大分の特色

知事も達成度を120点と語ったように、その戦略的な取り組みは際立っており、評価に値するだろう。自己評価も軒並み5点満点が並んだように、達成満足度も非常に高い。開催のみならず、カメルーンのキャンプ地として中津江村が注目を浴びたように県全体のPR効果も高かった。大会開催後に「大分トリニータ」が2002シーズンでJ1に昇格する等、そのシナジー効果を最大化するような事態も起こり、成果は実感として得ている自信と自負がはっきりと表れている。

小規模の地方都市でも世界規模のイベントを開催できることを証明したこと、またそのノウハウを得たこと、それによって地域アイデンティティーの確立が図れたことは、実体として大きな財産となったであろう。また、Wカップを一過性のものとしないよう「ワールドカップ大分開催成果継承委員会」を設置し、成果を引き継ぐための取り組みの検討体制を整えている点は、その戦略的な対応という点で特筆すべき事項である。

大分のデータ

Q1.貴自治体におかれましても、ワールドカップに関する事後評価は重要であると認識していらっしゃることと存じますが、すでに事後評価はしていらっしゃいますか?

はい


Q2.以下の25項目につきまして、A,B,Cの3段階でご質問いたします。下記表内に書き込んでください。

A.ワールドカップ開催前に、ワールドカップ開催によって、下記項目について「充実/促進」が図られると考えておられましたか?

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい
2. 住民の連帯感の醸成 はい
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 はい
4. 地域文化の見直し はい
5. 地域名のメディア露出 はい
6. 外来者観光客数の増加 はい
7. 商店街の活性化 はい
8. 地域経済への波及 はい
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい
10. 鉄道交通網の整備 はい
11. 街並など景観の向上 はい
12. 住民の美化運動の実践 はい
13. ボランティア活動参加者の増加 はい
14. ボランティア活動組織の増加 はい
15. 地域ホスピタリティの向上 はい
16. 国際意識の向上 はい
17. 国際交流の進展 はい
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 はい
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 はい
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 はい
22. 地域スポーツの活発化 はい
23. スポーツ参加率の上昇 はい
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい
25. サッカー人気の高まり はい

B.Aで「はい」と回答された場合は、そのために施策や事業を実施しましたか?もしされている場合は、その具体的な内容をお書きください。

(回答:はい/いいえ)

No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 はい

施策の内容

  • 地域の振興専門委員会を設置
  • 全市町村でワールドカップに関連したイベントを実施し県民一体となった受入を実施
2. 住民の連帯感の醸成 はい

施策の内容

  • 同上
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 はい

施策の内容

  • 同上
4. 地域文化の見直し はい

施策の内容

  • 関連イベント専門委員会を設置
  • 大分らしいおもてなしのイベントを実施
  • カルチュアルイベント実施
5. 地域名のメディア露出 はい

施策の内容

  • 広報情報専門委員会を設置
  • 4ヶ国(英・仏・伊・西)語のメディアキットを作成
  • 首都圏メディアによる情報発信効果調査
6. 外来者観光客数の増加 はい

施策の内容

  • 大分総合情報センター(1ヶ所、24H対応、英・仏・西の3ヶ国語対応)、サテライトインフォメーション(11ヶ所)を設けて受け入れた。
  • 観光宿泊専門委員会設置
  • 大分宿泊センターを設けて、期間中の受入れの円滑化を図った。
7. 商店街の活性化 はい
  • 大分市、別府市の中心商店街で受入れイベントを実施
8. 地域経済への波及 はい

施策の内容

  • ホテル・旅館、スポーツ用品などの分野で経済効果が見られた
9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 はい

施策の内容

  • 大会開催をめどとした交通インフラ整備(高速道、一般道)
  • 交通輸送対策専門委員会設置
  • 大会時の交通規制・シャトルバス輸送(無料)・TDM実証実験
10. 鉄道交通網の整備 はい

施策の内容

  • スタジアム最寄駅であるJR高城駅の南北通路の改修工事
11. 街並など景観の向上 はい

施策の内容

  • 大分カラーによるもてなし
12. 住民の美化運動の実践 はい

施策の内容

  • ボランティアによる清掃活動
13. ボランティア活動参加者の増加 はい

施策の内容

  • ボランティア専門委員会設置
  • 開催地ボランティアセンター設置
  • JAWOCボランティア(大会運営)1,140名
  • 開催地ボランティア(地域ホスピタル)909名
14. ボランティア活動組織の増加 はい

