調査の目的
本調査は、その日に起きた良い出来事を3つ挙げるというシンプルなエクササイズ(以下ではTGT(Three good things)と呼ぶ)によって、抑うつ度が低下し、幸福感が向上し、経済に対する見通しが改善し、他人に対する信頼が向上するかどうかを検証しようとするものである。
TGTは、ポジティブ心理学の創始者であるペンシルベニア大学のセリグマン教授が提案したものであり(Seligman et al.2005)、毎晩寝る前にその日に起きた良い出来事を3つ挙げるという課題を1週間継続した者の抑うつ度の低下や幸福度の向上が見られ、更にその効果が半年間継続した。TGTがシンプルなエクササイズであることから、本当に効果があるのであれば、国民全体の幸福度向上やメンタルヘルスの増進という観点から我が国においても推奨する価値があると考えられる。
本調査では、その日に起きた良い出来事を3つ挙げるグループと過去の出来事を3つ挙げるグループに分けて調査を行い、TGTを行う頻度を週に2日以上とする代わりに4週間継続することによって、依然として先行研究で見られた効果が見られるかどうかを明らかにすることを目的とする。
調査概要
- 調査対象数
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60,000人
- 調査対象
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日経リサーチアンケートモニターに属する一般男女
- 調査手法
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インターネット調査
- 1回目調査(ベースライン調査):5月30日(木)~6月3日(月)
- TGT調査(毎日調査):6月6日(木)~7月3日(水)
※1回目調査で本調査への協力意向のあった回答者の中から1,000名を抽出し、毎日良い出来事を書くグループ(500名)とこれまでの人生に起きた出来事を書くグループ(500名)に分けて実施 - 2回目調査(ポスト調査):7月5日(金)~7月8日(月)
※TGT調査を週2回以上回答した対象者544名に実施 - 3回目調査(フォローアップ調査):8月4日(日)~8月7日(水)
※2回目調査の回答者517名に実施
- 最終回答数
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その日の良い出来事を書くグループ:270人
過去の出来事を書くグループ:208人 - 実施時期
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平成25年(2013年) 5月~8月
関連リンク
- 2016年8月 16-J-050
「信頼と心理指標(抑うつ度、不安度、ネガティブ感情、ポジティブ感情)の関係の検証:心理介入によって信頼を向上させることができるか?」 (関沢 洋一、宗 未来、野口 玲美、山口 創生、清水 栄司) - 2015年1月 15-E-001
"Does the Three Good Things Exercise Really Make People More Positive and Less Depressed? A study in Japan" (SEKIZAWA Yoichi and YOSHITAKE Naomi) - 2013年11月 13-J-074
「心理指標と消費者マインドはどのように関係しているか?」 (関沢 洋一、吉武 尚美、後藤 康雄) - 2013年11月 13-J-073
「良いことを毎日3つ書くと幸せになれるか?」 (関沢 洋一、吉武 尚美)