OECD東京政策フォーラム

グローバル経済における先進国の役割

イベント概要

  • 日時:平成18年7月21日(金)13:30~16:30
  • 会場:国連大学「ウ・タント国際会議場」 (渋谷区神宮前5-53-70)
  • 主催:経済協力開発機構(OECD)東京センター
       経済産業省
       外務省
       (独)経済産業研究所(RIETI)
       (財)貿易研修センター(IIST)
  • 後援:日本経済新聞社

プログラム

13:30 開会

13:30-14:10 開会講演

二階俊博(経済産業大臣)*肩書きは開催当時のものです

14:10-14:40 基調講演

アンヘル・グリア(OECD事務総長)

***休憩(20分)***

15:00-16:30 パネルディスカッション 「新しい成長」に向けたチャレンジ

モデレータ:新宅純二郎(東京大学大学院 助教授)

<パネリスト>

北畑隆生(経済産業省 事務次官)

吉冨 勝(独立行政法人経済産業研究所 所長)

矢嶋英敏(株式会社島津製作所 代表取締役会長)

根津利三郎(株式会社富士通総研 専務取締役)

16:30 閉会

講演およびディスカッション概要

(1)開会講演:二階氏

  • 人口減少という逆風を超えて持続的な経済成長を目指す「新経済成長戦略」を紹介。

(2)基調講演:グリア氏

  • 経済格差の拡大、原油価格の高騰、高齢化に伴う年金問題、WT0交渉、気候変動問題など、世界経済には、数多くの問題がある。これらについて、OECD加盟国は、世界各国にベストプラクティスを広く紹介し、前向きに協力していく責務がある。

(3)パネルディスカッション「新しい成長に向けたチャレンジ」

 1)吉冨氏:「創造的成長(Innovate Growth)の促進」

  • 社会保障制度維持のためにも、経済全体のパイ(GNP)の増加が必要。
  • 少子化対策が効くのは20~30年後。高齢者、女性、若者の労働参加率向上が鍵。
  • “TFP倍増”政策が重要。サイエンスとテクノロジーのリンクの強化、テクノロジーとイノベーションのリンクの強化、サービス産業でのTFP成長など。

 2)矢嶋氏:「『ものづくり』におけるイノベーション」

  • 原理などの発見をいかに市場化してイノベーションにつなげるかが重要。
  • X線技術について、レントゲン博士の発見から1年後の1896年に発見。この成功の背景には写真技術、真空ポンプ、高電圧電源という基盤技術の存在がある。技術は連続的に発展し、また持っている要素技術とのシナジー効果がある。
  • 新産業群を支えるのは幅広い裾野を持つサポーティングインダストリーである。

 3)根津氏:「サービス産業の競争力強化」

  • OECDのデータを見ても、我が国のサービス産業の生産性上昇率は低いレベル。
  • サービス産業の生産性強化に必要なことは、(1)規制改革・競争促進、(2)顧客価値の可視化・数量化、(3)(作業量ではなく)顧客価値を反映した価格設定(政府の調査委託契約など)、(4)現場への権限委譲(サービスでは商品の製造と提供の場が一緒。トラブルはその場で解決すべき)などである。

 4)北畑氏:「経済成長戦略大綱」

  • 政府として経済成長戦略大綱をとりまとめた。
  • 国際面に焦点をあてると、中国の急速な産業構造の高度化などが問題意識として存在する。他方、日本とアジアには三角貿易構造が存在している。ともに成長することは可能。

 5)新宅氏からディスカッション前の説明

  • 日本から韓国、台湾へ、韓国、台湾から中国への投資や貿易は一方通行である。
  • 日本からは電機電子分野の基幹部品等を多く輸出している。
  • 全体として市場規模は拡大しているが、価格下落もあり、日本が付加価値を確保できる部分は、部品等に限られつつある。