施策の内容

  • 豊の国ボランティアファミリー
15. 地域ホスピタリティの向上 はい

施策の内容

  • 「ようこそOITAへ」作成100,000部
  • 中津江村から大分県全域へ広がった笑顔での受け入れ
16. 国際意識の向上 はい

施策の内容

  • 「ようこそOITAへ」作成
  • 県下を4地域に分けて大分で試合をする国の応援運動実施
  • 出場国料理による休職
17. 国際交流の進展 はい

施策の内容

  • ウェルカムビレッジ
  • チュニジア村
  • サポーターズパーク
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 はい

施策の内容

  • 「ようこそOITAへ」作成
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 はい

施策の内容

  • 大分スポーツ公園の森の移植
  • 「オオイタサンショウウオ」の保護
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 はい

施策の内容

  • 大分スタジアム(ビック・アイ)建設
  • 大分スポーツ公園整備
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 はい

施策の内容

  • 同上
22. 地域スポーツの活発化 はい

施策の内容

  • 大分トリニータの創設と発展
23. スポーツ参加率の上昇 はい

施策の内容

  • 大分トリニータによる少年サッカー教室の開催
24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 はい

施策の内容

  • 世界最大のスポーツ大会「FIFAワールドカップ」の運営を体験
25. サッカー人気の高まり はい

施策の内容

  • 大分トリニータの試合観戦への誘導(無料招待)

C.ワールドカップ開催を終え、下記項目について、その成果を評価するとどのようにお考えですか。1~5、Xのなかから番号(記号)を一つ選んで○をつけてください。またその成果を評価するための客観的な指標はありますか?もしある場合には、その項目と内容を具体的にお書きください。なお「X.現時点で評価できない」とする場合は、いつ頃評価できるようになるのでしょうか?評価できる時期とその理由をお書きください。

【質問C/効果の程度に関する評価基準】

  1. 1:効果なし
  2. 2:ほとんどない
  3. 3:あった
  4. 4:かなりあった
  5. 5:効果絶大
  6. X:現段階では評価できない
No. 項目 回答
1. 住民意識の一体化 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「2002FIFAワールドカップ大分開催実施結果速報」
  • 地域振興関係事業実施概要
  • 大分推進委員会の専門委員会体系図
2. 住民の連帯感の醸成 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
3. 地域の誇りや住民の自信の獲得 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
4. 地域文化の見直し 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
5. 地域名のメディア露出 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • メディアキット
  • 首都圏メディアによる情報発信効果調査報告書(取りまとめ中)
6. 外来者観光客数の増加 3

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 結果速報
  • ALLEZ!!大分No.1-3
  • 「OITA DREAM FESTA EVENT MAP」
  • 大分総合情報センター体制図
7. 商店街の活性化 4

成果を客観的に示す指標とその内容

8. 地域経済への波及 4

成果を客観的に示す指標とその内容

9. 交通渋滞解消/自動車交通の定時制の確保 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 結果速報
  • 専門委員会体系図
  • ビックアイアクセスご案内
10. 鉄道交通網の整備 4

成果を客観的に示す指標とその内容

  • タジアム最寄駅であるJR高城駅の南北通路の改修工事
11. 街並など景観の向上 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 結果速報
  • 「NEO OITA」
12. 住民の美化運動の実践 5

成果を客観的に示す指標とその内容

13. ボランティア活動参加者の増加 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 専門委員会体系図
  • ボランティア登録状況
14. ボランティア活動組織の増加 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 豊の国ボランティアファミリー名簿
15. 地域ホスピタリティの向上 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「ようこそOITAへ」
16. 国際意識の向上 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「ようこそOITAへ」
  • 地域振興関係事業実施概要
17. 国際交流の進展 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「OITA DREAM FESTA EVENT MAP」
  • 「佐伯万能ガイドブック A TASTE OF SAIKI」
18. 青少年への国際理解教育や社会教育の実践 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「ようこそOITAへ」
19. 環境保全意識への高まりへの寄与 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「里山を生かした大分県スポーツ公園」
20. スタジアム等-スポーツ施設の充実 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 「スポーツ公園の概要」
  • 「OITA SPOPARK21 BIG EYE」
21. スタジアム等-スポーツ施設利用の活発化 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 同上
22. 地域スポーツの活発化 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 大分トリニータ マッチデープログラム
  • 大分トリニータ イヤーブック2002
23. スポーツ参加率の上昇 4

