Special Report

米国をゲームへ戻す〜多国間協調への展望〜

渡辺 哲也
副所長

世界中が、米国バイデン新政権が、トランプ政権の4年間の一国主義の後で、通商政策で多国間協力へ戻ってくるのか、注意深く見守っている。バイデン政権にとって国内課題が最優先課題であることを考えれば、新政権の発足直後に米国が新しい通商協定を交渉したり、CPTPPに復帰することは期待できない。それにもかかわらず、通商政策は無視することができない。通商政策は国際社会で米国のリーダーシップへの信頼を再構築するための政策の一部でなければならない。

この政策提言(「米国をゲームへ戻す〜多国間協調への展望〜」)は、通商政策においていかにして米国を多国間協力へ戻るよう呼びかけるかを提案している。提言のキー・メッセージは多国間協力を再活性化するための2つの柱である。すなわち、①有志国が協働すること、米国と協働すること、②通商政策の具体的なイニシアチブをバイデン政権のより広い政策(外交政策、気候変動政策)の文脈の中に「通商トラック」と位置付けることの2つである。この観点から、本提言はさまざまなイニシアチブを検討している。

提言は、リチャード・ボールドウィン(ジュネーブ国際経済高等研究所教授)、チャド・バウン(ピーターソン国際経済研究所上席研究員)、ジョナサン・フリード(元カナダWTO大使)、アナベル・ゴンザレス(ピーターソン国際経済研究所客員研究員)、アンドレ・サピア(ブリューゲル上席研究員、ブラッセル自由大学教授)、渡辺哲也(経済産業研究所副所長)が共同執筆した。

2021年1月20日掲載

この著者の記事