プロジェクト概要
スチュワードシップ・コード、コーポレート・ガバナンス・コードの実施を通じて、日本企業の統治制度改革は、形式的な整備から実効性の確保という新たな段階に入った。今後、この統治制度改革を通じて、日本企業の収益力(稼ぐ力)を改善して行くためには、改革が、企業のイノベーション能力の基礎であるR&D投資、人的資本投資を促進し、また積極的なM&A、事業再組織化、過度な負債圧縮の回避などに寄与する必要がある。もっとも、これまで、所有構造の変化、取締役会の改革といった統治制度の変化が、実際にこうした企業行動にどの程度、いかなるルートを通じて影響を与えるのかについて、十分に解明されてきたとはいえない。また、株主主権をモデルとする改革が、長期関係を基礎に置く他の経済制度(雇用システム)と実際に整合的に機能するのか、さらに、こうした市場による経営の規律の促進が、近視眼的な経営を生み出すという可能性も検討される必要がある。本プロジェクトの課題は、こうした問題意識から、現在の日本企業の統治制度の機能を、企業のイノベーション、M&A、事業再組織化、財務政策などの企業行動に焦点をあてて解明する点にある。
プロジェクト期間: 2017年8月14日 〜 2019年7月31日
主要成果物
2019年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 20-E-003
"Does Regulation Matter?: Effects of Corporate Governance Reforms on Relational Shareholding in Japan" (Johan JIDINGER and MIYAJIMA Hideaki) - 19-E-077
"Stewardship Code, Institutional Investors, and Firm Value: International Evidence" (SHIRAISHI Yutaro, IKEDA Naoshi, ARIKAWA Yasuhiro and INOUE Kotaro)
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
2018年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 19-E-010
"Professionals on Corporate Boards: How do they affect the bottom line?" (SAKO Mari and KUBO Katsuyuki) - 19-E-001
"Going Concern Notes, Downsizing, and Exit" (SARUYAMA Sumio and Peng XU) - 18-E-084
"Corporate Governance, Employment, and Financial Performance of Japanese firms: A cross-country analysis" (ARIKAWA Yasuhiro, INOUE Kotaro and SAITO Takuji) - 18-E-074
"Stock Repurchases and Corporate Control: Evidence from Japan" (Julian FRANKS, Colin MAYER, MIYAJIMA Hideaki and OGAWA Ryo) - 19-J-050
「政策保有社外役員工作と企業価値」 (胥 鵬、高橋 秀朋、田中 亘)