成果を客観的に示す指標とその内容

24. スポーツイベント運営ノウハウの獲得 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 大分県サッカー協会の法人化(2003年1月予定)
25. サッカー人気の高まり 5

成果を客観的に示す指標とその内容

  • 2001、2002大分トリニータチーム成績
  • 入場者数推移

Q3.貴自治体におけるワールドカップの事後評価について、特記すべき事項を自由にご記入下さい。

  1. 本県は、今回のワールドカップ大分開催の意義として、次の7点を掲げている。(参考 平成14年6月議会知事答弁)
    1. (1)世界規模の大会を地方都市で開催できること
    2. (2)大分を世界に情報発信できる絶好の機会であること
    3. (3)国際的な大会を運営するノウハウが得られること
    4. (4)国際的なイベント開催に伴うインフラ整備が進むこと(高速道路その他)
    5. (5)日韓共催であり、日韓の友好交流が深まること
    6. (6)次代を担う青少年に勇気と希望と感動を与えること
    7. (7)ビッグアイという新しい観光・交流の拠点ができること
  2. 本番を迎えるに当たり、次の3原則で運営するとし、これに対する大会直後の知事の記者会見は別添資料のとおりです。
    1. (1)安全・安心
    2. (2)ホスピタリティ
    3. (4)アフターワールドカップ
  3. 本県のワールドカップ推進局で取りまとめた全体概要を添付しますので、参考にしてください。
  4. 現在「ワールドカップ大分開催成果継承委員会」を設置(11月26日)し、交通輸送、ボランティア、救急防災対策などの成果を今後継承していくための方策を検討している。

大分のインタビュー

1) 2002年Wカップは大きな成果を挙げたと思いますが、自治体首長としての全体的な印象をお聞かせ下さい。

  • 「安心・安全」な大会運営、「ホスピタリティ」、「アフターワールドカップ」が開催に当たっての留意点。
  • 「安心・安全」の観点からは、交通輸送や警備、治安対策など、スムーズな運営ができた。
  • 「ホスピタリティ」の観点からは、中津江村の歓迎が騒ぎになり、本大会に入ってからも、大分らしいおもてなしができた。各国大使から「大分のホスピタリティは素晴らしい」と言ってもらえた。
  • 「アフターワールドカップ」の観点からは、国際交流を進展させようと、「大分カメルーン親善協会」「中津江村笑顔の会」などがカメルーンの間にでき、その他にもいくつかの交流が進んでいる。また大分トリニータの国際試合の話も進んでいる。

2) 開催地への立候補時点、開催地決定直後、終了後、各々でWカップへのイメージ、考え方に変化はありましたか。

  • 招致表明以来、5つの開催意義を唱えてきた。
    1. オリンピックをしのぐ国際大会を地方で開催できるということ
      →ローカルにしてグローバルな大分を世界に情報発信できる機会としてとらえた。
      →一村一品運動の土台にあるローカルにしてグローバル外交の延長線上としてとらえた。
    2. 韓国との絆を深めることができたこと
    3. 若者に勇気と希望と感動を与えたこと
    4. ビッグアイという優れたスポーツ施設ができたこと
    5. 大会を契機に県内各地で観光と交流の輪が広がったこと
      →中津江村の観光客増加
      →イタリアとのファンゴ(泥パック)交流

3) 住民の自治参加意識の醸成にWカップ開催は貢献しましたか。

  • 計画段階から多くの県民に参加してもらう取り組みをした。
    • 県下223団体による「2002年FIFAワールドカップ大分推進委員会」
    • 7つの専門委員会
    • ボランティア参加(JAWOC 1140人、開催地 909人)
    • 大分で試合をする4カ国について、地方振興局ごとに応援する国を決め、関連イベントを実施
  • またビッグアイ周辺の自治体での自発的な運動も多く見られた。

4) 市民レベルでの国際交流という点ではいかがでしたか。

  • 大分市の「こんにちはフェスタ」には33万人の人が詰めかけ、それ以外のイベントでも県民と海外サポーターの交流が各地で見られた。
  • ワールドカップでの交流がきっかけでスウェーデンの大学生が県内企業でのインターンシップをすることになった。

※ワールドカップと一村一品運動の関係

  • ワールドカップ前から一村一品運動として各国の地域との交流があった。
  • オリンピックとは大都市での開催だが、最もグローバルなスポーツが最もローカルな地域で開催できるのがワールドカップであるという認識があった。
  • 一村一品運動の土台にあるローカルにしてグローバルな外交の延長線上として捉えワールドカップ開催地に立候補した。