図ることとしています。


6)ワールドカップ関連収支についての感想

FIFAとの調整や為替との関連で収入見込みが開催直前まで分からないため、JAWOC負担金の追加があるなど、国際的なイベントの収支見込の難しさを感じました。本県の予算規模から見れば多額の支出ではありましたが、成果の自慢でも掲げたように、費用以上に有形無形の財産を得られたことを考えれば決して無駄な支出ではなかったと確信しています。


7)住民自治参加意識への貢献

成果でも掲げたようにボランティアの積極的な協力が得られ、また、次の市民レベルの交流でも記しているがイタリア代表チームの支援のため市民を巻き込んだ組織ができるなど、今回のワールドカップサッカーは住民の自治参加意識への貢献を一歩も二歩も前進させる契機となりました。


8)市民レベルの国際交流

交流の場となるサッカーパークを仙台市中心部の公園に設置し、市民のみならず対戦国のサポーター同士との交流も図れました。また、仙台市をキャンプ地としてイタリア代表チーム“アズ-リ”への練習環境の整備などの支援のために、市民、企業、サッカー関係団体等で組織「フォルツァアズーリクラブ」が設立され、滞在期間中は支援に止まらず交流の場を設置されるなど国際交流にも寄与しています。将来的にもイタリアサッカー協会との交流を図るため、新生「フォルツァアズーリクラブ」に衣替えをし活動を継続しているところです。


9)交通・情報インフラ、宿泊施設、商業施設、文化財施設等で不足しているもの

提示された中で最も心配したのが、交通アクセスです。会場が仙台市の東隣の利府町の住宅団地内にあることから、最寄の公共交通機関などからのシャトルバスによる輸送に重点をおいて対応しました。また、ワールドカップサッカー大会の直前には東北縦貫自動車道路から分岐し、仙台空港からも直接アクセスできる有料道路のインターチェンジが会場となった宮城スタジアムの隣接地に完成し、計画に沿った輸送が実現できましたが、仙台駅からのアクセスが悪いとの不評も聞かれたことも事実です。

情報インフラについては、既存のインフラで対応ができないわけではありませんが、IT革命が進展する中にあって、県内でも地域間格差の解消や情報産業の集積を目指し、高速情報ネットワークやインターネット・エクスチェンジの設置を目指しています。 商業施設については、仙台市中心部が商店街が集中していますが、海外旅行客への配慮は今回の大会を契機にさらに充実が望まれます。


10)人材

今回のような国際的なスポーツイベントは本県にとって初めてであるが、ワールドカップの前年には、夏季・秋季国体を開催しており、スポーツイベントのノウハウは職員や関係団体等にも蓄積されていました。さらにFIFA、JAWOCとの連携や過去の大会の情報収集などを通して人材が育ってきており、限られた人員の中でよく役割を果たしてくれたと思います。イベントのために日ごろから人材を育成する余裕はありませんが、組織として人的なネットワークやノウハウを蓄積し引き継ぎ、共有していくことが重要と思います。


11)ベガルタ仙台の貢献、今後の方針

昨年はベガルタ仙台がJ2からJ1に昇格し、ベガルタ仙台の活躍は県民に夢を与えてくれています。ワールドカップサッカーが、そのJ1昇格の年に開催されたこともあって県民の関心も熱狂的なものがありました。

仙台市がキャンプ地に決定され、また、イタリア代表チームがキャンプ地として選んだ背景としては、プロサッカーチーム「ベガルタ仙台」の存在とそれに伴う施設の充実が挙げられます。今年の6月上旬には、1周年記念事業としてサッカー協会が主催、フォルツァアズーリクラブが共催し、イタリア・セリエAキエーヴォ・ヴェローナとベガルタ仙台との国際交流試合も開催されるなど大いに貢献しています。

本県におけるJリーグチーム設立、設立後の支援については、宮城県も積極的に支援してきていますが、Jリーグチームはホームタウン制であることから、県が積極的に関与することよりも、チームが市民や民間団体等と一体となって発展することが望ましいと考えています。


12)大会終了後の国際的PR活動の継続

今大会を通じて宮城の知名度が上がったと思います。それを最大限に生かしていくということを考えていくべきだろうと思っております。具体例を挙げれば本年1周年記念事業として、韓国のチームと本県のチームとのサッカー、フットサルの交流試合やベガルタ仙台とキエーヴォ・ヴェローナとの交流試合なども国際的PR活動に寄与することと思います。