プロジェクト概要
2009年度~2010年度
近年、目覚ましい経済発展を遂げた中国は、新興国の中でも日本にとって経済的結びつきが強い。特に貿易分野では日本にとって中国は最大の貿易相手国となり、中国にとって日本は3番目の貿易相手国となっている。また、日本企業の対中直接投資累計額は中国にとって2番目の規模である。こうした密接な経済取引が進む状況下において、中国の経済発展を支えるメカニズムの解明とその持続可能性について、政策担当者と研究者が大きな関心を寄せている。RIETIは中国経済の分析を進めるため、2006年に中国国務院発展研究センター(DRC)との間で研究協力協定を締結した。その協定に則り、中国の企業・産業データや日本の海外進出企業データなどを利用し、中国の経済成長を牽引する外資企業がもたらす影響や、国際化が進む中国企業の実態を定量的に分析することを目的としている。
2007年度~2008年度
国際経済において注目すべき研究課題として、直接投資・現地生産とアウトソーシングの拡大、技術ライセンス供与と知的財産権の保護、FTAの貿易拡大効果、関税・アンチダンピングの保護貿易政策の実効性があげられる。これらの課題に関する分析においては、貿易理論、企業理論、契約理論などによる理論研究が先行しているが、実態面における解明は、日本に限らず海外においても十分になされているとはいえない。このため、国際貿易に関する財別データ、日本企業に関する産業レベル・企業レベルデータを駆使して、上記課題に関する実態を定量的に分析するとともに、政策・制度がもたらす効果を定量的に評価し、貿易・産業政策のあり方に対するインプリケーションを議論する。
2006年度
経済のグローバル化の進展の中で、我が国を取り巻く国際経済環境は大きく変化している。(1)市場条件、(2)国際分業、および(3)貿易政策の3つの観点から我が国におけるグローバル化の現状を展望する。
(1)アジア諸国を始めとする各国の市場条件は、企業の貿易、直接投資、国際分業、技術移転を大きく左右するが、その定量的な分析は発展途上にある。ここでは市場条件を示す指標の統計的整備と貿易・投資・研究開発への影響の分析の両面から研究を行い、市場条件の国際的整備の重要性を経済学的に検討する。研究の具体的ステップの1つとして、各国の知的財産権制度の保護の差異が技術移転、研究開発拠点の受け入れに与える影響などを分析し、知的財産権保護の制度の国際的調和の重要性・問題点を検討する。
(2)グローバル経済化の流れの中で、日本企業による国際分業のあり方は複雑性を増している。日系企業による生産工程の分業を、研究開発や企業規模との関係から分析することで、企業の外注・委託生産の現状を明らかにする。
(3)経済のグローバル化の進展により、貿易政策における緊急避難的な措置(セーフガード)の整備の重要性が増している。セーフガード政策では先を行くアメリカをケーススタディとして取り上げ、この政策の重要性を再検討する。
プロジェクト期間: 2007年7月 1日 〜 2011年3月31日
主要成果物
2010年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー
- 11-P-002
「グローバル化と中国の経済成長」 (伊藤 萬里、八代 尚光)
2009年度の成果
DRC-RIETIワークショップ
2008年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 08-E-029
"Cross-regional Variations in Offshore Outsourcing Choices: Evidence from Firm-level Data" (TOMIURA Eiichi, ITO Banri and WAKASUGI Ryuhei) - 08-E-028
"Offshoring and Productivity: Evidence from Japanese Firm-level Data" (ITO Banri, WAKASUGI Ryuhei and TOMIURA Eiichi) - 08-E-022
"International Strategic Alliances for Local Market Entry: Direct Launches versus Marketing Alliances in Pharmaceuticals" (TAKECHI Kazutaka) - 08-J-007
「文化的財の国際貿易:課題と展望」 (田中 鮎夢)
2007年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 08-E-009
"Offshoring and Trade in East Asia: Statistical Evidence" (WAKASUGI Ryuhei, ITO Banri and TOMIURA Eiichi) - 07-E-064
"Foreign Direct Investment, Intra-Regional Trade and Production Sharing in East Asia" (Nathalie AMINIAN, K. C. FUNG and IIZAKA Hitomi) - 07-E-060
"Dissecting Offshore Outsourcing and R&D: A Survey of Japanese Manufacturing Firms" (ITO Banri, TOMIURA Eiichi and WAKASUGI Ryuhei) - 07-E-055
"Product Cycle and Industrial Hollowing-out: The Case of the Electrical and Electronics Sector of Taiwan" (Tzu-Han YANG and Yueh-Po LIAO) - 07-E-031
"Enforceability in Trade Credit: Financial Aspects of Transactions with FDI" (ITOH Seiro, WATANABE Mariko and YANAGAWA Noriyuki) - 07-E-026
"Did U.S. Safeguard Resuscitate Harley Davidson in the 1980s?" (KITANO Taiju and OHASHI Hiroshi) - 07-E-025
"R&D and Export Intensities in Automotive Parts Firms in China, Malaysia, Philippines and Taiwan: Does Ownership Matter?" (Rajah RASIAH) - 07-E-024
"Global Sourcing, Technology, and Factor Intensity: Firm-level Relationships" (TOMIURA Eiichi) - 07-E-022
"The Effect of Imports and Exports on Total Factor Productivity in Korea" (Sangho KIM, Hyunjoon LIM and Donghyun PARK) - 07-E-021
"Does Foreign Direct Investment Have an Impact on the Growth in Labor Productivity of Vietnamese Domestic Firms?" (LE Thanh Thuy)
国際シンポジウム
- 2008年1月28日
「知的財産と東アジア・ルネッサンス」
2006年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
国際ワークショップ
- 2007年3月16日~17日
"Empirical Studies of Trade, FDI and Firm in East Asia"