インターネット投票が民主主義を変える:投稿意見

池田 信夫
上席研究員

池田さんのインターネット投票のコラムについて

経済産業研究所/GLOCOM/東京大学 澁川修一

池田さんのコラムを読んで、重要な論点が抜け落ちていると思い、意見を投稿させていただきます。
確かにインターネットがもたらす投票機会の増大は魅力的ではありますが、池田さんは不正アクセス等の危険性に対して

重要なのは、数千万人の国民に投票の機会を与えるメリットと、インターネット投票によって起こる(かもしれない)問題のリスクを比較衡量することである。
と述べておりますが、(あくまで原則論ですが)選挙というものは国民の清廉な意志を政治に対して表現する場であり、その結果積み上がった票によって候補者が当選するという仕組みです。ですから、選挙に行かないというのも、ある意味立派な国民の意思表示なのだと思います(私は個人的には選挙で堂々と白票を投ずるべきだと思いますが)。

また、リスクとメリットを比較衝量するべきだと述べておりますが、これでは選挙において一定の不正が生じても構わないと言っているように見えます。先ほど国民の清廉な意志という表現をしましたが、やはりそういう意志が表現される場において不正は許されてはならないと思います。不正が許されるということであるならば、逆に政治への信頼は減退してしまうのではないでしょうか?

電子商取引等と比較して、選挙には上記のような特殊な事情があると思います。やはり、原則として不正を無くした状態でどうやって投票率を上げていくのか、それに関してインターネットがどう貢献できるのか。

別に個人の在宅からの投票に拘らなくても、投票所をもっとたくさん、たとえばディズニーランドや渋谷に作ることは出来るでしょう。そしてどこの投票所からも、地元の小学校と代わらない厳格な本人確認の上、投票できるような仕組みを作ることは出来ないのでしょうか。

また、東京財団マニフェスト研究会のウェブでちょうど、インターネットとマニフェストの公開問題について議論になっていますが、選挙への関心を増す点ではネットは特に効果的なツールですから、ネットのより一層の選挙活動への適用を認める法改正も重要ではないでしょうか。

このあたりが、インターネットと選挙について取り組むべき論点になるのではないかと思います。

インターネット投票が民主主義を変えるについて

清水健太郎

投票機構の変更で投票率が上がることにそこまで腐心される点が不明だ。確かに投票したくても出来ない方たちに対する配慮はする必要があろうが、投票したくない人はしないのである。それほどまでにインターネット投票が(社会的、電子的)リスクを負ってまで行うべきものとは思えない。何でも便利にすれば良いというものではない。

投票行為には前提として「投票しない」という権利も含んでいるはずだ。たとえばAさん、Bさん、Cさんという三候補が挙がったとしてもこの三候補が国会議員に値しないと自身が判断した場合、投票しない権利を行使する事になる。こういった点に触れずに、「投票率を上げろ」というのは些か無理があるのではないだろうか。

また、表題と内容が一致しない様に見える。これは代議制民主主義から一歩も前に進んでおらず、単なる投票機構の変更に過ぎないのではないか。何か他の考えがおありでああいった形の記事になっているのであれば、更新に期待したい。

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