Special Report

コロナショック後の人出変動と企業倒産:GoogleロケーションデータとTSR倒産データを用いた実証分析

宮川 大介
一橋大学

尻高 洋平
(株)東京商工リサーチ

武政 孝師
(株)東京商工リサーチ

原田 三寛
(株)東京商工リサーチ

柳岡 優希
(株)東京商工リサーチ

要旨

本研究は、COVID-19(コロナウイルス)の感染拡大を防ぐ目的から導入された外出自粛要請などによる人出の変動が企業倒産に及ぼす影響を検討したものである。具体的には、Googleが公表した2020年1~ 3月の小売店や職場などに関する人出変動データを用いて都道府県レベルのモビリティ変動を計測したうえで、東京商工リサーチ(TSR)が収集したコロナショック以降の時期(2020年2~3月)における日本企業の倒産履歴との関係を推定した。第一に、コロナショック後に小売店や職場などのモビリティが低下した都道府県において企業の倒産確率が上昇した。2019年12月の倒産履歴を用いたプラセボテストからはこのような関係は確認されないため、コロナショック後の地域モビリティの変動が企業倒産を生み出している可能性が認められる。第二に、コロナショック前後において、宿泊・飲食サービス業の倒産確率が高い伸びを示している一方で、卸売・小売業ではほぼ変化がないなど、業種毎の異質性が伺える。第三に、企業属性(例:売上高成長率)を明示的に勘案したモデルから、低成長企業が高い確率で倒産するという傾向がコロナショック後に観察された。第四に、モビリティ変動の波及効果を計測する目的から、隣接都道府県の平均的なモビリティ変動と取引先(販売先・仕入先)の所在する都道府県の平均的なモビリティ変動を勘案したモデルを推定した結果、隣接都道府県のモビリティ上昇(需要の移動)と取引先が所在する都道府県のモビリティ低下(需要・供給ショック)が企業倒産の増加と相関していることが確認された。

本文

2020年4月13日掲載