政府・日銀が一体になるためには何が必要か~「新日銀総裁選び」「インフレ目標導入」と同じくらい重要なこと~:投稿意見

植杉 威一郎
RIETI研究員

「政府・日銀が一体になるためには何が必要か」について

菅沼 剛

レポートの題自体が、現実離れしているとお感じになりませんか?
結局、福井氏が総裁に決定しています。過去の総裁の日銀での経歴を見れば一目瞭然です。
過去の日銀vs.大蔵vs.官邸(必ずしもvs.ではありませんが)の構図から、いくらでも書く材料は見つかるはずです。
日銀の政策目標は前川リポートからもわかるように一貫しています。日銀法改正は達成されたので、あとは規制緩和&内需拡大という構造改革でしょうか。
全体の流れのなかの時事の切り出しという視点でのレポート作りを期待しています。

菅沼氏意見への回答

研究員 植杉威一郎

御意見ありがとうございます。過去にも日銀、政府、自民党との対立・協調関係はもちろん存在していましたが、その対立関係の背景にあるものが昔と今とでは明らかに異なります。言うまでもなく、デフレの継続です。

政府が通貨の発行権限を握ってしまうと、景気を良くしようとして通貨を増発しインフレになりがちで長期的に見て損です。それを是正しようという歴史の知恵が中央銀行に通貨の発行権限が委ねられている背景だと考えます。言い換えれば、インフレを抑制しようとする局面では、成長を志向する政府と物価安定を志向する中央銀行との利害が背反するので、それを別々の機関に委ねてチェックとバランスを働かせようということでしょう。

しかし、デフレの状況下で行うべき政策は、物価上昇率をプラスで安定させるということと成長を志向するということのはずで、これは、政府も日銀も共有できる目標のはずです。でも、コラムを書いていた時点では、状況の変化にもかかわらず両者の間で目標を共有しているという感じが(現在よりも)およそなかった、その点を指摘したわけです。日銀の中のかなり多くの人たちが考える政策目標は、構造改革を通じた内需拡大にあるというご指摘はその通りかもしれませんが、1990年代初めからの経済情勢の変化にそれでいいのでしょうか。

そういった背景があって、「政府・日銀の一体」(これは別に組織上一体になれとか、独立性を無くせと言っているわけではありません)と書きました。福井総裁もそうした点はもちろん認識した上で、現在、より政府に対して積極的に発言しているのではないでしょうか。
今後ともよろしくお願いいたします。

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